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第251回:ひかり電話とBBフォンを同時に使える ISPフリーのコミュニケーションサービス「my BBコミュニケーター」
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ソフトバンクBBから、ISPフリーで050番号が使えるコミュニケーションサービス「my BBコミュニケーター」のトライアルサービスが開始された。現段階で利用できる無線LANルータを利用したIP電話サービスを試用した。
■ ISPフリーの050番号IP電話サービス
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「my BBコミュニケーター」のサービス概要(画面は6月に行なわれた発表会のもの)
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ソフトバンクBBが6月18日からトライアルサービスを開始した「my BBコミュニケーター」は、050番号のIP電話サービスと、メールやチャット、アドレス帳、スケジュール機能などのアプリケーションを利用できるサービスだ。
これまで、同社のIP電話サービスである「BBフォン」を利用するには、Yahoo! BBのADSLや光ファイバーサービスに加入する必要があった。これに対して、本サービスは回線やISPを問わずに利用できるようになっている。
料金体系は一般加入電話および他社050番号宛てが3分8.3895円、携帯電話宛てが1分21円(23時~8時の場合)、PHSが1通話10.5円、1分10.5円で、一般的なIP電話サービスとほぼ同等だが、Yahoo! BBの「BBフォン」や「BBフォン光」への通話が無料というのが大きなメリットだ。
同様にISPフリーの050番号サービスは、SkypeやNTTコミュニケーションズのドットフォンパーソナルVなどがすでに存在するが、これらのサービスが基本的にソフトフォンのみの提供になっているのに対して(ドットフォンパーソナルVはテレビ電話用専用端末も利用可能)、本サービスはIP電話対応の無線LANルータの提供によって、一般的な電話機が利用できるのが特徴だろう。
また、現時点ではサービスが開始されていないが、専用ソフトウェアである「フォンアプリ」を利用することで、前述したメールやスケジュール機能などのアプリケーション機能が利用できるのも特徴だ。本サービス開始予定となる8月1日以降は、さらにUSBフォンの提供なども予定されている。
IP電話サービスは、すでにブロードバンド回線にあって当たり前のようなサービスとなってきている。しかし、改めてそのサービスを見直し、新たな付加価値を提供することで、他社からの電話サービスの乗り換えや現時点でまだIP電話を利用していない層の獲得を目指していると考えられる。
同社は携帯電話事業や固定回線事業なども展開しており、FMCのような無線LANを利用した携帯電話サービスの開始が予定されていることも考えると、その布石としての戦略という可能性も十分に考えられる。
■ 既存の環境ごとに配線方法をガイド
と言うわけで、早速サービスを利用してみた。と言っても、現時点では無線LANルータを利用したサービスのみが提供されている。
提供される無線LANルータは、IEEE 802.11b/gに準拠した製品で、本体上部のスロットに無線LANカードを装着して利用するタイプとなっている。送付されてきたパッケージには無線LANカードが同梱されていたが、これは無線LANルータに装着するためのものとなるため、クライアント側の環境は自分で用意する必要がある。
my BBコミュニケーターで提供される無線LANルータ。IEEE802.11b/g準拠の無線LANカードが同梱されており、それを上部のスロットに装着することで無線LANを利用できる
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背面にはWANポート×1、LANポート×4のほか、電話回線と電話機を接続するためのポートが用意されている。ここに電話機をつなげばIP電話サービスを利用できる。ポートが色分けされておりわかりやすい
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設定方法もなかなかうまく工夫されている。ISPフリーでの利用ということで、すでに他社の回線を利用している環境に接続しなければならず、いくつかの接続方法を考慮しなければならない。たとえば、IP電話を利用していない場合は既存のルータと置き換えれば済むが、すでにIP電話対応ルータを利用している場合、その配下にmy BBコミュニケーターの無線LANルータを接続する必要がある。このため、接続方法をきちんと説明しないと、ユーザーがサービスを使えない可能性がある。
本サービスでは、このような接続方法や設定方法の違いを付属のユーティリティソフトによる設定ガイドでうまくフォローしている。無線LANルータとPCを有線で接続後、ユーティリティソフトを起動すると、現在利用しているIP電話サービスの種類(0AB~J番号か050か)によって、接続方法が図解で表示される。このガイドの通りに配線を変更すれば設定が完了するというわけだ。
設定ユーティリティを起動し、現在のIP電話のタイプなどを選択すると、具体的な接続方法が指示される。さまざまな回線、ISPでの利用が想定されるための工夫だ
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同社がレンタルするルータ製品は、ポートが色分けされているなど初心者に対する工夫がなされていたが、今回の製品も利用者がなるべく設定や配線に迷わないような工夫がなされている。こういったところは高く評価したいところだ。
■ NTT東日本のひかり電話環境でも利用OK
