ソニーから、40GBのHDDを搭載したネットワークオーディオシステム「ネットジューク NAS-A10」が発売された。HDDへの音楽取り込みやエニーミュージック対応に加えてDLNAガイドラインに準拠、PCに保存されている音楽も再生できるのが最大の特徴だ。実際にその機能を検証した。
■ 音楽機能に絞ったHDDネットワークオーディオシステム
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ネットジューク NAS-A10
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ソニーから新たに登場した「ネットジューク NAS-A10」は、いわばより身近になったネットワークオーディオシステムといったところだ。仕様自体は従来から発売されていた「NAS-A1」とほぼ同じで、40GBのHDDを搭載し、音楽の取り込みやエニーミュージックの利用が可能だが、本体が縦型のデザインに変更され、NAS-A1では対応していたフォトアルバムやブラウザ、メールなどの機能が省略されている。
その代わりというわけでもないのだろうが、今回のNAS-A10ではDLNAガイドラインへの対応が実現された。DLNA(Digital Living Network Alliance)とは、ネットワークに対応したデジタル家電でコンテンツを共有するための規格だ。
従来のNAS-A1でもネットワーク経由でPC上の音楽を再生可能であったが、VAIOのみの対応に留まっていた。これに対して、NAS-A10ではVAIOに限らず、DLNAガイドラインに沿ったサーバー製品(ソフトウェア)への接続が可能となっている。より音楽機能に特化させただけでなく、汎用的なネットワーク機能を備え、さらに従来製品よりも低価格化(実売で60,000円前後)を実現したというわけだ。
■ Windows Media Connectでの利用が可能
とは言え、現状のDLNAは機器やソフトウェアごとに細かな仕様の違いが吸収しきれておらず、きちんと相互接続できないケースも存在する。そこで、今回は「Windows Media Connect(以下WMC)」とデジオンの「DiXiM Media Server(以下DiXiM)」の両方をサーバーとして利用して、きちんと接続できるかを検証してみた。
結論から言えば、WMCとDiXiMのどちらを利用した場合でも、問題なく音楽の再生が可能だった。PC側でサーバーをセットアップし、ネットワーク上に公開するフォルダを指定。さらにセキュリティ機能でNAS-A10の接続を許可しておく。この状態で、NAS-A10のリモコンを利用して、メニューから「ネットワークメディア」を選択すると、NAS-A10でネットワーク上のサーバーが一覧表示される。
Windows Media Connectなどの汎用的なサーバーとの接続が可能。NAS-A10からネットワークメディアを選択すると、サーバーが一覧に表示される
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あとはフォルダの階層をたどって、再生したい音楽ファイルを指定するだけだ。ネットワークメディアプレーヤーなどのハードウェア、メーカー製のPCに搭載されるようになってきたネットワークメディア再生ソフトを使ったことがあるユーザーであれば、何の違和感もなく利用することができるだろう。なお、VAIO以外をサーバーとして利用した場合は、「ツリーモード」と呼ばれるフォルダ階層でメディアをリストアップする形式のみ利用できる。
汎用的なサーバーの場合、階層をたどっていくツリーモードで利用する。ビデオなどのメニューも表示されるが、NAS-A10での再生は不可
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対応する音楽ファイルの形式は、MP3、ATRAC3(OpenMG形式)、PCMだが、今回テストした限りではWMAの再生も可能であった。また、プレイリストでの再生も可能で、WMCを利用した場合はWPL形式(Windows Media Playerのプレイリスト)、DiXiMを利用した場合はm3u形式のプレイリストを読み込んで、リスト内の音楽ファイルを再生できる。対応する形式は利用するサーバーソフトに左右されるようだが、一般的な音楽ファイルであれば、ほぼ問題なく再生できると言えそうだ。
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Windows Media Connectをサーバーとして利用した場合、WPL形式のプレイリストも問題なく再生可能。DiXiMの場合はm3u形式のプレイリストが必要になる
