フリーでいろいろ仕事をさせていただいております、正田拓也です。
デスクトップは昔から作業途中の一時的なファイル置き場やランチャーとして活用しています。表示解像度の低い低価格ネットブックは自分と相性が悪いと思っていたのですが、最近では見事にネットブックの使用率が高まっています。
自分がネットブックをここまで多用する理由は、何よりもまず、小さいという点でしょうか。数年前までは種類も多かったミニノートPCがほとんど姿を消した現在、小さいノートへの欲求は高まるばかり。そんなところへ超小型ボディと1kg以下で登場した初代Eee PCは自分にとってまさに欲求のど真ん中でした。しかも、価格は5万円以下、ここからネットブック沼へとはまっていったのでした。
そして、今はすでにネットブック3台目、レノボの「IdeaPad S10e」を使っています。
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3台目の「IdeaPad S10e」と初代Eee PC。色違いのために大きさの差はわかりにくいが、けっこう差は大きい。やはり小さいほうが持ち運びしやすい
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■ 初代Eee PCを即購入
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初代Eee PCの800×480ドットのデスクトップ。タスクバーは普段は隠す設定
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ブラウザはIE 7で75%表示とすると、実用的になる表示範囲
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Eee PCが「199ドルPC」といわれてニュースになったのは1年半以上前です。当時それを聞いて、価格はもちろん、そのサイズやスペックに注目していました。その頃は小型PCはあっても高価であったり、じゅうぶんではないキーボード性能など、自分のモバイルマシンとしては不十分なものばかりでした。
そこに、自作PCの世界で慣れ親しんだASUSから小型のノートPCの登場です。注目しないはずがありません。圧倒的に安い価格はハードウェアの多少の不満も吹き飛ばすほどの破壊力がありました。製品を見ると、必要十分な性能とキーボードなどの質を備えており、スペック面での見劣りも価格を踏まえればじゅうぶんなものでした。
即購入を決め、イー・モバイルの回線とセットで購入しました。当時、イー・モバイルは加入していましたが、セット割引、USB端末の入手を考えると多少の違約金を払っても1度解約して加入し直すほうが得だったからです。もちろん、今のように100円で買えたわけではなく、2万円ほどのセット割引でした。
すぐに買った初代Eee PCの画面は800×480ドット、よく考えてみると現在の携帯電話よりも粗い解像度です。わずか半年前のことですが、今見るとずいぶん低解像度であることに驚きます。
当時の使い方としては、4GBのSSDの制約を踏まえてアプリケーションは最小限。縮小表示機能があるというだけで、「Internet Explorer 7」を詰め込み、補助的に「FireFox」を使い、メールはSDカードに「Thunderbird」ポータブル版という組み合わせでした。そのほかはエディタに「TeraPad」をインストールする程度で、セキュリティソフトはインストール容量の少ない「avast!」を利用していました。
狭いデスクトップゆえ、ほとんど何も置くことなく利用し、良く使うソフトはクイック起動に入れておきました。クイック起動をうまく使えばよく使うプログラムはすぐ起動できます。画面が狭かったため、これまであまり使用しなかった「タスクバー を自動的に隠す」を有効にして使っていました。
Eee PCはすでに改造情報がネットにあふれていましたので、しばらくして内部にUSBポートを増設、分解したUSBメモリを仕込み、SSDとあわせて合計12GBの保存として使っていましたので、途中から容量の不自由は少なくなりました。画面の狭さやキーボードの小ささはすぐに慣れ、何よりも超小型PCによる持ち運びの便利さを実感していました。
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Cドライブが4GBだと、油断すればすぐ満杯が近づいてしまう
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クイック起動にたくさん放り込めば、手軽なランチャーになる
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■ 大画面、大容量HDD時代へ
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初代Eee PCと比べて性能が向上している「Aspire one」が2台目のネットブックに
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しばらく初代Eee PCを使い込んだころ、Atomプロセッサーが登場、画面も1024×600ドットになり、一部でHDDモデルが登場しました。そんな中、前評判が高かったAcerの「Aspire one」が登場しました。
初代Eee PCで体が慣れてしまった自分ですが、初代Eee PCとあまり変わらない価格でありながら、大幅にスペックアップした「Aspire one」に飛びついてしまいました。
初代Eee PCからの乗り換えですから、画面の保存容量も処理性能も、すべてにわたってパワーアップしています。120GB HDDによって持ち歩けるデータに制限がなくなり、モバイルでの利用を本格的にネットブックに切り替えたのもこの「Aspire one」になってからです。
HDD容量に制限がなくなったため、アプリケーションも最大手のセキュリティソフトを導入し、JAVA必須の「Open Office.org」や「GIMP」のフルセットを何の躊躇もなくインストールできるようになりました。ブラウザも現存する各エンジンすべてをインストールできます。ブラウザを複数インストールするのは、Webサイトチェックなどで、Cookieを別々に管理したい場合にも独立して動作するからです。
「Aspire one」を持ってからの1~2カ月は、メインのデスクトップPCをほとんど使わないくらいまで、ネットブック使用率が高まりました。
実際のデスクトップはというと、800×480から1024×600への拡大ですから、快適そのものです。「タスクバー を自動的に隠す」の設定をやめ、何の不自由ないモバイル利用をしていました。
