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第七十五景:中国語の表示にこだわる百度エンジニアのデスクトップ
水野貴明


 こんにちは。百度という検索エンジンの会社でエンジニアを担当している水野貴明です。会社勤めをしながら、技術系のライターとして雑誌やWeb、書籍などで文章を書いてもいます。

 一緒に仕事をするエンジニアをはじめとするスタッフに中国人が多く、また開発の多くも中国で行われているので、中国語に触れなければならない機会が非常に多くなっています。そのため、中国語と日本語を併用するための努力を続けている私のデスクトップを紹介させていただきます。





仕事は基本的に1台のPC

 僕は、仕事でのエンジニアリングから原稿執筆まで、基本的に1台のPCで行っています。利用しているのは、ThinkPadのX61です。実は先日、それまでずっと使っていたX32が酷使に耐えかねてお亡くなりになってしまったので、現在のPCに乗り換えました。

 まずはデスクトップですが、背景はデフォルト色です。壁紙などを利用していないのは、原稿を書く際にスクリーンショットを撮る場合が多いからです。一時期は白にしていた時もあるのですが、白だとどうも明るすぎて見にくいというか、あまり好きになれなかったので、標準の色のままにしています。

 ウィンドウ枠などを標準のままにしてあるのも、同じ理由からです。白背景でスクリーンショットをとりたい場合は、なにか白いウインドウを出すアプリケーションを適当に立ち上げて撮影しています。


デスクトップ

 デスクトップ上にはできるだけファイルを置かないようにしているのですが、整理整頓が苦手なたちで、置き場所に困った一時的なメモなんかをついつい置いてしまいます。そうするとだんだんテキストファイルや画像ファイルがたまってしまうので、たまに気が向くとまとめて整理してます。

 必ず置いてあるのは、hostsファイルとdownloadフォルダのショートカットです。hostsファイルは、仕事柄、テスト用のWebサーバーなど特定のIPアドレスに頻繁にアクセスすることが多いためよく書き換えるのですが、その割には「C:\WINDOWS\system32\drivers\etc\hosts」なんていうずいぶんと深いところにあるので、デスクトップに置いています。

 downloadフォルダは、ブラウザで何かのファイルをダウンロードした時やメールの添付ファイルを展開する際などに指定するフォルダです。





中国語のために中国用のIMEを設定

 IMはATOKを使っています。ATOKは、一度変換した文字列を途中まで入力した段階で補完してくれる機能がついています。専門的な用語をたくさん入力する原稿が多いので、この機能がとても便利です。

 あと、中国語の入力のために、中国語用のIME(Microsoft Pinyin IME)もすぐ使えるようにしてあります。といっても、中国語がほとんどできないので、メールに書く簡単な挨拶や人の名前などを入力するくらいですが。

 インスタントメッセンジャーはWindows Live メッセンジャーとGoogleトークとSkype、そして勤務先である百度がリリースしている百度Hiというメッセンジャーも使っています。これ、メニューやメッセージはすべて中国語、インストーラも中国語なので、まだ日本では「みんな使って!」と言えないのが残念ですが、一応日本語も読み書きは大丈夫です。


百度のメッセンジャー「百度Hi」




Firefoxで常に50個近いタブを表示

 ブラウザは基本的にFirefoxを使っています。入れているアドオンは、FireBugやWebDeveloper、UserAgent Switcher、GreaseMonkeyなど、Web系開発では定番になっているもののほか、TabMix Plus、FoxClockを重宝しています。

 僕はタブをいつも50個くらいは開いたままにしておくので、Tab Mix Plusはとても重要です。できるだけタブの数を減らそうと思っているのですが、基本的に一度開いたページはそのまま開きっぱなしにしてしまうことが多いので、どんどんと増えていってしまいます。


タブ開きすぎのブラウザ

FoxClockで中国時間を表示
 TabMixの設定はタブを多段表示にして、2段表示にしています。タブの表示をFaviconだけにすると、全画面表示で一列に23ページくらい並ぶので、なるべく2段には収まるように気をつけています。でも、気づくと実際には4段分くらい表示していることもよくあって、誰かにブラウザを見られると、「タブ開きすぎ!」といつも突っ込まれるのですが、この癖だけはなかなか抜けません。

 開いているタブは、一種のブックマーク的に利用している部分があって、少しでも「後でもう一度見るかも」と思ったら開いたままにしています。Tab Mix Plusのセッション管理機能を利用しているので、ブラウザを閉じても、開いていたタブはキープされるので便利ですが、一度ブラウザを落として立ち上げると、全部のページが再度読み込まれるまでに相当時間がかかってしまうので、あまりブラウザは落としません。

