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第8回:NTT-ME MN128mini-J
[2002/05/2]
第7回:IEEE 802.11a無線LANカード(後編)
[2002/04/25]
第6回:IEEE 802.11a無線LANカード(前編)
[2002/04/18]
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[2002/04/11]
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[2002/04/04]
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[2002/03/28]
特別編:Intelから高性能ルータを実現可能な「IXP425」が登場
[2002/03/15]
第2回:ADSLモデムの内側
[2002/03/14]
第1回:ブロードバンドルータの内側
[2002/03/07]
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第6回:IEEE 802.11a対応無線カード(前編)


 第6回目は、第3回に引き続き無線LANカードの内部構造をご紹介したい。今回取り上げるのはアイ・オー・データ機器が発売している802.11a対応の無線LANカード「WN-A54/PCM」である。アイ・オー・データの製品は以前にも取り上げているが、単に第3回目は「手元にあった使っていないIEEE 802.11bカードがアイ・オー・データのものだった」、今回は「店頭売りしていたIEEE 802.11aカードがこれだけだった」という理由によるもので、他意はない。



主なスペック

アイ・オー・データ機器のIEEE 802.11a対応無線LANカード「WN-A54/PCM」。現在VAIO専用のソニー製品を除けば、店頭で入手できる唯一のIEEE 802.11aカード

 年末に登場したIEEE 802.11a製品は、特にIEEE 802.11bを使った経験のあるユーザーを中心に売れているようだ。価格的にはアクセスポイントが4万円台の中ほど、PCカードの方が1万8000円程度となっており、802.11b製品と比較すると倍近い金額ではあるが、実効速度で6Mbpsが限度の802.11bに比べて4倍近い性能を出せることを考えれば、金額の差を埋めて余るものがあると考えるのであろう。

 マンションなどでコンクリートの壁があったりすると、途端に電波が通らなくなるのはIEEE 802.11bよりシビアであり、そういう意味ではピーキーな製品ではあるが、これは製品の問題というよりも5GHzという高い周波数帯を使っていることに起因しており、仕方ないところだ。

 現状、日本で販売されている汎用製品はこのWN-A54/PCMとアクセスポイントであるWN-A54/BBRのみであり、あとはSONYが同社のVAIO向けオプションとしてPCWA-A500PCWA-C500を出すのみだ。

 その他のベンダーとしては、まずプラネックスコミュニケーションズもIEEE 802.11a製品をアナウンスしたが、実際の発売は5月上旬になる模様。ディアイティは米ProximのHarmony/Skylineシリーズの輸入販売を始めているが、最初はビジネス用途のHarmonyシリーズで、ちょっと一般ユーザーには手が出ない。またIntelもIEEE 802.11a対応製品を既に出荷している「らしい」のだが、こちらはSIベンダー向けだそうで一般流通チャネルには出荷しない模様で、これまた全然入手できない。つまり現実的に入手できるのは、WN-A54/PCMとWN-A54/BBRのセットということになる。

「WN-A54/PCM」の背面

 さてそのWN-A54/PCMであるが、こちらは真っ当にCardBus対応のIEEE 802.11a無線LANカード。IEEE 802.11bとは互換性はない。サイズは119×54×10.4mm(縦×横×最厚部の厚み)。アンテナ部がかなり大きく盛り上がっており、デザイン上でのアクセントともなっている。アンテナ部の上にはPowerとNetworkの2つのLEDが用意されており、通信状態が目視できるのは便利である。

 ちなみに同社のカタログによれば、最長通信距離は(見通し状態で)最大100メートル、伝送速度は54/48/36/24/18/12/6 Mbpsの自動調整、またクライアント台数は16台以下を推奨となっている。裏面は綺麗にフラットになっている。



内部構造(分解編)

 まずはパッケージの金属面を剥がしてみる。表裏とも、金属パネルは嵌め込み式とされ、更に両面テープで止まっており、金属パネルを変形させずに剥がすのは無理である。剥がしてみると、表側はごらんのようなシールドケースが目に付くが、裏面は鉛テープが1カ所貼られているだけで、他は特にシールドはなされていない。外枠を取り外すと、こんな感じだ。シールドケースはハンダ止めされており、引き剥がすと内部にRF回路が収まっているのが判る。

表側はシールドケースが目に付く 裏面は鉛テープが1カ所貼られている

外枠を剥がしたところ(表面) 外枠を剥がしたところ(裏面)

ハンダ付けされたシールドケースの内部にはRF回路が収まっている

 ちなみに鉛テープを剥がしても特に部品は無く、単にパターンがあるだけの状態だ。注意点としては、突起状の接点がシールドケースおよび基板裏のパターン面から突き出しており、そのままパッケージの金属面と接するようになっている。つまり、内部に厳重なシールドケースを装備する代わりに、外側の金属パネルをうまくシールドケースとして利用するようになっているわけだ。

 ちなみに内部基板には、はっきりとSONYの文字が記載されている。寸法やスペックを比較するとそっくりであり、何より外観がPCWA-C500とそっくりなあたり、PCWA-C500のOEM製品と考えるのが妥当そうである。

 なお、細かな内部構造については、誌面が尽きたので次回の後編でお送りする。



(2002/04/18)
槻ノ木隆
 国内某メーカーのネットワーク関係「エンジニア」から「元エンジニア」に限りなく近いところに流れてきてしまった。ここ2年ほどは、企画とか教育、営業に近いことばかりやっており、まもなく肩書きは「退役エンジニア」になると思われる。
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