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第342回:アイファイジャパン「Eye-Fi Share Video」

動画も手軽にアップロードできる無線LAN搭載のSDメモリカード


 アイファイジャパンが販売する無線LAN搭載のSDメモリカード「Eye-Fi」に、動画対応モデル「Eye-Fi Share Video」が新たに登場した。デジタルカメラの動画対応が進む中、どこまで”使える”のかを検証してみた。

SDHC対応&容量4GBにパワーアップ

動画のアップロードに対応した「Eye-Fi Share Video」。パッケージにはカード本体とUSBアダプタが同梱される

 メモリカードとしてデジタルカメラにセットして撮影するだけ。たったこれだけで撮影した写真を無線LAN経由でPCやオンラインサービスにアップロードできる「Eye-Fi」。そんなEye-Fiに、動画のアップロード機能をプラスした「Eye-Fi Share Video」が新たに登場した。

 Eye-Fiは、IEEE 802.11b/gに準拠した無線LAN機能を内蔵したSDメモリカードだ。デジタルカメラで撮影したデータがメモリ部分に保存されると、それを無線LANを利用して自動的にアップロードすることが可能になっており、ユーザーが意識することなく写真をオンラインサービス(もしくはPC)へと転送できるようになっている。

 デジタルカメラの中には、無線LANを搭載することで同様の機能を実現する製品も存在するが、Eye-Fiの場合はSDメモリカードを記録メディアとして利用できるデジタルカメラであれば汎用的に利用できるのが特徴だ。

 今回登場した「Eye-Fi Share Video」は、YouTubeやFlickrの動画サービスへのアップロードに対応したモデルだ。従来モデルとなる「Eye-Fi Share」は、写真アップロードにのみ対応しており、メモリ容量も2GBだったが、本製品ではSDHC規格をサポートし、容量も4GBへとパワーアップしている。

 最近では動画撮影に対応した一眼レフデジタルカメラの登場、コンパクトデジタルカメラではAVCHD/AVCHD Lite対応など、デジタルカメラの動画対応が1つのトレンドとなっている。機能的な制約はあるものの(詳しくは後述)、本製品はその流れを加速する製品と言えるだろう。

はじめてでも手軽にセットアップ可能

 実際の使い方は従来モデルとほとんど同じだ。まずは、接続先として利用する無線LANアクセスポイントの設定やアップロード先のサービスを指定するために初期設定が必要となる。付属のUSBアダプタを利用してPCに接続すると、メモリ部分からアプリケーション(Eye-Fi Manager)がインストールされ、セットアップが開始する。

 Eye-Fiでは、カードに保存されたデータが、無線LAN経由でいったんEye-Fiのサーバーに転送され、そこからオンラインサービスへと転送される仕組みになっている。このため、(1)Eye-Fiアカウントの作成、(2)無線LANの設定、(3)オンラインサービスの設定と、3つの設定が必要になる。


セットアップは簡単。まずは付属のアダプタでPCに接続する 自動的にブラウザが起動するのでEye-Fiアカウントを作成する 無線LANの設定。アクセスポイントが検出されるので暗号キーを入力する

利用するオンラインサービスの設定。動画はFlickrとYouTubeに対応 設定完了後、カメラにカードをセットしてテストを実行 無事にアップロードできればOK

 と言っても、ブラウザ上に表示されるガイドに沿って必要な情報を登録していけば、迷うことなく設定できる。残念ながら、WPSなどの無線LANの簡易設定方式には対応していないため、事前に無線LANの設定情報を確認したり、利用するオンラインサービスにアカウントを作成しておく必要はあるが、設定自体はさほど苦労することはないだろう。

 なお、すでにEye-Fi Shareを利用しているユーザーは、既存のEye-FiアカウントにEye-Fi Share Videoを追加することができる。この場合、既存のEye-Fiでは写真をmixiに、Eye-Fi Share Videoでは写真をPicasaウェブアルバム、動画をYouTubeと、個別にアップロード先を設定することも可能だ。

 複数のデジタルカメラを利用している場合や用途によってアップロード先を使い分けたい場合などは、複数のEye-Fiを使い分けるというのもアリだろう。


新型のEye-Fi Share Video(左)と従来のEye-Fi Share(右)。4GBという容量、SDHCという表記以外、外見はほとんど同じだ 写真のアップロード先として新たにmixiにも対応した

動画形式とサイズに注意

 実際に使ってみた印象としては、独特の「クセ」さえ掴んでしまえば、非常に手軽で、便利だ。

 セットアップさえしてしまえば、あとはすべてEye-Fiまかせとなるため、ユーザーはデジタルカメラにセットして写真や動画を撮影するだけで良い。これで、いつのまにか写真や動画がpicasaやYouTubeにアップロードされている。

 では、どこに「クセ」があるのかというと、電源とアップロードのタイミング、それに動画の形式とサイズだ。

 まずは電源だが、Eye-Fiで写真や動画をアップロードするためには、当然のことながらデジタルカメラ側の電源がオンになっている必要がある。このため、撮影が終了したら、しばらくの間、電源を入れたまま放置しておく必要があるわけだ。

