前編ではAX300の製品単体での機能を紹介してきた。後編となる今回は、PCと連携した場合の本製品の機能を見ていきたい。PCとの連携機能に関しても、前編と同様に全機能を羅列すると、とてもここでは書ききれないので、こちらもAX10/20からのアップデート点などを中心に見ていくことにしよう。
■PCへのコピーを簡便に行なうAX連携ツールが便利
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ホームAVサーバー「AX300」 |
まず、もっとも基本的な部分であるAX300内のデータを視聴する方法は、AX10/20と同様、「SmartVision/PLAYER」を利用する(画面01)。なお、余談ではあるが、SmartVision/PLAYERは2004/2/9付けで新しいバージョンがリリースされている。すでにAX300を持っている人、今後購入予定のある人はぜひアップデートされたい(編集部注:NECの総合情報サイト「121ware.com」のダウンロードページ内にて公開されています)。
さて、AX10/20には「AX10/20設定ツール」というツールが付属していた。これはウィザード形式でAX10/20のポート番号やホスト名を設定するツールであった。本製品では本体内にHTTPサーバーを持つことで、AX10/20以上に多くの機能をPC上から設定できるようになった(画面02)。AX10/20で可能だったポート番号やホスト名のほか、AX300自身のIPアドレスも設定可能。さらに、AX300が持つメールクライアント機能の設定もこの画面から行なえる(画面03、04)。このほか、メール作成に便利な定型文の編集、おまかせ録画時のキーワードの編集、セキュリティ機能などの設定が可能だ。
続いて、先に紹介したADMS-EPG+について触れておこう。ADAMS-EPG+は、ADAMS-EPGと同様の内容をインターネットから取得できるiEPGの一種である。ADAMS-EPGが決められた時間にしか取得できないのに対し、ADAMS-EPG+はいつでも、短時間で取得できる点がメリットだ。
ただし、本製品でADAMS-EPG+を利用する場合は、PC上で番組表を取得して、それをAX300へ転送する、という手順を取る必要がある。また利用に当たっては、電子メールアドレスを入力して登録する必要がある(画面05)。とはいえ利用料金は無料なので、深く悩む必要はないだろう。実際に試してみると、取得可能な全データを1分ほどでダウンロードすることができた(画面06、07)。番組表の転送に関しても、ウィザード形式で30~40秒ほどで転送が行なえた(画面08)。配信時間に自動的に取得されるADAMS-EPGと、好きな時間に短時間で取得できるADAMS-EPG+をうまく併用すれば、常に最新の番組表を見られるという意味で、ADAMS-EPG+への対応は大きいといえる。
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画面01 AX300内のデータをPCで視聴するときには、AX10/20と同じくSmartVision/PLAYERを利用する |
画面02 AX300内のHTTPサーバーを利用した設定画面。4項目に分けられたそれぞれの設定をPC上から変更できる |
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画面03 メールの受信設定。HDD内のメール受信領域のサイズ指定や、自動受信の設定など柔軟に行なえる |
画面04 メール設定画面下部では、メールサーバーの指定と、番組予約情報を送る場合のパスワードによるセキュリティを施せる |
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画面05 ADAMS-EPG+を利用する場合には、あらかじめユーザー登録(無料)が必要 |
画面06 PC上で動作するADAMS-EPG+の番組表受信ツール。取得する番組表の範囲などを指定できる |
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画面07 受信中の画面。インターネット経由なので、ADAMS-EPGのように時間の制約がないのがメリット |
画面08 PC側でADAMS-EPG+の番組を受信したら、そのデータをAX300に転送できる |
さて、AX10/20にはなかった本製品の最大の魅力が「AX連携ツール」だ。これは、AX300内の録画データをドラッグ&ドロップでPCへコピー、またPC内の動画データをAX300へ同じくドラッグ&ドロップでコピーできるものである。
使い方も特に説明書などを見なくてもわかるほど簡単。AX300内のデータを一覧表示し、コピーしたいデータを変換したい方式のフォルダへドラッグ&ドロップするだけだ(画面09)。まとめてコピー指定しておいても、タスクが登録されれば順次処理される(画面10)。
