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第260回:わずか2ステップで動画をアップロード
YouTube対応デジタルカメラ「EXILIM EX-V8」


 カシオからデジタルカメラ「EXLIM」シリーズの新製品4機種が登場した。カメラとしての機能強化に加え、新たにYouTubeへの対応が図られているのが特徴だ。動画の撮影やアップロードなどを実際に検証した。





本格的になったデジタルカメラの動画撮影機能

YouTube撮影モードに対応したEXILIM「EX-V8」
 画質が今ひとつ、長時間記録できない、バッテリーが持たない……。デジタルカメラの動画撮影機能にそんなイメージを持っている人がいるとしたら、そろそろそのイメージを改めるタイミングかもしれない。

 デジタルカメラはもはや静止画だけでなく、本格的な動画撮影にも使えるほどの実力を備えつつある。たとえば今回取り上げるカシオのEXLIM EX-V8などは、最大848×480(UHA/HQ画質)という高画質の動画をH.264形式で撮影できるだけでなく、光学7倍ズーム、CCDシフト式の手ぶれ補正などにも対応している。

 高圧縮の映像フォーマットを採用しているおかげで、撮影時間も十分に長く、UHQワイド(848×480)の場合で約18分/1GB。4GBのSDHCなどを利用すれば70分前後の撮影ができる計算だ。

 バッテリーの持ちも良好だ。筆者はインタビューの記録用に旧モデルとなる「EX-V7」を個人的に利用しているのだが、撮影モードなどの条件にも依存するものの、1時間を超えるようなインタビューでもバッテリー切れになった経験はない。

 実は、以前は他社製の動画デジカメを利用していたのだが、バッテリーの持ちが悪く、1時間を超える撮影ができないことがあった。インタビューに使う機会はあまりないかもしれないが、会議の記録といったビジネスシーンでの利用にも向いているだろう。


カシオのYouTube対応デジタルカメラ「EXILIM EX-V8」。光学7倍ズーム対応の810万画素対応機でH.264の動画撮影に対応している。外観は従来モデルとほぼ同じだが、フラッシュの位置が中央へと移動している 背面

上部に撮影ボタン 下部にクレードル接続用の端子

側面に電池とSDカードスロット クレードル設置例




動画は「録る」から「楽しむ」へ

 このように、デジタルカメラながら本格的な動画撮影を楽しめるEX-V8だが、今回の新製品では単に動画を撮影するだけでなく、撮影した動画を楽しむための機能が追加されている。それがYouTubeへの対応だ。

 EX-V8には、撮影シーンなどに合わせてあらかじめ最適な撮影設定がなされた「ベストショット」モードという撮影モードが搭載されているが、ここに「YouTube撮影モード」が新たに追加。YouTubeへのアップロードに最適化されたモードで撮影することが可能となっている。


プリセットされた設定から最適な撮影モードを選べるベストショットモード。この中にYouTubeへのアップロードに最適化された「YouTubeモード」が追加された

 具体的には、撮影可能時間が9分で自動終了するようになっており、ファイルサイズも最大90MB前後に収まるように調整されている。YouTubeではアップロードできる動画が撮影時間10分、ファイルサイズ100MBまでに制限されているため、YouTubeに最適化したサイズに収まるよう撮影できるというわけだ。


YouTubeモードでの動画撮影を開始。右上の残時間と撮影時間の合計に注目。YouTubeの10分という上限に収まるように9分まで撮影できる

 なお、制限されると言っても、画質はその犠牲とはなっていない。YouTube撮影モードでもH.264の640×480で撮影でき、フレームレートも29.97fpsと高くスムーズな映像となっている。この画質なら、YouTubeにアップロードする場合だけでなく、普段の利用にも十分だ。短時間の動画なら、このモードを使った方がむしろ便利かもしれない。


YouTubeモードで撮影した動画の詳細をQuickTimeで表示。H.264、640×480、29.97fpsで撮影されており、データ容量がYouTubeのアップロード上限である100MB以内の93MBに押さえられている

