アイ・オー・データ機器から発売されているNAS「LANDISK」に、Gigabit Ethernet対応の新モデル「Giga LANDISK(HDL-Gシリーズ)」が追加された。最大の特徴はGigabit Ethernetの性能をフルに発揮する高いパフォーマンスだ。同社から試用版の製品をお借りして、その能力を実際に検証してみた。
■ クラス最高速のパフォーマンスを発揮
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Giga LANDISK
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アイ・オー・データ機器から発表されたGiga LANDISKは、パフォーマンスが前面に押し出されたNAS製品だ。Intel XScaleテクノロジ、Intel 82541PIギガビットイーサネットコントローラ、128MBのDDR SDRAM、7,200rpmのハードディスク、専用チューニングを施したLinuxベースのOSと、パフォーマンスを向上させるための技術が満載されている。
Gigabit Ethernetに対応したNASは、すでに他社から発売されているが、単にGigabit Ethernetに対応するだけでなく、その性能をフルに引き出すための工夫がなされているのが特徴だと言える。
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本体前面
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背面
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では、実際にどれくらいパフォーマンスを発揮できるのだろうか? 同社ホームページでは、最大速度719Mbpsという数値を公開しているが、これもあながち大げさではないようだ。実際に筆者宅で、HDL-G160U(160GBモデル)を利用し、FTPによる速度を計測してみたところ、以下の表のようにGETで最大692.55Mbpsの速度を計測することができた。この速度は確かに驚異的だ。
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Giga LANDISK |
Jumbo Frameなし |
Jumbo Frame(9,014byte) |
PUT |
GET |
PUT |
GET |
20MB ZIP |
97.93 |
654.95 |
180.84 |
692.55 |
50MB ZIP |
100.90 |
432.54 |
128.04 |
435.40 |
※単位はMbps
※クライアントにはPentium4 630J、RAM1GB、HDD160×2(SerialATA RAID0)のPCを使用
※Windows XP SP2のコマンドプロンプトからFTPコマンドを実行して計測 ※以下同条件 |
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FTP転送テスト1(JumboFrameあり/なし)
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Giga LANDISKでは設定画面でJumbo Frameを有効/無効に設定できるが、有効時の方がPUTの速度が速くなるものの、GETの速度はほとんど変わらなかった。Jumbo Frameなしでもここまで高速な転送ができるのは、やはり内部的な処理が高速なおかげだろう。
ただし、ここで注意したいのは、公称の719Mbpsに近い値が出たのは、上記の表で20MBのファイルをGETした場合のみだった点だ。PUT値、および50MBのZIPファイルの場合には、400Mbps程度にまで速度が落ち込んでしまった。
これは、ハードディスクがボトルネックになっているからだと予想できる。実際、クライアント側で「get test.zip nul」とnulデバイスを指定して、ハードディスクのボトルネックを無くしてみたところ、以下の表のように50MBのファイルでも700Mbps近い値を計測できた。確かにGiga LANDISKのネットワーク性能は高速だが、最終的にはハードディスクの性能に左右されてしまうようだ。
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Giga LANDISK |
Jumbo Frameなし |
Jumbo Frame(9,014byte) |
50MB ZIP |
GET |
GET(NUL) |
GET |
GET(NUL) |
432.54 |
707.80 |
435.40 |
677.49 |
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FTP転送テスト2(NULL時比較)
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Giga LANDISKのパフォーマンスは非常に優れているが、実質的な速度は転送するファイルや利用するPCによって変わる可能性が高い。常に700Mbps以上の速度でファイルをやり取りできるとは考えない方がいいだろう。
