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2006年02月16日
今までの無線LANとはちょっと違う「IEEE 802.11n」
アセロス・コミュニケーションズがIEEE 802.11nの仕様ドラフトに準拠した無線LANチップセットを国内で発表しました。海外ではすでにBroadcomもIEEE 802.11nドラフト準拠の無線LANチップセットを発表しており、11n対応の製品が日本に登場する日も近そうです。
アセロス、物理速度最大300Mbpsの11n無線LANソリューションを発表
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/12847.html
Broadcom、IEEE 802.11nドラフト版に準拠した無線LANチップセットを発表
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/12553.html
IEEE 802.11gドラフト仕様の技術ハイライト(アセロス・コミュニケーションズの発表会資料) |
技術の仕様や周波数の使い方などは異なるのですが、ウィルコムのパケット通信をイメージするとわかりやすいかも。ウィルコムのパケット通信は、パケット回線を複数束ねることで高速化を実現していますが、IEEE 802.11nも同様に複数のアンテナと複数の送受信部を使い、データのやりとりを複数の伝送路で行なうことで高速化を実現しています。
複数アンテナを使ったこの高速化の仕組みがいわゆるMIMO(Multi Input Multi Output)であり、IEEE 802.11nはMIMO技術を採用していますが、逆にMIMOだからといってIEEE 802.11nということにはならない点にご注意を。MIMOは複数のアンテナを使った多重化の技術であり、IEEE 802.11a/b/gだけではなく他の通信規格でも使えます。また、IEEE802.11nは標準規格のために、この仕様に準拠した製品であれば基本的にはどの製品でもつながることになっていますが、MIMOはそうした標準規格ではありませんから、MIMO対応であっても異なるメーカーではつながらない可能性もあります。ちなみにMIMOが登場した当初は「ミーモ」「マイモ」などと呼ばれていましたが、最近では「マイモ」のほうが主流のようです。
11nの登場でこれまでの11a/b/gはどうなるのか。この点については11nのドラフト仕様に「11a/b/gとの相互運用性」という項目が盛り込まれており、AtherosとBroadcomもドラフト仕様に対応したチップセットで11a/b/gとの互換性を謳っていますから問題はないでしょう。もちろん、11nならではの高速性は従来の機器では利用できませんので、高速性を求めるならアクセスポイントとクライアントの両方が11nに対応している必要があります。
なお、標準的な無線LANのチャネル幅は20MHzですが、米国ではこのチャネル幅を2倍の40MHzにして高速化を図ることが認められており、すでにAtherosから「ターボモード」という名称で実現されています。これに対して日本では40MHz幅が認められていません。今回のAtherosの製品も40MHz幅を基準とした通信速度ですので、日本で使う際の実効速度は75~90Mbps程度になると見込まれます。
今回の製品群はいずれも11nのドラフト仕様に準拠していますが、これらの製品が正式版にも対応できるのでしょうか。ドラフト仕様がIEEEのタスクグループの中で全会一致で採用されたこと、IEEE 802.11gの際もドラフト準拠の製品のほとんどが正式版にアップデート対応できたことを考えると、可能性としては高そうですが現時点で明言できるものではありません。そうした点が気になるユーザーは2007年の正式仕様を待ってからの購入をお勧めします。
投稿者 甲斐祐樹 : 2006年02月16日 22:38
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