 もちろん、撮影だけでなく、アップロードも手軽にできるように工夫されている。付属のCD-ROMに、新たに「YouTube Uploader for CASIO」というソフトウェアが追加されており、このソフトウェアを利用することで撮影した動画を手間無くアップロードすることができる。

 具体的には、PCにUSB接続したクレードルにEX-V8をセットし、PCと接続するためのボタンを押す。これにより、PCにEX-V8が認識されると、あらかじめインストールしておいた「YouTube Uploader for CASIO」が自動的に起動する。あとは表示された一覧からアップロードしたい動画を選び、タイトルや概要、タグ、閲覧範囲などを設定後、「アップロード」ボタンを押せば、自動的にYouTubeにアップロードされる。

 アップロードする動画は全体公開だけでなくプライベートでもアップロード可能。インターネットに公開したくない動画でもアップロードできる。


EX-V8をクレードルにセット後、ボタンを押すと自動的にPCで「YouTube Uploader for CASIO」が起動する アップロードしたい動画を選択後(複数選択可)、タイトルや公開などの設定をしてアップロードすればYouTubeに登録される

 もちろん、YouTubeへのアップロードには事前の登録が必要になる。YouTubeのサイトにアクセスしてアカウントを取得後、そのアカウントをYouTube Uploader for CASIOに設定しておこう。


アップロードにはYouTubeのID登録が必要になる




YouTubeをビデオ保管庫として使う

 実際にEX-V8で撮影した動画をYouTubeにアップしてみたところ、さすがに9分間フルに撮影した映像ともなると90MBを超えるために時間がかかるが、撮影した映像をPCに取り込むのと同じような感覚でYouTubeにアップロードできる。


容量によってはアップロードに時間がかかるが、手間無くYouTubeにアップロードして再生することが可能
今回、テストとして撮影した動画


 これまでYouTubeに動画をアップロードするには、前述したような撮影時間やサイズに気を配り、場合によっては映像を再編集する必要があっただけでなく、ブラウザからの面倒なアップロード操作が必要だった。これにより、せっかく面白い動画が手元にあっても、手間が面倒で埋もれていった作品も少なくないはずだ。

 そういう意味では、今回のEX-V8でYouTubeとのインターフェイスが簡略化され、より多くの作品が世に出る可能性がありそうだ。今後、ブログ経由でのYouTube動画を目にする機会もより増えてくるのではないだろうか。

 また、ここまで手軽だと、転送にかかる時間さえ気にならなければYouTubeをビデオの保管庫として使うのも現実的だと感じた。PCに保存した場合、動画を見るのに手間がかかるだけでなく、PCのトラブルなどで動画がなくなってしまう可能性があるが、YouTubeにアップロードしておけば、ブラウザさえあればどこでも、どのPCでも動画を視聴でき、PCのトラブルなどで動画が失なわれることもない。

 もちろん、YouTubeの本質は、動画による情報発信や動画を核としたコミュニケーションにあるのだが、動画を公開することに抵抗がある人も多く、公開に適していない動画もある。このような動画を保存するためだけの、ストレージとしてYouTubeを使うのも悪くなさそうだ。





YouTubeアップローダーの幅広い提供に期待


 以上、カシオのEX-V8を実際に試してみたが、YouTube向けの動画作品を手軽に撮影できるうえ、手間無くアップロードできるのが大きな魅力だ。YouTubeをすでに利用しているユーザー、もしくはこれから使ってみたいと考えているユーザーにはぜひお勧めしたい。

 なお、個人的には従来のEX-V7向けにも、撮影モードの追加と「YouTube Uploader for CASIO」の提供(Mac版も含め)を望みたいところだ。せっかくの面白い機能なので、既存製品や既存ユーザーへの対応もぜひ検討していただきたい。


関連情報

URL
  製品情報
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_v8/

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2007/09/11 11:03

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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