HOTSPOT、特定サイトやサービスに無料アクセスできる新サービス
対応第1弾は「Eye-Fi」。HOTSPOTエリアからの自動投稿が可能に
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は4日、公衆無線LANサービス「HOTSPOT」のサービスエリアで、HOTSPOT契約者以外も特定サイトやオンラインサービスに無料でアクセスできる「HOTSPOT connect」を発表した。第1弾として、無線LAN機能搭載のSDメモリカード「Eye-Fi」との連携を開始する。
■提携第2弾は7月以降に発表。当初のアクセスポイントは1500カ所
HOTSPOT connectの活用イメージ |
「HOTSPOT connect」は、NTT Comと提携した企業のWebサイトやオンラインサービスに限って無料でアクセスが可能となるサービス。SSIDと暗号化キーの設定は必要になるが、対応アクセスポイントへはログインIDやパスワードの入力する必要なく接続できる。なお、SSIDと暗号化キーはHOTSPOTと共通。
当初のアクセスポイントは、HOTSPOTが利用可能な日本国内の約8000カ所のうち、都営地下鉄全駅をはじめとした1500カ所が対象。以降は6月9日と16日に、西日本エリアで対応アクセスポイントを追加するなど、順次エリアを拡大する。
提携企業の第1弾は、無線LAN機能搭載のSDメモリカード「Eye-Fi」シリーズを販売するアイファイジャパン。Eye-Fiカードの利用者であれば、同カードを装着したデジタルカメラなどで撮影した写真や動画を、HOTSPOT connectのアクセスポイントからEye-Fiのサーバーを経由して、「YouTube」や「Flickr」、「mixiフォトアルバム」といったEye-Fiに対応するオンラインサービスへの自動アップロードが可能になる。
ただし、写真や動画をアップロードしたオンラインサービスについては、各サービスがHOTSPOT connectに対応していない限り、アクセスできない。このため、各サービス上にアップロードしたコンテンツを閲覧したい場合には、有料サービスである「HOTSPOT」や他の接続サービスに契約する必要がある。
アクセスポイントの利用には、事前に専用ユーティリティ「Eye-Fi Manager」でHOTSPOT connectの無線LAN設定を済ませる必要がある。アイファイでは、6月下旬をめどに無線LAN設定を1クリックで完了できる新バージョンを公開する予定だが、過去にHOTSPOTの利用経験があるEye-Fiユーザーは、手動設定でHOTSPOTのSSIDと暗号化キーを入力することで、6月4日からHOTSPOT connectの利用が可能になる。
HOTSPOTとの違い | PCでの利用イメージ | PC以外の機器からの利用イメージ |
当初の対応アクセスポイントは1500 | 提携第1弾は「Eye-Fi」 | 非対応サービスにアクセスする場合、HOTSPOTなどと契約する必要がある |
NTT Comでは、第2弾の提携企業およびサービスについて、7月以降をめどに発表する予定。提携企業数の目標は、2009年度内に10~20社規模だとした。
第2弾発表に合わせて、HOTSPOT connectとHOTSPOTの初期設定を自動で行なえるユーティリティ「HOTSPOT Gear」も無償公開する。同ユーティリティでは、HOTSPOT connectに対応したWebサイト一覧も確認可能だ。
対応OSはWindows Vista/XP。NTT Comでは、Mac OS XやWindows Mobile、iPhone 3Gなどで同等機能を持ったユーティリティやアプリケーションを順次提供するという。
なお、アクセス可能なWebサイトやオンラインサービスは、HOTSPOT connectのゲートウェイ上でIPアドレスまたはドメイン単位で管理する。このため、ブログサービスなどで異なるサービスにアップロードした写真などをブログ記事で紹介している場合、これらコンテンツは表示されない場合もある。
7月にはユーティリティ「HOTSPOT Gear」も公開予定 | HOTSPOT connectとHOTSPOTの接続設定に対応 | HOTSPOT connect対応サイトも一覧で確認できる |
■HOTSPOTの認知度向上と新規契約者の獲得を目指す
NTT Comの古澤氏 |
NTT Com ユビキタスサービス部の古澤祐治主査は、「ネットブックやiPod touchなどの小型無線LAN機器の登場によって、これら機器を使ってHOTSPOTを利用するユーザーが増えてきている」と説明。2007年10月と比較して、小型無線LAN機器のアクセス数は2009年4月に1.4倍に増加したという。
一方、こうした小型無線LAN機器のアクセス時間は、HOTSPOTを利用する機器の平均アクセス時間を100とした場合、22と約5分の1程度になるという。古澤氏は「簡単に素早く、手軽に利用したいエントリーユーザーが登場しつつある」と述べ、HOTSPOTを気軽に利用できる施策としてHOTSPOT connectを提供するに至ったと理由を説明した。
HOTSPOT connectのサービス概要を紹介したユビキタスサービス部の塩原孟氏は、インターネットサービス事業者のメリットとして「サイト露出の拡大や利用者の拡大、広告収入の増加が期待できる」と述べた。一方、NTT Comにとっては、「HOTSPOTの認知度向上や新たな利用者獲得に繋がる」と期待感を示した。なお、現在のHOTSPOT契約者数は10万人以上だという。
HOTSPOT connectのビジネスモデルは、HOTSPOTへの利用者拡大による課金収入増加に加えて、提携企業からのスポンサー料支払いも収入源の1つとして想定している。ただし、ユビキタスサービス部の六代尚担当部長は、「現時点では対応するWebサイトやサービスを増やすことが主眼で、スポンサー料の有無はケースバイケースで判断する」とし、アイファイジャパンのケースではスポンサー料の徴収はないとした。
無線LANサービスを「第3のネット環境」と位置づけ | HOTSPOT connectによる利用者/事業者/NTT Comへの効果 | HOTSPOTでは小型機器のアクセスが増加しているという |