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第217回:MPEG-4 AVC採用でより高画質に 使いやすさも進化したソニーのロケーションフリー「LF-PK20」
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ソニーからロケーションフリーの新モデル「LF-PK20(ベースステーション)」が発売された。最大の特徴はMPEG-4 AVC採用による高画質化だ。従来モデルからどのような進化を遂げたのかを検証してみよう。
■ MPEG-4 AVC採用で高画質化
今回、発売されたロケーションフリーの新モデル「LF-PK20」は、これまでロケーションフリーに興味があったユーザーはもちろんのこと、すでに従来モデルを利用しているユーザーから見て非常に気になる存在だろう。MPEG-4 AVCの採用による高画質化、TVボックスによるテレビ接続への対応(しかもMPEG-2対応)、リモコンの学習機能搭載と大幅に進化を遂げており、さらに魅力的な製品となった。
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新ロケーションフリー「LF-PK20」(左)と旧ロケーションフリー「LF-PK1」(右)。本体のデザインも変更されたが、内容も大きな進化を遂げた
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特に画質面の向上は気になる点だろう。今までのロケーションフリーの場合、PSPをクライアントとして利用する際には画面が小さいこともあって画質の悪さをさほど感じないのだが、大画面のPC、しかも無線で映像を見ると画質の荒さにがっかりしてしまうことがあった。慣れてしまえば割り切って使うこともできるのだが、できればもっと少ない帯域でより高い画質を実現できて欲しい、というのが正直な印象であった。
最近になって、ロケーションフリーと同様にネットワーク経由でテレビ映像を伝送する製品が数多く登場してきたが、後発の利を活かして画質の高さを売りにしている製品なども存在する。こういった製品と比べると、残念ながらロケーションフリーの画質の荒さが目立つこともあった。このあたりがどこまで改善されたのかが、今回の製品の注目すべき点だろう。
■ 画質をチェック
早速、画質をチェックしてみよう。筆者宅で、実際に従来モデルのLF-PK1と新モデルのLF-PK20の両方で映像を見比べてみたが、確かにLF-PK20はMPEG-4 AVCおかげで、高い画質を実現できている。たとえば、以下は画質4(500kbps相当)、画質5(1Mbps相当)、画質6(3Mbps相当)のそれぞれの画質でLF-PK20とLF-PK1の画質を比較したものだ。
上段が従来モデルのLF-PK1、下段がLF-PK20。画質は左から順に500kbps相当の「画質4」、1Mbps相当の「画質5」、3Mbps相当の「画質6」
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静止画として切り出してしまうとその差がよくわからないが、実際に動画を見るとどのビットレートでも新型のLF-PK20の映像の方がシャープなイメージとなり、細かな部分の視認性も高くなっている。特に画質4などの低ビットレートの映像の改善は顕著で、動きの速いシーンなどでのノイズの発生も抑えられており、非常にスムーズだ。
印象としては、LF-PK20の画質4がLF-PK1の画質5に相当するような印象で、ワンランク上の画質ができていると感じた。ただし、この差は再生する映像にも依存するため、実際に映像を見ると、ほとんど差がないように感じられる場合もあるだろう。
なお、新製品のLF-PK20では、デジタル放送の普及やDVDの再生を考慮してか、ビデオ入力機器の画質設定で16:9の比率を選択できるようになった。試しに、デジタル放送に対応したHDD&DVDレコーダーを接続し、地上デジタル放送の映像を再生してみたのが以下の画面だ。
アナログ放送の映像(左)とデジタル放送の映像(右)。新たに16:9の比率にも対応し、デジタル放送対応機器などの映像も正しい比率で表示可能となった
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ここで興味深いのは、ビデオ入力経由と言えども、やはりデジタル放送の映像の方が映像がきれいな点だ。こちらも静止画にしてしまうとわかりにくいのだが、アナログ放送で見られる画面のザラつき感がデジタル放送ではほとんど感じられない。このように、もともと高いソース映像の画質をそのままネットワーク経由で再生できるのも、MPEG-4 AVCの恩恵なのだろう。
■ 実用上のビットレートは500~1Mbps
従来モデルから比べて確かに画質の向上が図られているLF-PK20だが、実際の利用環境で、その実力を発揮できるかどうかはまた別の問題だ。ロケーションフリーでは帯域に応じて自動的にビットレートを調整する機能が搭載されているが、この機能を利用した場合、3Mbpsの画質で再生されたのは有線LAN接続の場合のみであった。