■ 「IdeaPad S10e」は縦576ドットの狭い画面
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1024×576ドットのデスクトップ。800×480ドットを多用した経験があれば、上下が多少狭くてへっちゃらかもしれない
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IdeaPad S10eのキーボードはお気に入りだが、唯一気に入らないのはCtrlキーの位置
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現在使用する「IdeaPad S10e」の短所といえば上下の解像度が576ドットである点です。最近になってモデルチェンジしたネットブックが相次いで上下576ドットを採用していますが、最初に「IdeaPad S10e」の発表資料を見たときは目を疑いました。
実は国内発売前に、海外仕様を手にとる機会がありました。キーボードの良さや、しっくりとくるスタイリングに「IdeaPad」の国内仕様が登場したらすぐ買い換えるつもりでした。大容量バッテリーを追加購入して「Aspire one」を使い続けるという選択肢もあったのですが、手に馴染むボディやキーボード、大容量バッテリーが標準で、分解してパーツ交換のしやすいボディなど、比べれば比べるほど「IdeaPad」に乗り換えるメリットが出てきます。
「IdeaPad S10e」の購入直前で上述した画面の問題がでてきましたが、気持ちは完全に買換モードでしたので、不便を承知で決断しました。ところが、576ドットの実物に触れてみると、600ドットと比べて窮屈な印象を受けません。すでに480ドットで苦労した経験があり、多少の違いでは大した問題と感じなかったのです。これがXGA(1024×768ドット)液晶のノートPCからの乗り換えなら、また違った印象を持つのでしょう。
購入して翌日には「Aspire one」から「IdeaPad S10e」への乗り換え作業は完了しました。576ドットは特に気ならなかったのですが、一部の操作で上下が切れてしまうこともあり「タスクバー を自動的に隠す」の設定が復活させています。それ以外は、ほぼ「Aspire One」とほぼ同じ環境としています。
買い替えのきっかけにもなったバッテリー駆動時間ですが、翌日からはバッテリーの持ちが約2倍になったおかげで、さらに「IdeaPad S10e」を使うようになっていました。
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画面から一切の装飾をなくすには「パフォーマンスを優先する」を選ぶ。ネットブック利用の基本だ
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「タスクバーを自動的に隠す」はできれば使いたくないが、こうすることで1024×576ドットである不自由が和らぐ
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スタートメニューのアイコンを小さくして、プログラム数を10程度に設定すれば、よく使うプログラムがスタートメニューからすぐ起動できる
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■ Windows 7への期待
ベータ版が公開されたWindows 7は、すぐに「IdeaPad S10e」に入れてみました。世間では高評価ですが、正直、もう少しブラッシュアップされてくれないとメリットはないなという印象です。
デフォルトでは画面解像度を無駄に消化する関係で、クラシック表示に設定して試用していますが、これでは画面に新しさが感じられないので、余計にメリットを感じません。出先でWindows 7を見せる場合にも、画面テーマを元に戻して使っています。
新しいタスクバーも、従来のクイック起動のほうが便利のような気がします。全体的に動作が遅くなり、フォルダ内のファイル表示の遅さなど、Windows Vistaと同じという気もしないでもないです。
また、新しいInternet Explorerは現時点の状態では、ネットブックには荷が重いように感じます。Windows 7ではブラウザはメインがFireFoxになってしまいました。トータルでみると、実用的なメリットが乏しいので、もう少し試用した後は、Windows XPに戻そうと思っています。
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Windows 7のデスクトップ。グラデーションやフェードイン/アウトなど視覚効果たっぷり。狭いデスクトップゆえ、ウィンドウ枠が太いデザインは表示範囲を消費してもったいない
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クラシック表示にすると画面の無駄が少なくなる、アイコンはもちろん小さいアイコンにしている
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■ 次のネットブックは
2009年1月に発表されたソニーの「VAIO type P」はさらに小型軽量、かつ画面解像度が高いということで、買おうと思ったのですが、思いとどまりました。動作速度に不安があったことと、「IdeaPad S10e」を買って1カ月ということもあり、切りがないと思ったからです。
現在の低価格ネットブックはスペック的にもほぼ完成形、不満のある画面解像度についても緩和されなければ、買い換える必要性も感じられません。このネットブックをいつまで使い続けるかわかりませんが、しばらくモバイルについては1024×576ドットの狭い画面でふんばってみようと思います。
■ URL
ネットブック/UMPC特集
http://www.watch.impress.co.jp/headline/extra/2008/netbook-umpc/
2009/03/26 11:03
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正田拓也 以前、旧Broadband Watch編集部に在籍。最近、必要に迫られて半田ごてを握る機会が多くなり、気づけば電子工作がマイブーム。取り組むテーマは白色LEDとデジタルアンプとジャンク復活。 |
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