アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコにある Six Apart本社でソフトウェアエンジニアをしています、宮川達彦です。
■ 自宅も仕事もMacオンリー。デスクトップにファイルを放置
2006年の年末にアメリカに引っ越してきて以来、自宅でのメディア観賞用にMac mini、仕事では Windows XPの入ったThinkPad X40を利用していたのですが、そもそもWindows である必要もあんまりないよなあ、と思いはじめ、2007年末からは仕事でもMacBookをデュアルスクリーンで利用しています。
仕事は「Xen」という仮想環境で動いているLinuxマシンにsshログインして行うので。クライアントがWindowsかMac OS Xかというのはそもそも関係ないですし、フロントエンドの仕事をしているわけでもないのでInternet Explorerでの確認が必須、といったこともありません。最近では身の回りでほとんどのソフトウェアエンジニアがMacBookで開発を行っています。
ちなみに、仕事でMacBookに移行してからもしばらくの間、自宅ではではThinkPad X40も併用していましたが、先日ブート時にほぼ確実にブルースクリーンに遭遇するようになってしまい、もう復旧も面倒なのでそれ以来Windowsには触っていません。実際のところ、Windowsでないとできないこと・起動しないアプリケーションって、かなり減ってきているんですよね。
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デスクトップの様子
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ターミナル(iTerm)の背景から見えるように、デスクトップは非常にごちゃごちゃしています。基本的にFinderを使ってファイルを検索できるので、デスクトップのどこに何がある、というのはあまり関係ありません。ファイルが増えてきて汚くなったなあと思ったら定期的にゴミ箱に入れたりしますが、それ以外はだいたい放置です。
■ コードを書くのに特殊な環境が必要ないMac
Macを使う最大のメリットの1つは、コードを書くのに特殊なソフトウェアや仮想環境をインストールする必要がない、という点でしょう。年末頃から「Remedie」というメディアセンターソフトェアを開発していますが、それもほとんどこのMacBook上で行っています。
コードを書くのに必要なものはターミナル(iTerm やOS付属の Terminal.app)に開発言語のPerl、それにエディタ統合環境であるEmacs、ソースコード管理のSubversionやGitだけで、基本的にはすべてフリーで手に入ります。こうした開発系のツールのインストールはもちろん手でビルドしてもいいのですが、面倒なので「MacPorts」などのツールを利用するとコマンド一発でインストールできて便利です。
そうそう、スクリーンショットからお気づきかもしれませんがいまだにMac OS X 10.4.x系のTigerを使っています。とくにこだわりがあるわけではないのですが、MacBook、Mac miniともLeopardが発表される直前に購入、セットアップしたためで、最近は Leopardにしないと動かないアプリケーションもいくつかでてきてたまに困ったりするのですが、次のOSであるSnow Leopard が出るまではこのままでもいいかも、とも思っています。
■ 小粋なソフトが数多くあるのがMacの魅力
よく使うアプリケーションはDockにいれていますが、数が増えれば増えるほどアイコンが小さくなって見にくくなるので必要最低限にしておき、それ以外は「Quicksilver」というランチャーから起動しています。
Quicksilverは非常によくできていて、ローカルのファイル名やSafariのブックマークなどさまざまなインデックスから部分マッチなどでアプリケーションを起動したり、ページ移動したりできます。開発はほとんど止まっていて、Leopardの場合はOS付属のSpotlightでほとんど同様のことが実現できるので、Tiger使いというわけでなければとくに使う理由はないかもしれませんが。
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ファイルはQuicksilverから検索
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前述の通りEmacs を使ってコードを書いていると、OSのさまざまなな操作もEmacs風の操作で実現したくなります。具体的にはカーソルの上下は「Ctrl-N」や「Ctrl-P」、あらゆる文字列は「C-a」「C-k」でヤンクにいれて「C-y」でペーストといった具合です。OS Xには「ある程度」このEmacs風のバインディングがデフォルトで用意されていて、たとえばSafariのURLロケーションバーなどは最初からこの方法で操作ができます。
が、この「ある程度」というのがくせ者で、これに対応していないアプリケーションも数多くあります。これをすべてシステム側で Emacs 風に変えてしまう神ソフトが「KeyRemap4MacBook」。Emacs 使いがMacBookを使う上では、これなしでは生きていけない必須のソフトウェアです。
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KeyRemap4MacBookでキーはイチをカスタマイズ
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他にもラップトップがスリープする時間を設定(あるいは開いている間は常にスリープしないように)する「Caffeine」、自宅のmac miniや友人のコンピュータなどとファイルを同期するのに便利な「Dropbox」、デスクトップの画像をキャプチャ、編集して Flickr などにアップする「Skitch」などのアプリケーションを利用しています。
こうした小粋なソフトが数多くあるのがMacの魅力だなぁとおもいますが、ちょっとできのいいものはたいていフリーではなかったりするのでちょっと困りものです。まあ、いいソフトウェアに対価の意味でちょっとしたライセンス料金を支払うのはまったくやぶさかではないのですが、フリーでもできるようなソフトに「$19」とかついていたりするとウーンという気にもなったりして、微妙なところです。
【追記】
この記事を執筆して2週間後、MacBookのハードディスクが異音を発して壊れ、修理に出した結果Leopardへの移行を余儀なくされました。Leopard では OS Xに付属する多くのソフトウェアが改善されており、その結果本文で紹介したアプリケーションはあまり使わない、あるいはインストールすらしていない状況になっています。
具体的にはQuickSilverのランチャや検索機能はSpotlightで代用しています。また、Terminal.appが複数タブやSSH Agent機能を内包したため、iTermとSSHKeychain もインストールする必要がなくなりました。QuicksilverやSSHKeychainはメモリを富豪のように使うことで一部で有名なようですが、このようなソフトを使わなくてもよくなったのは個人的に嬉しいです。
また、修理に出している間は1週間ほど代用のMacBookProで環境を整えたのですが、余っていたUSBのハードディスクにTime Machineバックアップを作成しておき、修理から戻ってきたところでMigration Assistantを使うことで、環境復旧が30分ほどでできました。Time Machineの過去に戻っていくUIはまったく必要だと思いませんが、OSにシンプルなバックアップツールが付属していて安心して使えるのは大きいですね。
宮川達彦の利用ソフト・サービス
2009/03/19 11:01
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宮川達彦 プロフィール:米 Six ApartにてTypePadやVoxのソフトウェアエンジニアを担当。PerlコミュニティであるShibuya Perl Mongersの立ち上げやYAPC::Asiaの開催に関わる。The Perl Foundation / O’Reilly & Associates共催の「White Camel Awards」2008年度受賞。著書に「Perl データマンジング」「Blog Hacks」(共著)。個人ブログはblog.bulknews.netとbulknews.typepad.com。 |
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