■ 他社製品とパフォーマンスを比較
ユーザーとして気になるのは、他社製のGigabit Ethernet対応NASと比較した場合の速度だろう。そこで、バッファローのGigabit Ethernet対応NAS「LinkStation」の300GBモデル「HD-HG300LAN」と速度を比較してみた。
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Giga LANDISK |
LinkStation |
PUT |
GET |
PUT |
GET |
20MB ZIP |
180.84 |
692.55 |
105.49 |
157.65 |
50MB ZIP |
128.04 |
435.40 |
101.16 |
157.56 |
※Jumbo FrameはLANDISKが9,014byte、LinkStationが7,418byteで設定 以下同条件 |
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FTP転送テスト3(他社製品比較)
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先ほどと同様にFTPによる速度を計測してみたところ(両製品ともJumbo Frame有効の状態で計測)、PUT/GETともにGiga LANDISKの方が高速な結果となった。GETに関して言えば、実に4倍以上の速度だ。
ただし、これは機器の純粋な性能比較では意味があるが、実際の利用シーンを想定するとあまり意味がない。というのも、ルータなどであればFTPを利用する機会もあるが、NASをFTPで利用する機会はあまりないからだ。FTPの速度は、Windowsのファイルコピーなどと比べるとはるかに高速なため、前述した速度がそのまま実用上の速度とは言い難い。
そこで、Windowsのファイルコピーでも速度を比較してみたが、今度は若干ながらバッファローのHD-HGLANの方が高速な結果となった。アイ・オー・データ機器がホームページ上で公表している比較では、Windowsのファイルコピーも同社製の方が高速な結果となっていたが、筆者宅の環境では逆の結果となった。
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Giga LANDISK |
LinkStation |
PC→NAS |
NAS→PC |
PC→NAS |
NAS→PC |
20MB ZIP |
78.52 |
115.31 |
82.76 |
149.13 |
50MB ZIP |
66.90 |
127.20 |
88.36 |
159.55 |
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Windowsファイルコピー
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なお、今回の結果はあくまで筆者の環境であり、今回利用した製品も試用版であって製品版とは異なる。さらにテスト環境も、アイ・オー・データ機器ではWindows XP SP1を利用しているのに対して、筆者の環境ではWindows XP SP2を利用している。SP2はSP1に比べてネットワークの速度が下がるケースがあるため、今回の数値を持って製品の機能を一概に判断することはできないが、どちらにしてもWindows上で普通にファイルを読み書きする限りは、FTPほどの高速な性能は望めなさそうだ。
とはいえ、実質的にパフォーマンス面でのアドバンテージがないのかというとそうでもない。たとえば、HDL-G160Uでは、設定画面のレスポンスが非常に良い。バッファローの製品は設定画面でメニューを選択したり、設定を変更すると、常にワンテンポ遅れる感じで画面が切り替わるが、HDL-G160Uは画面の切替えなどがキビキビとして気持ちが良い。こういったあたりは、内部処理の高速さが活かされていると感じた。
■ 実用面がよく考えられたGiga LANDISK
バッファロー製品と比較して、実質的な速度面でさほど差がないとなると、やはり購入の決め手となるのは使い勝手の良さだろう。
まず、ハードウェア的な完成度に関しては、アイ・オー・データ機器のGiga LANDISKに軍配を上げたい。今回の製品は、従来のファンレス製品と異なり熱対策のためのファンが搭載されたが、動作音自体は意外なほど静かだ。バッファロー製品も、それほどうるさいというわけではないのだが、比較すると明らかにGiga LANDISKの方が静かに感じる。HDDが7,200rpmの高速タイプのために、設置場所によっては振動が伝わってくることがあるが、全体的な静粛性は非常に優れている。家庭内に設置して常に稼働させることを考えると、大きなメリットと言えるだろう。
また、細かな点ではあるのだが、Giga LANDISKは設定画面から本体前面のLEDの明るさを3段階に切替えることが可能だ。個人的にはこの機能は非常に高く評価したい。機器のLEDというのは、意外なほど気になるもので、特に夜間などではまぶしいほどに光る製品などもある。オフィスに設置するのであれば、それでもかまわないだろうが、家庭内に設置する場合、LEDが明るすぎる製品は迷惑にさえ感じる。ユーザーの実用環境をきちんと想定して製品が作られているのには感心した。このほか、USBポートが前面1、背面3の4ポート用意されているのも便利だろう。
