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第114回:ブロードバンドテレビの魅力を探る その1 4th MEDIAとBBTVのサービス内容を比較
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4th MEDIAやBBTV、KDDIの光プラスなど、家庭用のテレビで楽しめるブロードバンドテレビサービスが注目を集めている。CATVに近いサービスとも言えるが、オンデマンド配信などの新しい試みが提供されているのがその魅力だ。4th MEDIAとBBTVを比較しながら、その実力を検証してみよう。
■ 家庭用テレビで巻き返しを図る映像配信サービス
ブロードバンドのキラーコンテンツと言われながら、苦戦を続けている映像配信サービス(ストリーミングサービス)。ひと昔前に比べればコンテンツは充実し、ユーザー側の再生環境も整いつつあるが、まだまだ万人に受け入れられるサービスとまではなっていないのが現状だ。
普及がなかなか進まない理由のひとつには、再生環境にPCを利用するという点が考えられる。いくら液晶の品質が向上したり、リモコンが使えるようになったとは言っても、やはりPCはリラックスして映像を楽しむのには向いていない。電源を入れ、サイトにアクセスし、映像を再生するという手順も煩雑だ。さらに、PCは基本的に1人で使うものであり、家族みんなで映像を楽しむという使い方に向いているとも言い難い。
もちろん、それに抵抗を感じない人もいるだろうが、どちらかと言えば、そうでない人の方が多いはずだ。このため、現状は、日常的に利用する人と、まったく利用しない人というように、利用頻度の差が激しいサービスになっている。
このような状況の中、新たに登場してきたのが、いわゆる“ブロードバンドテレビ”と呼ばれるサービスだ。FTTHやADSLなどのブロードバンド環境を使って映像を配信するという点はこれまでと同じだが、再生環境に家庭用のテレビを利用する点が特徴だ。
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ADSLやFTTHなどの回線を利用し、映像データを配信する。これまでのストリーミングと異なり、STBを利用することで家庭用のテレビで映像を楽しめる
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■ 4th MEDIAとBBTVを比較
このようなブロードバンドテレビサービスは、現状いくつかの事業者によって提供されているが、そのなかでも注目度が高いのは、やはり4th MEDIAとBBTVの2つのサービスだろう。4th MEDIAはNTT東日本のフレッツ・ADSLやBフレッツ環境で、BBTVはYahoo! BBのADSL環境で利用可能となっており、幅広いユーザーにサービスが提供されている。今回は、この2つのサービスの概要を比較してみることにする。
まずは、利用環境だが、これは前述したとおり、4th MEDIAがNTT東日本のフレッツ・シリーズ、BBTVがYahoo! BBとなっている。ブロードバンドTVの場合、配信する映像の著作権保護や配信帯域を確保する必要があることから、インターネット上ではなく、独自のネットワーク網を利用してサービスが提供されている。このため、回線とサービスが密接な関係となっており、利用環境が限定されている。
サービス名称 |
4th MEDIA |
BBTV |
利用回線 |
FTTH/ADSL |
ADSL |
利用サービス |
NTT東日本 Bフレッツ/フレッツ・ADSL (1.5Mタイプは除く) |
Yahoo! BB |
対応ISP |
ぷらら @nifty BIGLOBE hi-ho So-net(準備中) |
Yahoo! BB |
放送サービス |
ベーシックTV:30ch プレミアムTV:10ch |
ベーシックチャンネル:22ch アラカルトチャンネル:1ch |
オンデマンドサービス |
約1,000タイトル |
約3,200タイトル |
映像品質 |
標準画質:MPEG-2 2.5Mbps 高画質:MPEG-2 4.2Mbps |
標準画質:MPEG-2 2Mbps 高画質:MPEG-2 4Mbps |
利用条件 |
NTT東日本 FLET'S .Netへの加入 |
一定の通信速度(2.7~3Mbps以上) |
しかも、4th MEDIAの場合、映像配信の仕組みとしてIPv6を利用することから、NTT東日本のIPv6サービス「FLET'S .Net」へユーザー自身で加入しなければならない。これに対して、BBTVは一定速度を実現する回線さえあれば比較的手軽に加入できる。
続いて、サービス内容だが、これは大きく2つに分けられる。ひとつは地上波やCS放送、CATVなどと同様にタイムテーブルに従って番組が放送される「放送サービス」。もうひとつは、インターネット上のストリーミングサービスと同様に、ユーザーが好みの番組を選択すると、その時点から再生が開始される「オンデマンドサービス」だ。