実際、他社のIP電話サービスを利用している環境でテストしてみたが、問題なくmy BBコミュニケーターのサービスを利用できた。筆者宅ではNTT東日本のひかり電話を普段から利用しているが、ひかり電話用のIP電話対応無線LANルータ(RT200NE)のLANポートとmy BBコミュニケーターのWANポートを接続することで、ひかり電話とmy BBコミュニケーターの050番号IP電話の両方を利用できた(電話機は別々)。
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NTT東日本のひかり電話環境で利用。問題なく電話の発信と着信が可能だった
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my BBコミュニケーターのIP電話サービスは機器側での設定が不要となっており、基本的に端末を接続するだけで利用できるようになっている。また、前述したように、すでにインターネット接続環境がある場合、my BBコミュニケーター用の無線LANルータはローカルルータモードとして動作するため、インターネット接続の設定も不要だ。このため、機器を接続するだけでインターネット接続も電話も利用できることになる。
すでに利用しているIP電話と併用するというケースはあまり考えられないのも事実だが、国内で高いシェアを誇るBBフォンのユーザーと無料通話ができることを考えると、特定の相手とのホットライン的に利用するケースも考えられる。
また、インターネットにつながりさえすれば利用できるため、たとえば会社の寮などでインターネット接続環境があらかじめ決められてしまっている環境で、家族や恋人とのホットラインとして新たに導入するというケースも考えられる。
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通話明細などはWebサービスから参照可能。050番号も有料で変更できる
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■ ネットワーク環境が若干特殊に
このようになかなか手軽で便利なサービスだが、1点注意すべきことがある。ネットワーク環境が複雑になるため、NASの利用やPC間のファイル共有などが面倒になる場合があることだ。
前述したように、既存のルータの配下にmy BBコミュニケーター用無線LANルータを接続した場合、すべてのPCや機器をmy BBコミュニケーター用無線LANルータのLANポートに接続すれば問題ないが、そうでない場合、ネットワークのサブネットが変わってしまう。
たとえば、既存のルータのLANポートに接続した機器がDHCPで192.168.0.0/255.255.255.0のネットワークである場合、my BBコミュニケーター用無線LANルータのLANポートに接続した機器は192.168.15.0/255.255.255.0となる。
この状態でも、my BBコミュニケーター用無線LANルータがルーティングすることで、双方のネットワークの端末同士で通信することができるのだが、残念ながら名前解決ができない。
このため、たとえばmy BBコミュニケーター用無線LANルータに接続した有線/無線クライアントから、既存のルータに接続されたNASの共有フォルダにアクセスする場合、Windowsのネットワークに機器は表示されず、「\\serername\share」と名前で指定しても共有フォルダにアクセスできない。この場合、「\\192.168.0.100\share」のようにIPアドレスでの指定が必要だ。
配線によっては既存のネットワークの名前解決ができない場合がある。このような場合はIPアドレスでアクセスするか、配線方法を変更しよう
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つまり、接続方法によっては、インターネットへの接続やIP電話の利用は問題なくできても、ファイル共有などでトラブルが発生する可能性がある。その仕組みを理解しておけば接続の変更や前述したIPアドレスによるアクセスで回避できる問題だが、気がつかずに利用するとトラブルになる恐れがある。この点には注意する必要があるだろう。
また、無線LANの設定に関しても、標準では暗号化が設定されていない。しかも、設定画面に用意されている「簡単設定モード」と呼ばれるウィザードではWEPしか設定できない。より高いセキュリティを設定したい場合は詳細設定モードで設定しておくことをお勧めしたい。
簡単設定モードではWEPしか設定できない。これに対して詳細設定モードではWPSはもちろんのこと、無線LAN端末間の通信禁止なども設定できる
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■ ホットラインとしての利用に最適
以上、ソフトバンクBBのmy BBコミュニケーターを実際に利用してみたが、思いのほか使い勝手が良さそうなサービスだ。
これまで、IP電話は通話料が無料と言っても、結局、相手の回線やISP次第という制限があったため、そのメリットを享受できるケースが少なかった。もちろん、ソフトフォンを使うという手もあるのだが、PCやヘッドセットによる通話に抵抗を感じる人も多かったことだろう。
今回のmy BBコミュニケーターは、この常識を打破するサービスと言って良いだろう。今使っている回線やISP、電話機などは一切変更せずに、特定の相手との無料ホットラインを実現できる。基本料の300円(+ユニバーサルサービス料7円)に、機器のレンタル料(月額500円程度を予定)がかかるが、現在、自分と相手の双方がそれ以上に固定電話の通話料を支払っているのであれば、十分に導入を検討する価値がある。
個人的には、これにとどまらず、ぜひFMCによる携帯電話での利用を期待したいところだ。このサービスによって、家庭の電話環境の再編、そして固定と携帯電話の融合が進むとなかなか面白いことになりそうだ。
■ URL
my BBコミュニケーター サービス概要
https://bbcc.softbank.jp/personal/index.html
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