無線LAN接続でも手動設定すれば3Mbpsでの再生も不可能ではないが、これは電波状況に大きく左右されてしまう。では無線LAN接続では、どれくらいのビットレートが実用的な範囲かというと、電波状況が良い場合で1Mbps、悪いケースでは500kbpsといったところだ。満足な画質を得るにはやはり1Mbps前後のビットレートは欲しいところだが、環境によっては(特に2.4GHz帯)、無線LANでこのビットレートを実現するのが難しいケースもあるだろう。
また、ロケーションフリーは外出先からインターネット経由で自宅にアクセスして利用することもできるが、この場合も回線に光ファイバーを利用したケースで500Kbps前後で再生された。500kbpsだと、スポーツ中継などを見るのはかなりツライだろう。
■ 使い勝手も大幅に向上
一方、使い勝手に関しても大幅に向上している。従来モデルでも、ダイナミックDNSの設定などが自動的に行われるなど、よく工夫された製品だったが、今回のモデルからブラウザベースの設定に加えてセットアップウィザードが追加され、よりわかりやすい設定が可能となった。
クライアントからベースステーションへの接続、ベースステーションのチャンネル設定やビデオ入力設定のリモコン設定、さらにインターネットからの接続など、すべてウィザードの指示に従って入力していくことで設定できる。従来モデルよりも、さらに初心者にやさしい製品になったと感じた。
また、無線LANの機能も改善された。従来モデルはアクセスポイント機能しか搭載されていなかったが、LF-PK20では他のアクセスポイントのクライアントになることも可能となっている。これにより、ネットワーク接続が難しい離れた場所などへのベースステーションの設置も可能となった。
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底面に無線LANの切り替えスイッチを搭載。これによりアクセスポイントとして利用するか、クライアントとして利用するかを選択できる
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このほか、本体の赤外線端子に向けてビデオ入力機器のリモコンを操作することで、リストにないリモコンをAVマウスで操作できるようになったほか、ビデオアウトが1系統搭載されるようになり、ビデオ出力が1系統しかない機器(たとえばPSX)も接続可能となるなど、細かな改善がなされている。
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LF-PK20(左)とLF-PK1(右)の背面の比較。新たにビデオ出力端子が装備されたことで、ビデオ出力を1系統しか持たない機器も接続可能となった
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リモコンの設定は、従来のようにリストから選択することも可能だが、新たに本体の赤外線ポートを利用して自動的に認識させることも可能となった。きちんと設定できれば、レコーダなどの操作も簡単だ
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もちろんPSPや従来のクライアント(LFA-PK1)からの接続も可能。逆に新しいクライアント(LFA-PK20)から旧ベースステーション(LF-PK1)に接続することも可能になっている。互換性という点でも問題はまったくない。
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従来のベースステーションやクライアントとの互換性も確保。PSPからの接続も問題なくできた
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■ 本命はTVボックスか?
このように、新しいロケーションフリーは画質や使い勝手が進化し、より製品としての完成度を高めた印象だ。ロケーションフリーの搭乗後、同様のスタイルの製品が数多く登場してきたが、あらためて比較してみると、手軽さや簡単さという点では一日の長がある製品だと感じた。
筆者宅では、ロケーションフリーを使う機会が比較的少なくなく、たとえば子供がカゼをひいて寝込んでいるときなどにベッドの近くまでノートPCを持って行き(ついでに外部ディスプレイに接続)、リビングのDVD&HDDレコーダで録画しておいたアニメをロケーションフリー経由で見せることがある。また、ゆっくり風呂に入りたいときなどは、PSPを防水パックに入れて持ち込み、テレビや録画しておいたビデオを見ながら湯船につかるといったこともたまにしている。このように、この製品があるだけで、家庭でのテレビの楽しみ方は大きく広がる。まだ未体験の人には、個人的にぜひお勧めしたい製品だ。
なお、発売日の変更で、今回のレビューには製品の出荷が間に合わなかったが、別売りのロケーションフリー TVボックス「LF-BOX1」 を利用することで、家庭用のテレビでベースステーションの映像を再生することが可能になる。こちらも製品が到着次第、あらためてレビューしたいと思う。
■ URL
製品情報
http://www.ecat.sony.co.jp/visual/airboard/products/index.cfm?PD=25714&KM=LF-PK20
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2006/10/24 10:58
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