 ほかに便利に使っているアドオンとしては、FoxClockで常に北京の時間を表示させています。百度の場合、エンジニアの多くが北京にいてやりとりをする機会も多いからです。実際には、北京との時差は1時間しかないので暗算でもそれほど問題はないのですが、北京の時間を常に意識する意味で使っています。





自作アドオンで文字コードを強制的に中国対応に

 もう1つ、自作のアドオンを入れています。これは「特定のURLの場合にだけ、文字コードを強制的に変更する」機能を持っています。なぜこんなものが必要なのかというと、百度の社内システムのページにアクセスした際に、エンコードを強制的に「GB18030」にしたいからです。そうしないと文字化けが頻発してしまいます。

 中国では、文字コードとして、UTF-8はあまり使われていません。なぜなら、中国にはGB18030という独自の文字コードがあり、国の政策でもこれを使えないコンピュータは中国で出荷できないなど、これを使うのが標準になっているからです。

 百度も中国で展開しているサービスはすべてGB18030になっていますし、社内システムもGB18030です。しかし、社内のシステムの一部がちょっと手抜きで、ヘッダにGB18030の指定を含んでいません。中国語がデフォルトのブラウザではそれでも問題ないのですが、すると日本語の設定が行われているブラウザでは文字化けを起こします。

 詳しい説明は割愛しますが、GB18030は、EUC-CNという中国のEUCコードをベースにしているため、ブラウザがEUC-JPと誤判定してしまうからです。そこで、社内システムだった場合には、強制的にGB18030にすることで、とりあえず文字化けを防いでいます。

 また、GreaseMonkeyでも自作のものを入れ、百度のサービスのページを多少変更しています。具体的には、百度の検索結果ページに、GoogleとYahooの検索結果へのリンクを挿入しています。仕事の都合上、他の検索エンジンの結果も確認したいことがあるからです。


GreaseMonkeyでGoogle/Yahoo!へのリンクを表示




メーラーは中国語にも対応しているThunderbird

 メーラーはThunderbirdを使っています。ThunderBirdは以前から使っているのですが、きちんと多言語対応がなされているので、中国語のメールが中国語の文字コードで送られてきてもそれほど問題なく表示されるからです。ちなみに、Outlook Expressでは内容は正しく読めるのですが、一覧に表示したときのSubjectが文字化けしてしまいます。


メーラーはThunderBirdで中国語も大丈夫

 送信時のデフォルトの文字コードはUTF-8です。これは、中国の同僚にメールを送った場合に、UTF-8がもっとも問題なくやりとりができるからです。ISO-2022-JP(JIS)になっていると、返信されてきたときにタイトルが化けていたりするので、いろいろ面倒です。

 ただし、この設定にしていると、携帯電話にメールを送る際に問題が発生することがあります。というのは、いまだに携帯電話のメーラーの多くは、UTF-8で送られてきたメールに対応していないからです。

 携帯から送られてきたメールに返信する場合には、受信した文字コードと同じものが使われるので問題がないのですが、新たにメールを作成して送ったときなど、たまに忘れてUTF-8のままで送ってしまい、「文字化けして読めない」といわれる場合があります。いまどきUTF-8に対応していないのがどんな理由でなのかはわからないのですが、早く携帯電話もUTF-8に対応して欲しいと思います。

 ちなみに、ThunderBirdではGmailのメールも読み込んでいます。GmailはせっかくのWebメールなのに、メーラーで読んでいてはその力を発揮できていないような気もしますが、飛行機の中など、ネットワークに接続できない環境にいる時にメールの内容を見なければならないこともあるため、PC内にメールが保存されるようにしています。





テキストエディタは複数を使い分け

 ブラウザ、メーラーの次くらいによく使うのがテキストエディタですが、これはいくつかの種類を使い分けています。

 簡単なメモをとったり、データファイルを開いたりといった場合にはサクラエディタを使っています。サクラエディタでなければならない! という強い理由はあまりないのですが、昔から使っていて慣れているというのが使い続けている理由です。

 プログラムを書いたり読んだりする際に利用しているのは、Emacsです。Emacsは、SSHクライアントを介してサーバ上で起動する場合もありますし、Windows上で直接起動する場合もあります。Windowsの場合は、MeadowというEmacsのWindows実装の1つを利用しています。


Emacsでコードを書いている

 Emacsのカスタマイズは、よく編集するデータ形式向けのモードファイルを追加したり、キーバインドをいくつか追加したりといった感じで使っていますが、中国の文字コードが簡単に判別できて表示できるようにしてある点が変わっているかもしれません。具体的には「mule-gbk」という中国語向けの文字コードサポートを実装するパッケージと、「unicad」というMozillaのコードをベースにした文字コード判別パッケージを入れて、中国語で記述されたファイルも問題なく開けるようにしています。

