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2006年11月13日

松下の高速PLC「BL-PA100」の気になるポイント

松下電器産業から、ついに高速PLCに対応したアダプタが発表されました。

PLCアダプタ「BL-PA100」

松下電器産業、家庭向け高速PLC製品を12月9日に発売 http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/16162.html

 2~30MHz帯を利用した高速PLCについてはロジテックが年内の製品投入を発表してはいるものの、詳しい予定などは未発表で、きちんとした製品として登場するのは今回が初めて。

ロジテック、高速PLC対応のイーサネットアダプタを12月に発売予定 http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/15633.html

 高速PLCの実証実験などは各事業者やメーカーで行なわれていましたが、家庭内など一般的な場所で使われたことはないため、未知の部分もたくさんあります。今回はこのブログでいくつか気になる点をまとめてみました。

 一番基本的なことですが、PLCだけでインターネットに接続できるわけではありません。PLCはあくまで家庭内のネットワーク構築に使う製品であり、FTTHやADSLなどのブロードバンド環境は用意しておく必要があります。ルータから先は無線LANや有線LANでネットワークを構築する必要なく、コンセントを使って配線をワープできるというイメージでしょうか。

配線イメージ

 増設用のアダプタも用意されていますが、1つの部屋で何台ものPCを接続する、というケースであれば、スイッチングハブを使って接続台数を増やすこともできます。もちろん1台1台にアダプタを用意してもいいですが、コストを考えると1部屋に1台PLCアダプタを用意し、部屋の中はスイッチングハブで配信してもいいかもしれません。

 通信速度は190Mbpsを公称していますが、これは物理速度であって実際のスピードではありません。無線LANが「最大54Mbps」と表記していても実際にはそこまでのスピードが出ないのと同じです。実効速度はTCPで約50Mbps、実際にインターネットに接続した時には約20~30Mbpsとのこと。ただし、今回の製品は初めての商品化だけに、今後通信速度が向上していく可能性は大いにあるようです。

 電気の配線を使うということで、配線が共通の集合住宅などではどうなるか気になる人もいると思いますが、PLCアダプタは最初から128bitのAESで暗号化されているので、隣の人にデータが見えてしまう、ということもありません。AESは米国国防省でも採用され、暗号化の強固さには定評がある技術ですので、一般的な使い方では心配ないでしょう。

 ほとんどの家庭で使われていると思われる電源コンセントのマルチタップを使ったらどうなるか。これも基本的には問題がないそうですが、ノイズフィルター機能を持ったマルチタップなどでは、PLC自体がノイズとして認識されてしまうこともあるとか。実際にはほぼ影響がないレベルだそうですが、気になる人はPLCアダプタをコンセントに直に差し、他の機器をマルチタップでまとめたほうがよさそうです。

 前述のロジテックが発売を予定するPLC製品ですが、HD-PLCとは異なる規格のために接続ができません。このあたりは松下も複数のPLC技術が併存できるような解決策を考えているとのことですが、個人的にはチップが異なるとキャリアによっては利用できないADSLモデムという過去の例が思い出されます。よけいな設定なく宅内LANを構築できるという点ではかなり重要な存在であるだけに、こうした複数技術の併存にも期待したいと思います。

投稿者 甲斐祐樹 : 2006年11月13日 21:41

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