5月中旬からのサービス開始が予定されている「プレイステーション 2向けオンラインサービス」。各プロバイダーから「PlayStation BB Unit」の予約受付も開始され、本格始動まで秒読みという段階に入った。しかし、問題は家庭内の配線だ。プレイステーション 2の設置場所を考えると、ネットワークケーブルを引き回すのが難しいケースもある。そこで今回は、プレイステーション 2の無線LAN化に挑戦してみた。
■ ネットワークの配線をどうするか?
「PlayStation BB Unit」の手配も完了。「ファイナルファンタジーXI」の予約も済ませて、すべての準備は完了。後は、サービスが開始されるのを待つだけ。そんな思いで、「プレイステーション 2向けオンラインサービス」の開始を待ち望んでいる人も多いことだろう。
しかし、ここで忘れてはならないのがネットワークの配線だ。「PlayStation BB Unit」でインターネットに接続するためには、ルーターなどとネットワークケーブルで接続しなければならないが、家の間取りによっては、この配線がうまくできないケースも考えられる。たとえば、ルーターが設置してあるのが家の1階で2階にプレイステーション 2が設置してあるといったケース、ルーターが設置してある部屋とプレイステーション 2が設置してある部屋の間に複数の壁やドアがあるケースなどでは、ネットワークケーブルの配線が困難と言えるだろう。
しかし、こんな配線の問題も無線LANを利用すれば、解決することができる。もちろん、プレイステーション 2自体を無線LANに対応させることは難しいが、最近ではネットワークケーブルに接続するタイプの無線LANアダプタが販売されている。つまり、これを利用すれば、有線LANのコネクタしか装備していないプレイステーション 2でも無線LANでインターネットに接続できるわけだ。ということで、実際にプレイステーション 2を無線LAN化してみた。
■ Aterm WL11Eの初期設定にはPCが必要
今回、利用した機器は、NECアクセステクニカから販売されている「Aterm WL11E」というイーサネット接続タイプのワイヤレスLANサテライトだ。同社が販売している無線LAN対応ルーター「WARPSTAR」シリーズの子機として動作させることはもちろん、単純に無線LANのアクセスポイントとしても利用できる製品となっている。
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WARPSTAR Δ(デルタ)サテライト WL11E
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25×80×106mm(幅×奥行き×高)のボディに、10BASE-T/100BASE-TXインターフェイスを1つ装備する
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今回は、すでにWARPSTAR Aterm WDR85FH/CEを使った無線LANが構築されている環境に、子機としてWL11Eを接続してみた。接続イメージとしては、以下の図のようになる。要するに、プレイステーション 2に子機となるWL11Eを有線LANで接続し、親機となるWARPSTARで構築した既存の無線LANネットワークに接続したわけだ。
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プレイステーション 2とWL11Eを有線LANで接続。WL11EをWARPSTARの子機として動作させることで、無線LANによるインターネット接続が可能になる
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とまあ、接続自体は非常に簡単なのだが、実際に接続する前にWL11Eの設定をしなければならない。WL11EをWARPSTARの子機として収容するためには事前の設定が必要となるのだが、当然のことながらプレイステーション 2から直接設定を行なうことはできないので、PCから設定しなければならない。ただし、この作業はさほど難しくない。WL11Eを有線LANでPCに接続し、パッケージに付属のETHERNETマネージャを使って親機のMACアドレスなどを設定していくだけで済む。あらかじめWARPSTAR側にもWL11EのMACアドレスを登録しておくなどの注意点はあるが、基本的にマニュアルやユーティリティの画面を見ながら設定を進めれば、それほど難しくないだろう。
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これがWL11Eの設定画面。PCから専用ユーティリティソフトを使って設定する
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初期設定が完了すれば、あとはプレイステーション 2に接続するだけだ。設定用のPCからWL11Eを取り外し、プレイステーション 2に接続し直せば作業は完了で、プレイステーション 2側の設定は一切必要ない。ただし、プレイステーション 2とWL11Eを接続するケーブルはクロスケーブルとなるので、この点だけは注意しておきたい(PCと接続する場合も)。これで、プレイステーション 2のネットワーク通信がWL11Eで無線LANにブリッジされるようになる。
■ NetFront for Δでインターネットアクセス
さて、これでプレイステーション 2から無線LANでインターネットに接続できるはずなのだが、肝心のアプリケーションがないとインターネットに接続することはできない。そこで、今回はNECインターチャネルから販売されている「NetFront for Δ(デルタ)」というプレイステーション 2対応インターネットブラウザを利用してテストしてみた。
結論から言えば、何の問題もなくインターネットにアクセスでき、Webページの閲覧、メールの送受信などが可能だった。ちなみに、プレイステーション 2用のDVDプレーヤーリモコンからも操作可能だったため、ソファでくつろぎながらWebを見るという使い方も可能だ。
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テレビ上に置かれたプレイステーション 2の上にWL11Eが乗っている。意外にコンパクトなのがおわかりいただけるだろうか
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ただし、PCと同じような感覚でインターネットにアクセスできるかというと、そういうわけにはいかない。パッドやリモコンからの操作では、URLの入力(ソフトウェアキーボードで可能)が面倒で、メールの本文入力も非常に時間がかかる。プレイステーション 2用のブラウザとしては完成度は決して低くないのだが、普段、PCでインターネットに接続している感覚で操作すると、かなりまどろこしい感じだ。
リビングにあるテレビでインターネットにアクセスできるというのは、一見便利そうなのだが、これが本格的に普及するには、操作性がさらに改善されないと相当キビシイだろう。やはり、ブラウザやメールソフトを使うという用途ではなく、今後登場するネットワークゲームのために無線LAN化するというのが妥当な方向だろう。
ちなみに、WL11Eは、別途ハブを接続することで、複数の機器を接続することも可能だ。これにより、現状はプレイステーション 2くらいしか接続する機器は存在しないが、今後ネットワークに対応した家電などが登場した場合でも対応できることになる。個人的には、ハードディスクビデオレコーダーなどがネットワークに対応し、ネットワーク上のPCからもテレビや録画した番組などが見られるようになるとうれしいところだ。もちろん、映像を無線LANで伝送するとなれば、802.11bの11Mbpsではキビシイという問題はあるが……。
■ 買っておいて損はない
このように、WL11Eは、プレイステーション 2を無線LAN化するのに、かなりよい選択肢のひとつと言える。設定は難しくないし、複数の機器を接続できる拡張性も備えており、お買い得感は高い。また、前述したように無線LANのアクセスポイントとして使うこともできる。せっかく「PlayStation BB Unit」を手に入れてネットワーク化するのであれば、いっそのことWL11Eで無線LAN化まで検討してみるとよいだろう。
■ URL
AtermStation
http://121ware.com/aterm/
2002/04/30 11:09
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