 仕事柄、中国語で書かれたドキュメントやテキストデータを読むことも多いのですが、この設定のおかげで、そうした文書も問題なく読むことができます。日本の一般的なテキストエディタは「GB18030」や「GBK」などの中国語の文字コードを正しく表示できるものは少ないのですが、これで安心です。

 なお、中国語のファイルが開けるからと言って、読めるかどうかと言うとかなり怪しいのですが、文章がすべて漢字であることと、技術関係のドキュメントは英単語やソースコードも多いので、なんとか理解できることも多くなってきました。

 ただし、UTF-8で書かれた中国語のデータは、フォントの関係で文字化けをするテキストエディタも多いのですが、Windows標準のメモ帳だと問題なく読めてしまうので、手っ取り早く読みたい場合は、メモ帳を使うこともあります。





原稿はNami2000で管理

 原稿ももちろんPCですべて書きますが、それに使っているツールは、Emacsやサクラエディタではなく、Nami2000というアウトラインプロセッサです。以前は短い原稿はサクラエディタで書くこともあったのですが、最近はほぼすべて、Nami2000で書いています。


原稿はすべてNami2000

 アウトラインプロセッサを使うのは、やはり章の区切りなどがわかりやすく表現できるからです。これまでいくつかのアウトラインプロセッサを使ってきていて、以前長く使っていたのは、Kasisという有料のソフトでした。これを選んだのは、WindowsとMacのどちらでも使うことができ、また画像なども張り込むことができたからです。何年か前はMacとWindowsを併用していたためにこれを選んだのですが、最近はWindowsしか使っていないことやKasisが画像を張り込むとファイルサイズが肥大化してしまうことなどから、よりシンプルなものを探した結果、Nami2000に落ち着きました。

 短い原稿の時は1ファイルですべてを書きますが、本を書くときは、各章ごとにファイルを分けて使っています。

 また、書いた原稿を送る場合には、テキスト出力をする場合もありますが、Nami2000は比較的軽いですし、フリーで公開されているので、頻繁に一緒に仕事をする編集者の方とのやりとりの場合には、あらかじめそのことを伝えた上で、Nami2000のファイルをそのまま送ることもあります。

 Nami2000では、各章にマークを付けられるので、完成した部分にはマークを付けて、どこまで完成したのかがすぐにわかるようにしています。また、原稿を送る場合にも、長い原稿の場合には、途中まで完成した状態でも送ることがあるので、その場合には「このマークがついている部分が完成しています」と伝えるだけで、後は書いているものをそのまま送ることができるので便利です。

 画像は、スクリーンショットの場合は、IrfanViewで、作図が必要な場合はOpenOffice.org Impressで作ります。ただし、Impressのファイルはそのまま送ると見られるかどうかわからないので、送る際には、IrfanViewでPNG画像にしたり、パワーポイントのファイルに変換してから送るようにしています。

 さすがに、原稿は中国語で書くことは今のところないので、そのための環境作りはしていないのですが、今後中国の話をネタに原稿を書くとなると、中国語も書くことになるので、そろそろなにか考えなければいけないかもしれません。





場所に依存しない環境

 最後に、PCを使っている環境について少し紹介します。といっても、実はほとんど何もないというか、できるだけ場所に依存しないようにしています。

 コードを書くときはデュアルディスプレイの方が楽なので、会社にいるときは19インチのディスプレイをつないでいますが、だいたい月1回中国に出張に行くので、いつも日本のオフィスにいることができません。しかも、中国のオフィスやホテル、飛行機の中だけでなく、日本にいるときでも家や、喫茶店、電車の中なんかでコードや原稿を書くことがあるので、基本はノートのディスプレイだけでも完結できるようにしています。


北京のいつも泊まっているホテルで

 簡単に言えば単にノート1台を常に持ち歩いているというだけで、それ以上ではないのですが。ただ、ネットワークに接続されていない場合でもほとんどの仕事ができるように、VMWareを使って常にLinuxを仮想マシン上で動かしていたり、必要になりそうなデータはローカルに置いておいたりといったことには気を遣っています。集中したいときは、あえて喫茶店でネットワークにつながずに作業をした方が、はかどるからです。僕は、ちょっとざわざわしている環境の方が集中できる性格なので、喫茶店ぐらいの環境がちょうど良いのです。




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2008/08/29 11:18

水野貴明
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