鉄道系ICカードの発行枚数は4823万枚。矢野経済研究所調査


鉄道系ICカードの累積発行枚数推移

 矢野経済研究所は21日、鉄道事業者が発行するICカード市場に関する調査結果の概要を公表した。調査は2009年2月から6月にかけて、国内でICカードを発行する主要な鉄道事業者20社を対象に、直接面接取材や電話・メールなどによるヒアリング、文献調査を併用して実施した。

 調査結果によれば、鉄道系ICカードの累積発行枚数は2009年3月末時点で、前年度比125.2%の4823万枚。累積発行枚数は、2007年3月末で2651万枚、2008年3月末で3851.6万枚と増加傾向が続いている。

 鉄道利用者全体に占めるICカード利用率は、利用率の高い事業者では70~80%台と推移した一方で、事業者によっては10%台にとどまる結果だった。この点について矢野経済研究所は、地方では交通専用カードに限定しているため、利用率が低いと推測。一方、都市圏の鉄道およびJR各社では、当初から電子マネーへの対応や沿線店舗などとの連携を想定しており、コンビニエンスストアや家電量販店、自動販売機、駐車場など、業種・業態を問わずに浸透を進めているとした。

 矢野経済研究所では、鉄道系ICカードの今後の普及について、利用率の向上やコスト負担軽減などがポイントになると指摘。その上で、今後の累積発行枚数予測に関して、2011年3月末で6637万枚、2012年3月末で7484万枚に達すると予測した。

 なお、鉄道系ICカードの将来像としては、1枚のカードですべての鉄道を利用できるようになる、電子マネー用途での利用場所が大幅に拡大する、地域振興ツールとして活用されるなどの方向性を挙げた。


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(村松 健至)
2009/7/21 13:53