スクウェア・エニックスは、オンライン戦略の発表会について発表会を行なった。2003年春よりベータテストを開始する新作やファイナルファンタジーXI(FFXI)を中心に、数々のゲーム作品やオンラインに関する取り組みが発表された。
スクウェア・エニックス 代表取締役社長の和田洋一氏は、前置きとして「次世代のエンターテインメントはネットワークにあると誰もが言うが、本気で取り組んでいる企業がどれほどあるかは疑問が残る」とコメント。同社が今回発表するオンライン対応の新作ソフトや、携帯電話との連動といった新たな取り組みを示し、「ネットワーク全面展開のスタート」を宣言した。
■ FFXIは裏世界エリアやプレイヤーのバトルモードを搭載
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スクウェア・エニックス 代表取締役社長の和田洋一氏
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オンライン事業戦略の第1弾として、ファイナルファンタジーXI(FFXI)の今後についてのプレゼンテーションが行なわれた。和田氏は「従来のパッケージソフトと異なり、いかに継続、発展させるかが(ネットワークゲームの)テーマ」と説明、今後もFFXIのバージョンアップに注力していくとした。
具体的には未公開の裏世界エリアが開放されるほか、プレイヤー対プレイヤーのバトルモードも搭載される。このバトルモードについて和田氏は「いわゆる“PK”ではない」と断った上で、国家間の勢力争いに関係した集団戦と説明した。自分の所属する国の絆を深めながら争っていくことで、「人と人との絆を考える」というテーマに沿って展開していく方針だという。
また、北米でも10月にWindows版のFFXIを発売するほか、2004年3月にはPS2版のFFXIを発売する。PS2向けにはユーザーの敷居を下げるために、ソフトをプリインストールした専用のハードディスクドライブを用意するという。また、日本と北米は同じサーバーで運営され、どちらも同じ世界で遊ぶことができるという。
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FFXIのバージョンアップスケジュール。レベル上限引き上げや新モーション追加などが予定されている
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2004年1月~3月に裏世界エリアを開放
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プレイヤー同士のバトルモード
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北米向けPS2版FFXI
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■ PlayOnline対応2作品を2004年春からベータテスト開始
次に和田氏は、オンラインサービス「PlayOnline」の展開について触れ、PlayOnline対応の新作ソフト2作品「AMBROSIA ODYSSEY(アンブロシア オデッセイ)」「フロントミッション オンライン(仮称)」を紹介した。
アンブロシア オデッセイは、アクションRPG型のオンラインゲーム。ユーザーのオンラインゲームに対する敷居を低くするため、ネットワークに接続しないスタンドアローンでも楽しめるようになっているという。もう1作品のフロントミッション オンラインは、フロントミッションシリーズの流れを汲む作品。シミュレーション要素を盛り込んだアクションゲームに仕上がっているという。
両作品とも2004年春からベータテストを開始する予定で、どちらもPS2向けの作品となる。なお、フロットミッション オンラインについてはWindows版の提供も予定されている。
和田氏はPlayOnlineについて「3つのマルチ」というテーマを説明した。3つのマルチとは、ゲームをするための端末を選ばないこと、国境を選ばずユーザーが参加できること、そしてゲームとゲームの間で構成されるコミュニティをPlayOnlineが演出することだという。和田氏は「PlayOnline対応の大作ソフトが現状はFFXIしかなかったため、3つ目のマルチは実現できていなかった」と前置きしたのち、今回紹介した新作をPlayOnlineで提供することで、1つのゲームで形成されるコミュニティを超えたコミュニケーションの場を提供できると自信を示した。
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AMBROSIA ODYSSEY
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フロントミッション オンライン(仮称)
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■ 携帯電話とPlayOnlineの連動
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スクウェア・エニックス 執行役員の齊藤陽介氏
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続いてスクウェア・エニックスの齊藤陽介執行役員が登場し、モバイルとパソコン向けの戦略についてプレゼンテーションを行なった。
モバイル向けにはこの発表会前日に報道発表が行なわれたFOMA向けの「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」が紹介された。そのほかにも50人同時にメールができる「ちょこメ~と」、戦国シュミレーションゲーム「天下争乱」、アーケード麻雀ゲームの携帯版「対戦麻雀ホットギミック」といったラインナップをすでに提供している。
さらに齊藤氏は「これはあくまで構想中の話」と断りを入れた上で、現在検討している携帯電話とPlayOnlineの連動について説明した。具体的には携帯電話からFFXIのチャットに参加したり、栽培や競売を楽しむといったサービスを検討中だという。また、ケータイからPlay Onlineのフレンドリストを確認できるようにすることで、あらかじめ友達がゲームを遊んでいるかを確認できるほか、ちょこメ~とを使った待ち合わせなども検討されている。