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LEDの明るさを3段階に調節可能。このほか動作音が静かな点など、実用面での使いやすさがかなり追求されている
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■ NASとしての使いやすさは一長一短
さて、NASとしての機能に関しては、正直、一長一短と感じた。もちろん、細かな機能を比較すると、後発のGiga LANDISKの方が機能が豊富だ。たとえば、Giga LANDISKには、USBメモリやデジタルカメラなどの機器からダイレクトにNASにデータをコピーできるクイックコピー機能が搭載されている。個人的には、NASはラックの上など離れた場所に設置するのであまり使う機会はないのだが、PCを起動しなくてもデータのコピーができるのは便利な機能だろう。
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前面ポートにUSBメモリを装着。本体の「コピー」ボタンを長押しすると自動的にデータがコピーされる
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また、ディスクの省電力管理を分単位で指定できたり(USBハードディスクのスピンダウンも可能)、曜日単位でのスケジュール設定やPCの共有フォルダのデータをNAS側から定期的にバックアップできる機能も使いやすい。こういった付加的な機能の完成度は、バッファローと比較してもワンランク上と言っていいだろう。
ただし、残念なのは、バッファローのHD-HGLANでサポートされている共有フォルダの「ごみ箱」機能がGiga LANDISKではサポートされていない点だ。複数のユーザーでファイルを共有する場合、ほかのユーザーが間違ってファイルを削除してしまうというようなトラブルが時おり生じる。HD-HGLANの場合、削除したファイルが「ごみ箱」に入るので、誤操作でもファイルが助かるケースがあるのだが、Giga LANDISKでは完全に削除されてしまう。この機能はぜひ搭載していただきたいところだ。
さらに、Giga LANDISKはアクセス権の管理が簡易すぎる印象もある。フォルダに対して設定できるアクセス権は、「全ユーザーへの許可」「特定のグループのみの許可」「特定ユーザーのみへの許可」の3種類だけ。これに対してバッファロー製品は、アクセス許可を与えたいユーザーやグループを自由に追加できる。複数のグループを作成し、複雑なアクセス権を設定したい場合はバッファロー製品の方が便利だ。
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アクセス権の設定は、大きく3種類の設定が可能。グループをうまく作れば複雑なアクセス権の設定も不可能ではないが、その場合、グループの管理が煩雑になる
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このほか、バッファロー製品ではUSB接続のテレビチューナーユニットでテレビ録画ができる「Link de 録」も利用できる。筆者が個人的にHD-HG300LANを利用している理由は、NASとして使えるほかに、テレビ録画環境としても使えるからに他ならない。Giga LANDISKも東芝のfaceシリーズと組み合わせればテレビ録画が可能だが、faceシリーズを購入するというのは敷居が高いだろう。
■ 両方の機能を合わせた製品が欲しい
このように、Giga LANDISKは、高いパフォーマンスという特徴に加えて、実用面での使いやすさがよく考えられている製品と言える。ただし、後発で登場したのだから、ライバル製品でサポートされている機能はすべて搭載するといったようなどん欲さを持ってほしかったと感じた。個人的には、Giga LANDISKとHD-HGLANの両方の機能を兼ね備えたNASが理想的なのだが、なかなか難しいところだ。
さらに、どのメーカーでも構わないのだが、個人的にNASに搭載することを検討していただきたい機能がFAXサーバー機能だ。最近ではFAXが使われる機会はあまりないのだが、それでもFAXで送られてくる文書は完全にはなくならない。使用機会があまりないからこそ、個人的にはFAX機で受信するのがばかばかしく思えてならない。NASがFAXを受信して、メールで転送してくれれば便利だと思うのだが……。ニーズはあまり多くなさそうだが、個人的には便利に使える機能だと感じているので、ぜひ検討を望みたいところだ。
■ URL
Giga LANDISK
http://www.iodata.jp/prod/storage/hdd/2005/hdl-g/index.htm
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2005/06/28 11:00
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