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2006年11月30日

KDDIが提供する同軸ケーブルモデムの意外な正体

 11月28日にKDDIから「ひかりoneホーム」向けの高速PLCモデムと同軸ケーブルモデムの提供が発表されました。

KDDI、ひかりoneホーム向けに高速PLCモデムと同軸ケーブルモデムを提供
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/16335.html

KDDIの同軸ケーブルモデム

 このうち、高速PLCモデムはアイ・オー・データ機器の製品(関連記事)を取り次ぎ販売する方法が取られていますが、個人的に気になったのは同軸ケーブルモデム。振り返ってみると、2005年のCEATECにも参考出展されていました。

【CEATEC JAPAN 2005】KDDI、光プラス向けの同軸モデムや無線LAN対応携帯電話など
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/event/11296.html

 同軸ケーブルモデムが採用する通信規格は「G.9954」。これは、電話線や同軸ケーブルを使って通信を行なう「HomePNA 3.0」の技術仕様としてITUで策定されたものになります。HomePNA 3.0はKDDI製品と同様に、128Mbpsの伝送速度をサポートし、QoS機能も盛り込まれているほか、オプションで最大240Mbpsの伝送速度も実現可能とのこと。

 KDDIに確認してみたところ、今回の製品では「HomePNA 3.0」には対応していないそうです。しかし、製品への反響が大きければ、日本国内でもHomePNA 3.0に対応した家庭用向け製品が各社から登場するのかもしれません。

HomePNA(英文)
http://www.homepna.org/
Learn More About HomePNA V.3(英文、PDFファイル)
http://www.homepna.org/docs/CoppergateBBForum.pdf
最大240Mbpsを実現する「HomePNA3.0」が策定。今年後半に製品出荷へ
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0606/pna.htm

投稿者 村松健至 : 12:10 | トラックバック

2006年11月22日

PSPのカメラ機能でモブログに挑戦!

 11月21日に公開されたPSPの最新ファームウェア「3.00」。リモートプレイやゲームダウンロードなど大きな機能が追加された中で、さりげなくカメラ機能も搭載されました。

 本体機能では「カメラ」が追加され、PSP専用カメラを取り付けて静止画や動画を撮影できるようになった。

PSP、リモートプレイなどPS3との連携機能を追加した新ファームウェア
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/16274.html

 といってもPSP本体にはカメラが内蔵されていないので、オプションのカメラ「ちょっとショット」を別途用意する必要があります。ちょっとショットの価格は5,000円で、画像編集ソフトとして「ちょっとショットEdit」も同梱。これまでは「ちょっとショットEdit」を使って撮影する必要がありましたが、3.00ではPSP本体と「ちょっとショット」のみで静止画や動画を撮影できるようになりました。

ちょっとショットちょっとショット
ちょっとショット。カメラは180度回転し、自分撮影も可能

 しかし、単なるカメラで終わらないのがPSPの面白いところ。PSPは無線LANやブラウザを搭載しているので、無線LANでインターネットに接続できる環境さえあれば外出先から画像をブログに投稿したり、画像共有サービスや動画共有サービスにもアップロードできます。実際に試したところ、@niftyの「ココログ」やmixiへの投稿、Flickrへの画像投稿、YouTubeへの動画投稿が可能でした。

 ただ、PSP内の画像はサムネイル表示できないので、どの画像をアップロードするのかはファイル名を覚えておかないといけません。また、PSPは文字入力をボタン操作で行なう必要があり、インライン入力にも対応していないので、ブログで長文を打つのはちょっと難しそう。メール投稿機能があるブログサービスであれば、Webメールから画像を添付してアップロードしても良さそうです。

 FlickrもYouTubeもアップロード自体は可能ですが、Flickrはサイト自体が重いためにアップロードに時間がかかりました。一方、YouTubeは件名やタグなどの設定さえ済ませれば、アップロードは比較的簡単なものの、PSPのFlashではYouTubeが再生できません。HTMLコードをコピーすることもできないので、FlickrやYouTubeは画像や動画をそのままアップロードするだけ、という使い方になりそうです。

ココログアップロード画面
ココログへPSPから投稿アップロード時はファイル名のみ確認できる
FlickrYouTube
Flickr。サイトが重めのためアップロードに時間がかかるYouTubeへのアップロードもOK
mixi文字入力
mixiの場合、プレビューでも画像が確認できないインライン入力できないため、長文の入力は大変

 価格こそ5,000円と比較的安価ですが、カメラの機能はなかなか十分。画素数は130万画素で、最大1,280×960ピクセルで撮影可能。4:3の画像だけでなく、PSPの画面サイズに合わせた480×272ピクセルでも撮影できます。動画も480×272ピクセルで30fpsの撮影が可能。ホワイトバランスや露出補正、最大4倍のデジタルズームも搭載しています。

 さまざまなエフェクトをかけて写真を撮影できる「エフェクト」機能も搭載。白黒のスケッチ風画像が撮影できる「スケッチ」なんかは、ブログやSNSで使うプロフィール画像にも使えそう。今はブラウザを使わなければアップロードできませんが、PSP向けの画像アップロードサービスが登場すると面白そうです。

samplesample
1,280×960ピクセルで撮影。ホワイトバランスと露出補正は自動、デジタルズームなし。リンク先は無加工480×272ピクセルで撮影。ホワイトバランスと露出補正は自動、デジタルズームなし。リンク先は無加工
samplesamplesample
「スケッチ」の撮影サンプル。ホワイトバランスと露出補正は自動、デジタルズームなし。リンク先は無加工「トイカメラ」の撮影サンプル。ホワイトバランスと露出補正は自動、デジタルズームなし。リンク先は無加工480×272ピクセル、30fpsの動画撮影サンプル。撮影形式はmotion JPEG、ファイル形式はAVI。リンク先は動画