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FOMA向けの「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」
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携帯電話向けアプリ
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携帯電話からFFXIのチャットに参加
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ちょこメ~とでFFXIの待ち合わせ
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■ クロスゲートと疾走、ヤンキー魂。の特別パッケージ
パソコン向けのタイトルとしては、2001年7月26日にサービスを開始した「クロスゲート」が紹介された。すでに世界で1,000万人の会員数を誇る同作品だが、積極的な広報活動をしていないこともあり、日本での知名度は今ひとつだという。
そのため1,000万人突破を記念して、特別パッケージ「クロスゲート プレミアムバリューパックを11月6日より発売する。このパッケージにはクロスゲートの製品版およびパワーアップキットのほか、現在オープンベータテスト中の「疾走、ヤンキー魂。」製品版、「コスモぐらし」体験版、現在開発中の新作「JUNK METAL」のムービーも収録。限定20,000本で2,980円で発売される。
このパッケージに収録される「JUNK METAL」も紹介された。1人称視点の3Dロボットアクションゲームで、プレーヤーは、とある惑星のロボット製作メーカーに雇われた傭兵としてロボットを操っていく。 ロボットには450種類以上のパーツと250以上の武器、300以上のソフトウェアと3種類のOSが用意され、ユーザー独自のカスタマイズが可能だという。齊藤氏によれば現在は開発の最終調整を行なっており、近々ベータテストの案内ができる段階にあるという。
そのほかのオンライン対応ソフトとしては、コスモぐらしのほかにサッカーとゴルフ、ファンタジー系のアクションRPGも開発中だという。齊藤氏は「世界でこれほどオンラインゲームを開発している会社はあまりないのでは」とコメント。オンラインゲームのNo.1パブリッシャーになる自信を示した。
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クロスゲート プレミアムバリューパックの概要
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JUNK METAL
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■ 様々なプラットフォームとの共存を図る
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左からSCE エグゼブティブ・バイス・プレジデントの佐伯雅司氏、インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏、スクウェア・エニックス 代表取締役社長の和田洋一氏、NTTドコモ iモード企画部長の夏野剛氏
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発表会後半には、ゲストとしてソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI) エグゼブティブ・バイス・プレジデントの佐伯雅司氏、インテル 代表取締役共同社長の吉田和正氏、NTTドコモ iモード企画部長の夏野剛氏が登場、それぞれプレゼンテーションを行なった。
SCEIの佐伯氏は、「オンラインゲームの市場はFFXIに開拓してもらった」とスクウェア・エニックスに感謝の言葉を述べたのち、「ブロードバンド化が進む時勢を踏まえてネットワークゲームに勝負をかける」と意気込みを語った。ただし「正直いってハードやブロードバンドそのものの投資など、ユーザーの障壁はまだまだ高いと思っている」という思いもあるという。佐伯氏は「この(オンランゲーム普及の)スピードはそうは上がらないが、ある日突然、あたりまえになるという時代がくる」と期待を寄せた。
インテルの吉田氏は、ビデオ機能を内蔵したi865Gチップセット搭載のパソコンによるFFXIのデモンストレーションを実施。「高画質がパソコンの良さ」とした上で、「ゲームに必要なグラフィックス機能をユーザーが求めやすい価格で提供」していくことで、「オンラインゲームユーザーの100万人獲得を目指す」と意気込みを示した。
NTTドコモの夏野氏は、「FOMAについては(前日に行なわれた)発表会で言っているので、今日は適当にしゃべらせてもらう」と前置き。発表会のデモを見て「ゲームの世界はここまで来ているのだと実感した」との感想を述べた上で、「携帯電話もようやくゲーム業界から評価していただくまでになった」とコメントした。
携帯電話でのゲーム提供については「競争ではなく、共存するプラットフォーム」であることを強調。「PS2やパソコンのプラットフォームを補完する大きなプラットフォームをiモードが担って行く」との意気込みを語り、「次のFOMAで実現できることに大変な期待をしているし、さらに良いプラットフォームを提供していきたい」と語った。
■ URL
スクウェア・エニックス
http://www.square-enix.co.jp/
関連記事:スクウェア、FFXI for Windowsの製品発表会
http://bb.watch.impress.co.jp/news/2002/10/10/ffxi.htm
関連記事:年明けのFOMA端末向けに「ドラクエ」「FF」の移植版が登場[ケータイWatch]
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/15769.html
(甲斐祐樹)
2003/09/26 15:54
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