 アップロードは撮影モード、再生モードを問わず行なわれるので、再生モードなどにしておくと良いが、カメラによってはオートパワーオフによって一定時間経過後に電源が自動的にオフになる場合がある。動画の場合、撮影時間によっては数百MBクラスのファイルをアップロードしなければならないため、写真の場合よりもオートパワーオフまでの時間を長めに設定しておくと良いだろう。


一般的なカメラを利用する場合はオートパワーオフまでの時間を長めに設定

 続いては、アップロードのタイミングだ。Eye-Fiでは1分間に1回のタイミングでアップロードを行なう仕様になっている。このため、すぐにアップロードされる場合もあれば、しばらく経ってからでないとアップロードが開始されない場合がある。電源をオン/オフすると、すぐに転送が開始されるようだが、このタイミングがいつかはユーザー側で判断できない。

 カシオやニコンから発売されているEye-Fi対応のデジタルカメラを利用すれば、液晶画面に表示されるアイコンなどでアップロードの開始やアップロード中であることを判断できるが、それ以外の製品ではステータスはまったく把握できない。撮影したら、しばらく放置。しかも、動画を撮影した場合は、可能なかぎり放置しておくというのがEye-Fiを使う場合のコツだろう。

 最後は、今回の動画対応モデルならではの注意点だ。Eye-Fi Share Videoが対応している動画は、DCIMフォルダに保存されたMPG/MOV/FLV/WMV/AVI/MP4形式のみとなっており、1ファイルあたりの最大容量も2GB以下に制限されている。

 このため、例えばSDメモリカードを利用するAVCHD対応のデジタルビデオカメラなどにEye-Fi Share Videをセットしても、記録される形式が対象外となるためアップロードは行なわれないことになる。

 ちなみに、今回のテストではパナソニックの「LUMIX DMC-TZ7」を利用した。この製品はAVCHD LiteとMotion JPEGの2種類のフォーマットで動画を記録できるようになっているが、デジタルビデオカメラの場合と同様にフォーマットが対応していないという理由から、AVCHD Liteの動画をアップロードすることはできなかった。

 動画をアップロードしたい場合は、あらかじめ手元のカメラの記録形式を確認しておくべきだろう。

 また、ファイル容量の上限となる2GBという点にも注意が必要だ。例えば、前述したLUMIX DMC-TZ7の場合、Motion JPEGのHD(1280×720)で動画を記録すると、約8分20秒で2GBの上限に達してしまう。長時間の動画をアップロードしたいのであれば、サイズをQVGA(320×240)やVGA(640×480)などに落とす必要があるだろう。


AVCHD Liteのアップロードには未対応。Motion JPEGでの撮影が必要。さらにサイズも2GBが上限となるため時間に注意

 利用するサービス側の制限にも注意が必要だ。例えば、YouTubeの場合、アップロードできる動画のサイズは1GBまでになっている。写真の場合も同様で、最近サービスとして追加されたmixiの場合、1回のアップロードで投稿できる写真は合計5MBまでに制限されている。最近のデジタルカメラは高画質なため、最高画質などで撮影すると当然アップロードに失敗することになる。

 つまり、自分が利用しているカメラの場合、どの形式でどれくらいの長さの動画を撮影できるのか、利用するオンラインサービスにはどれくらいのサイズの動画をアップロードできるのか、撮影後はどれくらい放置しておけば良いのかなどを把握しておくことがEye-Fi Share Videoをうまく使うコツと言える。


サービス側の制限にも注意。mixiの場合、写真も高画質すぎるとアップロードできない

YouTubeでHD映像を楽しむ

 このように、ある程度の試行錯誤は必要だが、クセさえ掴んでしまえば、なかなか楽しい使い方ができる。

 例えば、今回利用したDMC-TZ7の場合、Motion JPEGのHD(1280×720)で撮影すると、動画ファイルは約4分ほどで870MB前後のサイズとなり、ちょうどYouTubeへのアップロードに適したサイズとなる。

 さすがにアップロードには30分近くの時間がかかってしまうが(DMC-TZ7は10分でオートパワーオフするため数回電源の入れ直しが必要)、登録された動画はYouTube上でHDで表示することができるため、かなりキレイな映像を楽しむことができる(実際に投稿したHD動画のサンプル)。

 アップロード時間を考えると、実用的なのは1分以下のクリップという印象だが、手軽に高品質のビデオを登録できるというは大きな魅力だ。価格も直販のオンラインストアで9980円なので、デジタルカメラをより楽しむという意味では高くない投資と言えるのではないだろうか。

 ただ、やはり品質や撮影できる時間、サイズなどのバランスを考えると、個人的には、ぜひAVCHDやAVCHD Liteのアップロードに対応して欲しいところだ。また、対応する動画サービスも現状はYouTubeとFlickrのみと物足りない。ニコニコ動画など、国内ならではのサービスにも対応してくれると、より楽しみ方が広がりそうだ。


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2009/5/19 10:50  

清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ

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