投稿者 甲斐祐樹 : 21:04 | トラックバック

2006年11月13日

松下の高速PLC「BL-PA100」の気になるポイント

松下電器産業から、ついに高速PLCに対応したアダプタが発表されました。

PLCアダプタ「BL-PA100」

松下電器産業、家庭向け高速PLC製品を12月9日に発売 http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/16162.html

 2~30MHz帯を利用した高速PLCについてはロジテックが年内の製品投入を発表してはいるものの、詳しい予定などは未発表で、きちんとした製品として登場するのは今回が初めて。

ロジテック、高速PLC対応のイーサネットアダプタを12月に発売予定 http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/15633.html

 高速PLCの実証実験などは各事業者やメーカーで行なわれていましたが、家庭内など一般的な場所で使われたことはないため、未知の部分もたくさんあります。今回はこのブログでいくつか気になる点をまとめてみました。

 一番基本的なことですが、PLCだけでインターネットに接続できるわけではありません。PLCはあくまで家庭内のネットワーク構築に使う製品であり、FTTHやADSLなどのブロードバンド環境は用意しておく必要があります。ルータから先は無線LANや有線LANでネットワークを構築する必要なく、コンセントを使って配線をワープできるというイメージでしょうか。

配線イメージ

 増設用のアダプタも用意されていますが、1つの部屋で何台ものPCを接続する、というケースであれば、スイッチングハブを使って接続台数を増やすこともできます。もちろん1台1台にアダプタを用意してもいいですが、コストを考えると1部屋に1台PLCアダプタを用意し、部屋の中はスイッチングハブで配信してもいいかもしれません。

 通信速度は190Mbpsを公称していますが、これは物理速度であって実際のスピードではありません。無線LANが「最大54Mbps」と表記していても実際にはそこまでのスピードが出ないのと同じです。実効速度はTCPで約50Mbps、実際にインターネットに接続した時には約20~30Mbpsとのこと。ただし、今回の製品は初めての商品化だけに、今後通信速度が向上していく可能性は大いにあるようです。

 電気の配線を使うということで、配線が共通の集合住宅などではどうなるか気になる人もいると思いますが、PLCアダプタは最初から128bitのAESで暗号化されているので、隣の人にデータが見えてしまう、ということもありません。AESは米国国防省でも採用され、暗号化の強固さには定評がある技術ですので、一般的な使い方では心配ないでしょう。

 ほとんどの家庭で使われていると思われる電源コンセントのマルチタップを使ったらどうなるか。これも基本的には問題がないそうですが、ノイズフィルター機能を持ったマルチタップなどでは、PLC自体がノイズとして認識されてしまうこともあるとか。実際にはほぼ影響がないレベルだそうですが、気になる人はPLCアダプタをコンセントに直に差し、他の機器をマルチタップでまとめたほうがよさそうです。

 前述のロジテックが発売を予定するPLC製品ですが、HD-PLCとは異なる規格のために接続ができません。このあたりは松下も複数のPLC技術が併存できるような解決策を考えているとのことですが、個人的にはチップが異なるとキャリアによっては利用できないADSLモデムという過去の例が思い出されます。よけいな設定なく宅内LANを構築できるという点ではかなり重要な存在であるだけに、こうした複数技術の併存にも期待したいと思います。

投稿者 甲斐祐樹 : 21:41 | トラックバック

2006年11月07日

孫社長が語る「海外サービスが日本で成功する秘訣」

ソフトバンクの孫社長
 11月7日に行なわれたマイスペースジャパンの記者会見。質疑応答の時間に「米国から日本に持ってきたサービスでは、イーベイのように失敗した事例もあるが」という記者からの質問に対し、ソフトバンクの孫社長が答えたのは「成功したサービスはソフトバンクと提携している」というものでした。

 孫氏によれば、イーベイが成功しなかったのは「ソフトバンクがYahoo! JAPANをやっていたから」。イートレードについても「ソフトバンクが日本でやったから成功した」など、海外サービスのローカライズには並々ならぬ自信を伺わせました。

 これまでも海外で人気のあるサービスが日本でもサービスを開始する例は多々ありますが、ことコミュニティサービスに関しては言語や慣習の影響もあるためか、必ずしも海外の成功事例が日本でも通じるというわけではなさそうです。韓国では大人気のサイワールドも、日本では韓国ほどの存在感を見せていませんし、英国発のLast.fmも、肝心の音楽配信機能が提供されていないこともあってブレイクとまでは至っていません。

 さらに日本ではすでに700万近い会員を集めるmixiの存在があるだけに、クチコミで広がっていくSNSで巻き返しを図るのは難しそう。ただし、発表会でも紹介されたように、国内アーティストが続々MySpaceに参加しはじめれば、そのファンもMySpaceに登録するという流れが生まれるかもしれません。何より海外サービスのローカライズに大きな自信を見せる孫社長だけに、今後の展開には要注目です。

ソフトバンク、「マイスペースジャパン」日本版でSNS市場に参入 http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/16091.html

投稿者 甲斐祐樹 : 23:10 | トラックバック