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なお、有線LANでの接続以外に、NECアクセステクニカの無線LANコンバータ「Aterm WL54TE」を利用した無線LAN接続もテストしてみたが、何の問題もなく利用できた。PCから離れた部屋で本製品を利用する場合、無線LANでの利用も検討するといいだろう。
■ DLNAはクライアント機能のみでサーバー機能は非搭載
このように、サーバーソフトウェアさえ用意すれば、手軽にネットワーク経由でPCの音楽を再生できるが、残念ながらNAS-A10をサーバーとして利用することはできない。
前述したように、NAS-A10には40GBのHDDが搭載されており、音楽CDからATRAC3もしくはPCM形式で手軽に音楽を取り込める。その名の通りジュークボックス的な利用が可能なのだが、サーバー機能が提供されていないため、ネットワーク経由で取り込んだ音楽を再生することができないのだ。
以前に紹介したサン電子の「BiBio JukeBox」がネットワーク上の音楽ソースを物理的に集約し、他の機器に提供するサーバー的な製品であったとすれば、今回のNAS-A10は他の機器で提供されている音楽を利用するだけのクライアント的な製品と言えるだろう。
このあたりは、実際の使い方を考えると少々不便な印象だ。PCでも音楽を聴きたいという場合、NAS-A10とPCの両方に同じ音楽を保存しておかなければならない。また、NAS-A10にはUSB端子も搭載されており、HDDに取り込んだ音楽を同社製のNetMDやHDD搭載ポータブルプレーヤー(NW-HD1/2/3)に転送できるが、こういった使い方を考えても、NAS-A10に音楽を集約しておきたいと考えるのが普通だろう。ネットワーク上の音楽ファイルを再生できるだけでなく、ネットワーク上の機器に音楽を提供できるようにもして欲しいと感じた。
ちなみに、音楽の取り込み自体はリモコンの録音ボタンを押すだけと簡単で、最大8倍速で高速に取り込むことが可能だ。ただし、モニタ出力をONに設定しておけば取り込み中のCDを再生することも可能(モニタONの場合は6倍速)ではあるものの、再生されるのは取り込んでいる曲に限られる。そのため、1曲の取り込みが完了して次の曲の取り込みが開始すると、再生される曲もその曲に変更されてしまう。
このあたりの仕様は、以前、本コラムでシャープ製のエニーミュージック端末「SD-AN1-S」にも指摘した点だが、相変わらず改善されていないようだ。CDをきちんと聴きながら、バックグラウンドで取り込んで欲しいという要望は少なからずあると思われるし、ぜひ実現してほしい機能の1つである。
音楽の取り込みは手軽だが、取り込み中の音楽しか再生できない。場合によってはモニタOFFで8倍速で取り込んだ方が手軽。形式は標準では132kbpsのATRAC3だが、PCMでの取り込みにも対応する
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■ ディスプレイが必須な点に注意
個人的にはいくつか気になる点もあるが、以前のNAS-A1に比べると価格が安くなったこともあり、割り切って使うには悪くない印象だ。特に同社製のポータブルオーディオプレーヤーを利用しているユーザーは、音楽をため込んでおき、必要に応じて転送するベースステーションとしての利用価値が高い。エニーミュージックで音楽を手軽に購入できる点もメリットと言っていいだろう。
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もちろんエニーミュージックにも対応。インターネット経由で音楽をダウンロード購入することが手軽にできる
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ただし、本製品の操作は基本的に画面を見ながら行なうため、利用には何らかの表示機器が必須だ。テレビを利用するのも1つの手だが、テレビと離れた場所に設置したい場合はビデオ入力が可能な液晶ディスプレイなどを用意しなければならない。こういった点を考えると、トータルの出費が高くつく可能性もある。簡単な表示だけで構わないので、単体でも利用できるように本体に表示機能を備えて欲しいと感じた。
■ URL
NAS-10
http://www.ecat.sony.co.jp/audio/netaudio/products/index.cfm?PD=20238&KM=NAS-A10
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2005/04/19 11:09
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