変換できる動画形式はAX300の録画時と同じビットレート・解像度でのMPEG-1/2、WMVとなる。加えて、SmartVision/PLAYER形式でそのままコピーすることもできる。
こうした変換形式の指定は、画面左側のフォルダ単位で設定可能だ(画面11、12)。MPEG-1/2への変換時はファイル分割の指定のみが行なえる。WMVではファイル分割に加え、細かいビットレートや解像度の指定も可能となっている(画面13、14)。変換方法を指定したフォルダは追加することもできるので、ソースや目的に合わせた変換設定をあらかじめ用意しておけば、非常に簡単にPCへコピーできるようになるだろう。
なお、AX10/20同様に、SmartVision/PLAYERを使ったファイル変換にも対応している(画面15、16)。とはいえ、PCへファイルをコピーするだけならばAX連携ツールのほうが操作がラクだし、パソコン搭載のDVDドライブへ直接書き込みを行なう機能についても、DVDドライブを搭載しているAX300では利用機会も少ないだろう。
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画面09 AX300内のデータをPCにコピーするAX連携ツール。ドラッグ&ドロップすれば、指定のフォーマットで動画をコピーできる |
画面10 複数のデータコピーを指定しておいて、自動的に順次処理させることもできる |
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画面11 画面左側のコピー先フォルダは、フォルダごとにフォーマット変換の設定を行なえる。フォルダの追加も可能だ |
画面12 変換できるフォーマットはMPEG、WMV、SmartVision形式の3つ。MPEGは保存時の設定をもとにMPEGファイルへと変換される |
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画面13 WMVの場合は細かなビットレートなどが指定可能で、Windows Media Encoderで利用されるプロファイルも利用できる |
画面14 WMEのプロファイル以外にも、任意のパラメータを細かく指定可能 |
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画面15 AX10/20同様にSmartVision/PLAYERを利用したPCへのコピーも可能 |
画面16 こちらは動画変換だけでなく、DVDへの直接書き込みもサポートする |
■生活の中心的存在になり得る高機能な製品
以上の通り、前後編2回に渡ってAX300を試用してきたが、AX10/20とは比べ物にならないほど大きく進化している印象だ。AX10/20はDVDドライブを搭載しない点から考えても、PCとの連携を考えないユーザーに対するアピールに欠ける面もあったが、AX300ではDVDドライブを搭載したことで一気に家電製品へとのし上がった感がある。つまり、家電製品のDVD&HDDレコーダが欲しい人に対してPCとの連携機能を付加価値として受け取ることができるわけだ。PCとの連携を前提に考えている人に対しては、最近流行のDVD&HDDレコーダもまとめて入手できるという見方も可能だ。もちろん、それぞれの機能に妥協がないからこそ、こうした提案ができるわけだ。
最後にライバルの存在を挙げておこう。言うまでもなく、2月10日に発表されたシャープのガリレオ「HG-02S」だ。HG-02Sが持つアドバンテージとしては、ルータ機能、IEEE 802.11g無線LAN機能といったところだろうか。特に無線LAN機能を内蔵しているのは、接続のスマートさを求める人には魅力に写るかも知れない。DVDドライブを搭載しないのでPCとの連携が前提にはなるが、価格は10万円前後と安価であり、ホームAVサーバー用途を考える場合は、こちらとの比較検討は行なったほうが良い。
その意味では、DVDドライブを搭載することで家電色が強いのがAX300の特徴とも言えるのだが、300GBモデルのPK-AX300Hが15万円前後、160GBモデルのPK-AX300Lが12万円前後で販売されていることを考えれば、DVD&HDDレコーダとホームAVサーバーがまとめて入手できる点は魅力的た。特に、テレビ録画のデジタル化を検討している人には強くオススメできる秀逸の製品である。
■注意
・Broadband Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。
□NEC AX300 製品情報
http://121ware.com/nsserver/ax/
■関連記事:「NEC AX300~DVDレコーダ搭載で進化したホームAVサーバー~(前編) 」
http://bb.watch.impress.co.jp/column/review/2004/03/03/
(2004/03/04)
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