4th MEDIA、BBTVともに、どちらのサービスも利用可能だが、その内容は少々異なる。たとえば、放送サービスに関しては、4th MEDIAが合計40chで、BBTVは23ch。実際のチャンネルを比較してみると、一部を除けば4th MEDIAはBBTVで提供されているチャンネルよりも多くのチャンネルが視聴可能となっている。
カテゴリ |
番組名 |
4th MEDIA |
BBTV |
映画 |
ムービープラス |
○ |
- |
カミングスーンTV |
○ |
○ |
洋画★シネフィル・イマジカ |
○ |
○ |
スポーツ |
ゴルフネットワーク |
○ |
- |
スポーツ・アイ・ESPN |
○ |
○ |
ザ・ゴルフ・チャンネル |
- |
○ |
音楽 |
スペースシャワーTV |
○ |
○ |
Video Music Ch |
○ |
○ |
MTV |
○ |
○ |
ミュージック・エア・ネットワーク |
○ |
○ |
ドラマ |
スーパーチャンネル |
○ |
- |
AXN |
○ |
- |
FOX |
○ |
○ |
アニメ |
カートゥーン ネットワーク |
○ |
○ |
ニコロデオン/アニメ・子どもTV |
○ |
○ |
ディズニー・チャンネル |
○ |
○ |
エンターテイメント |
LaLa TV |
○ |
○ |
アニマルプラネット |
○ |
○ |
MONDO21 |
○ |
○ |
ヨシモトファンダンゴTV |
○ |
- |
チャンネルBB |
- |
○ |
レジャー |
旅チャンネル |
○ |
- |
グルメ旅★FoodiesTV |
○ |
- |
トラベラーズTV |
○ |
- |
ドキュメンタリー |
ディスカバリーチャンネル |
○ |
○ |
NATIONAL GEOGRAPHIC CHANNEL |
○ |
○ |
ニュース・天気 |
日経CNBC |
○ |
○ |
CNNj |
○ |
○ |
ブルームバーグテレビジョン |
○ |
○ |
Boomberg Television(英語版) |
○ |
- |
e-天気.net |
○ |
○ |
ショッピング |
ショップチャンネル |
○ |
○ |
オプションチャンネル |
スター・チャンネル |
▲ |
- |
スター・チャンネル プラス |
▲ |
- |
スター・チャンネル クラシック |
▲ |
- |
クラシカ・ジャパン |
▲ |
- |
釣りビジョン |
▲ |
▲ |
全日本「パチンコ・パチスロ」情報局! |
▲ |
- |
チャンネル・ルビー |
▲ |
- |
プレイボーイチャンネル |
▲ |
- |
レインボーチャンネル |
▲ |
- |
ただし、ブロードバンドテレビということを考えると、放送サービスの内容はそれほど重要視する点ではないと言えるだろう。なぜなら、これらのコンテンツはCATVやCS放送など、他の手段でも視聴することができるからだ。やはり、重要視したいのは、ブロードバンドテレビならではのサービスとなるオンデマンドの方だ。
オンデマンドサービスに関して言えば、現段階でタイトル数が多いのはBBTVの方だ。4th MEDIAはサービスが開始されて間もないこともあり、そのタイトル数は約1,000程度。これに対して、BBTVは約3,200という3倍近いタイトルをラインナップしている。
タイトル内容も対照的だ。4th MEDIAはどちらかというと洋画を中心としたラインナップで、邦画やアニメなどはあまり数が多くないが、BBTVはジャンルを問わず、豊富なタイトルがラインナップされる。参考に、8月の新作/おすすめとして紹介されているタイトルの一部を以下の表にまとめておく。
4th MEDIA |
BBTV |
永遠のマリア・カラス |
ボルケーノ |
カンガルー・ジャック |
アビス |
シェフと素顔と、おいしい時間 |
ユー・ガット・メール |
ラスト サムライ |
ラスト サムライ |
ボーンコレクター |
新機動戦記ガンダムW |
チャーリーズ・エンジェル |
機動戦士ガンダムZZ |
メン・イン・ブラック |
アナスタシア |
スチュアート・リトル |
冬のソナタ |
もちろん、数が多ければいいというわけではないので、一概にどちらが優れているとも言い難い。たとえば、「冬のソナタ」のようにBBTVにあって4th MEDIAにないタイトルもあれば、トレソーラ(TBS、フジテレビ、テレビ朝日の共同出資会社)のコンテンツのように、4th MEDIAにあってBBTVにないタイトルもある。洋画なども、提携する配給会社の違いから、両者で重なるタイトルはほとんどないと言ってもいいほどに違いがある。そう言った意味では、両者とも個性的なラインナップと言えそうだ。
なお、両者ともにNHKからの配給を受けて、大河ドラマやプロジェクトXなどのドキュメンタリー番組の視聴も可能となっている。前述したトレソーラ同様、地上波のコンテンツが見られるのも、ブロードバンドTVならではの魅力と言えるだろう。
■ 料金はほぼ同等
