ソースネクストは21日、手軽な値段でPCソフトを販売する「コモディティ化戦略」の成果と、今後の展開として「全方位コモディティ化戦略」を発表した。新たな戦略では、ソフトを利用できるプラットフォームの拡大、ソフトのジャンルの拡大、対象年齢層の拡大を目指す。
■ 「1,980円で販売するコモディティ化戦略は成功したと思っている」
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ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏
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ソースネクストでは2003年2月より、PCソフトを1,980円で販売するコモディティ戦略を実施してきた。同戦略では、初心者にとって難しいインストールの手間をなくすために、各ソフトに全自動インストール機能を搭載。また、ソフトのパッケージサイズを従来の1/5に縮小し、扉付きパッケージを採用したことで「平均2倍、最大4.8倍の売上アップ」を達成したという。このほか、家電量販店以外に書店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなど合計約25,000店舗で販売チャネルを設けている。
このコモディティ化戦略について、ソースネクスト代表取締役社長の松田憲幸氏はこう振り返る。「2002年のコモディティ化前のソフト販売本数シェアは9.4%で、マイクロソフトの10.7%に次ぐ2位だった。しかし、コモディティ化後の2004年では20.9%に達し、2003年に引き続いてシェア第1位を獲得した。売上本数では2002年の174万本から2004年には462万本と、2.7倍の伸びを示した。また、売上金額においても、2002年の56億から2004年には93億円と、1.7倍伸びている。よって、コモディディ化は成功したと思っている。」
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コモディティ化戦略とは
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売上本数の推移
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売上金額の推移
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■ Windows向け製品だけでなく、MacintoshやLinux向けのソフトも販売
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全方位コモディティ化戦略とは
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ソースネクストでは、コモディティ化戦略に続く新たな戦略として「全方位コモディティ化戦略」を発表。具体的には、WindowsだけでなくMacintoshやLinuxでも利用できるソフトを提供する「プラットフォームの拡大」、新たなジャンルのソフトを販売する「新ジャンルの拡大」、30~40代の男性ビジネスマンを中心に利用されているソフトを女性層や若年層にも普及させる「対象年齢層の拡大」の3つを挙げた。
「98%がWindows製品」(松田社長)というように、これまで同社の製品は主にWindowsユーザー向けに提供されていた。そこで同社ではターボリナックスと提携して、Linux OS「Turbolinux 10 Desktop(16,590円)」から、「ATOK」や「StarSuite 7」、「Acronis PartitionExpert 2003」などの商用ソフトと開発環境を除いたOSパッケージ「Turbolinux Personal」を8月5日に発売する。価格は1,980円。
Turbolinux Personalは、MozillaのWebブラウザやメールソフトのほか、インスタントメッセンジャーや印刷機能を装備したLinux OSのパッケージ。日本語入力ソフトはATOKの代わりに「かんな」が備わる。
また、Turbolinux Personalに、デジカメ取り込みソフトや画像編集ソフト、iPod接続ユーティリティなどを追加した「Turbolinux Multimedia」も同日発売する。価格は3,970円。初回限定版特典として「StarSuite 7」パーソナルパックがバンドルされる。
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年間10万本が売上目標
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Linux OSのシェア
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「重要なのは、Linux OSが1,980円で販売されることだけではない。我々が展開しているいろいろなチャネルでLinuxのソフトが販売されることが大きい。現在、LinuxはOSジャンルのシェア率では7%だが、年間10万本販売することで、26%のシェアを目指したい」(松田社長)
さらに松田社長はWindows以外のOSが広まらない理由として「対応アプリケーションが圧倒的に少ない」ことを指摘。16,863タイトルのWindows対応ソフトが提供されている一方で、Linux対応ソフトは157タイトルしか提供されていないという調査を挙げ、「ここに我々は切り込みたい」とした。
ソースネクストでは、Linuxに対応する「StarSuite 7」をすでに発売しているが、現在は「特打」のLinux版を開発中だという。さらに、「携快電話12」や「Oracle JDeveloper 10g 1 Yera Limited」などのLinux版を発売し、「2008年までにはLinux対応ソフトを50タイトルまで拡大する」という。また、Macintosh対応ソフトも拡大することを言及。「実は、Mac対応ソフトのシェア率では、全ソフトメーカーの中でソースネクストは1位。この分野でも2008年までに100タイトルまで拡大したい」(松田社長)
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同社の今後のLinux対応ソフト本数
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同社の今後のMacintosh対応ソフト本数
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ソースネクストの製品を使ったことがあるか?(男女比)
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■ ツール中心の既存ジャンルから新ジャンルのソフトを発売
また、新ジャンルの拡大については、ウイルス対策製品やPDF作成ソフトなどのツール中心のタイトルから新ジャンルを開拓する考えを示した。その第1弾として、USBメモリにクライアントソフトを同梱したインターネット電話サービス「いきなりIP電話」を8月5日に発売。標準価格は3,970円だが、1万本限定として2,970円で販売する。これらの中には500円分の無料通話が付属する。
「いきなりIP電話」は、エニーユーザーグローバルが8月に発売する「ImPhone」と同一仕様となる。クライアントソフトは、64MBのUSBスティックメモリに内蔵した形で提供し、ユーザーはパソコンに接続するだけで、クライアントソフトのインストールや接続設定を行なう必要なくインターネット電話を利用できる。また、USBメモリ本体には2.5mmミニジャックを装備し、通話時には付属のイヤホンマイクを接続する。通話料金は、基本料金が無料なほかImPhone同士の通話も無料で、その他は固定電話が3分8.295円、携帯電話が1分18.27円、国際電話がアメリカ本土の場合で1分8円。
全方位コモディティ化戦略の3点目としては、対象年齢層の拡大を挙げた。これまでソースネクストのユーザーは30~40代の男性ビジネスマンが中心だった。同社が実施した調査によれば、ソースネクスト製品を利用したことがあるか、という質問に対して「ある」と回答した女性は9.6%、年代別では20代ユーザーが5.9%に止まった。ソースネクストでは、イメージキャラクターとして女優の松下奈緒を起用。女性や若年層の市場掘り起こしを図る。
松下奈緒を起用したプロモーションとしては「携快電話」のパッケージに松下奈緒が登場する「携快電話12 松下奈緒特別パッケージ」を8月5日に発売。なお、同ソフトの機能は、すでに発売されている「携快電話12 USBコード付き」と同一。また、6月21日から8月31日までの期間限定で、ソースネクストの総合サイト「ソースネクスト・ドットコム」上に特設ブログ「SOURCENEXT BLOG with 松下奈緒」を開設する。このほか、「ウイルスセキュリティ 2005EX30日間延長キャンペーン版」シリーズの購入者を対象に、松下奈緒のスクリーンセーバーをもれなくプレゼントする。
なお、説明会では、新イメージキャラクターに起用された松下奈緒とソースネクストの松田社長とのトークセッションも行なわれた。松下奈緒は「ソースネクストのソフトは何本か利用したことがある。今回、イメージキャラクターを務めさせていただくことができてうれしく思います」とコメントした。
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ソースネクストの新イメージキャラクターに起用された松下奈緒と松田社長
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自らの写真がパッケージとなった「携快電話12」を持つ松下奈緒。かつて水中に携帯電話を落としてしまったことがあるという
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■ URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.sourcenext.info/sp/press/files/050621_como/050621w_allcomo.pdf
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(増田 覚)
2005/06/21 21:23
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