気になる料金だが、これはほぼ同等だ。放送サービスとオンデマンドの両方を利用できるプランで比較すると、どちらも月額2,500円前後となる(オンデマンドのみの場合、Plala.TV on 4th MEDIAは577円、BBTVは525円)。ADSLなどの回線費用を含めたとしてもトータルで6,747円(BBTV)、または6,972円(Plala.TV on 4th MEDIA)となるため、利用する事業者によってはCATVでインターネット、TV、IP電話サービスに加入した場合よりも安い計算になる。
項目 |
4th MEDIA(Plala.TV on 4th MEDIA) |
BBTV |
初期費用 |
5,229円 |
10,290円 |
STB購入費用 |
26,250円 |
--- |
初期費用合計 |
31,479円 |
10,290円 |
放送サービス基本料 |
2,415円 |
2,100円 |
追加チャンネル |
--- |
--- |
STBレンタル費用 |
--- |
525円 |
TVサービス小計 |
2,415円 |
2,625円 |
回線費用(45/47M ADSL) |
3,507円 |
4,122円 |
ISP料金 |
735円 |
付加費用(FLET'S.Net) |
315円 |
--- |
回線費用小計 |
4,557円 |
4,122円 |
月額費用合計 |
6,972円 |
6,747円 |
備考 |
フレッツ・ADSL モアIIIを利用
レギュラープランに加入 |
45Mサービスを利用
ベーシックチャンネルに加入 |
※いずれもキャンペーン価格などを考慮せず、標準価格で計算 |
もちろん、CATVの場合、地上波やBS、各種デジタル放送なども視聴できるため、その分のメリットはあるが、その代わり、ブロードバンドテレビにはCATVにはないオンデマンドサービスを受けられる。地上波やBSなどのアンテナがすでに設置されている場合であれば、ブロードバンドテレビを選ぶ手もありそうだ。
なお、月額料金ではほぼ同等となるが、Plala.TV on 4th MEDIAの場合、STBがレンタルではなく購入となる点に注意が必要だ。現在、先着1万名にSTBを15,750円で提供するキャンペーンなども行なわれているが、それでも初期費用が高いことに変わりはない。
そもそもSTBを買い取るというシステムには、疑問を感じるところだ。今後サービス内容が変更された場合、この投資がムダになってしまう可能性がある上に、いつまで加入するかもわからないサービスに対して高い初期費用を支払うのも、ユーザーにとっては抵抗があるだろう。ぜひともレンタルのプランも用意してほしいところだ。
一方、オンデマンドの料金は、トータルで考えるとPlala.TV on 4th MEDIAの方が安い。単純に料金だけを比較すると、新作、通常タイトルともにBBTVの方が安い料金設定になっている。たとえば、両者ともに8月の新作としてラインナップしている「ラスト サムライ」は、Plala.TV on 4th MEDIAが420円/24時間であるのに対して、BBTVは360円/24時間だ。
カテゴリ |
Plala.TV on 4th MEDIA |
BBTV |
新作 |
420円/24時間 |
360円/24時間 |
通常 |
315円/24時間 |
290円/24時間 |
NHK |
157円/24時間 |
290円/24時間 |
しかし、一部のタイトルは4th MEDIAの方が安い場合がある。たとえば、NHKの「プロジェクトX」は、BBTVは290円/24時間だが、plala.TV on 4th MEDIAは157円/24時間で視聴できる。しかも、Plala.TV on 4th MEDIAの場合、月額料金のみで月に2タイトルまで無料で視聴できるというシステムが採用されており(オンデマンドのみのライトプランでも可能)、2タイトル以上視聴しなければ、追加料金は課金されない。
このシステムは一部対象外となる作品があるものの、前述した「ラスト サムライ」のような新作も対象となっており、お得感はかなり高い。どうしても見たいタイトルであれば料金がいくらであろうと見るだろうが、このシステムのおかげで、それほど見たいとは思えないタイトルも、とりあえず見ておこうかという気になるうまい仕組みに思えた。BBTVにも加入後2週間だけ見放題というキャンペーンがあるが、2週間では見られるタイトルも限られてしまうので、あまりメリットはないのが残念だ。
このように、今回は概要について両者を比較してみたが、現段階での結論を出すとすれば、手軽さとコンテンツの豊富さではBBTV、料金では4th MEDIAが有利と言ったところになりそうだ。ただし、実際に使うと、また違った印象を受ける。次回は、セットアップやSTBの操作性などを中心に、両者を比較してみることにしよう。
■ URL
Plala.TV on 4th MEDIA
http://plala.tv/4media/
BBTV
http://www.bbtv.com/
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