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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
OCN、So-net、@niftyがIP電話サービスで提携

左からNTT Comの高瀬充弘取締役経営企画部長、前田幸一コンシューマ&オフィス事業部長、SCNの近藤幸直取締役専務、ニフティの加藤雄一常務取締役システム事業部長
 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)、ニフティの3社は、IP電話サービスの共同実証実験について発表を行なった。12月から各プロバイダーごとに試験サービスを開始、2003年1月からプロバイダー間の相互通話試験を開始する。モニターは各プロバイダーごとに約1万人を募集、モニター間および一般加入電話へ無料で通話できる。

 今回のIP電話における共同実証実験は、NTT ComのVoIP基盤ネットワークを利用し、NTT Comの運営するOCN、SCNの運営するSo-net、ニフティの運営する@niftyの3プロバイダーで実施するもの。対象は各プロバイダーが対応するADSL接続サービスに加入するユーザーで、VoIP機能を付加したモデムと、モデムに外付け可能なVoIP機能内蔵のTAを利用。プロトコルにはWindows Messengerなどに採用されているSIP(Session Initiation Protocol)を採用する。

 サービス利用者間の番号にはNTT Comが総務省に申請中の「050」から始まる番号を利用。現在はまだ認可が下りていないものの、試験サービス開始時までには取得できるよう総務省に働きかけているという。ただし、NTT Comは当初Yahoo! BBの提供するIP電話サービス「BBフォン」のように、通常の電話番号のまま利用できるサービス形態を予定していたため、OCNのユーザーは「050」ではなく一般加入電話の電話番号を利用することになるという。So-netおよび@niftyのユーザーは、NTT Comの番号を利用して試験サービス時から「050」番号を提供。つまり、OCNからSo-net、@niftyのユーザーに通話する場合は「050」を、逆にOCNのユーザーへ通話する場合は通常の電話番号をダイヤルすることになる。OCNはNTT東日本および西日本の交換設備が対応し、050着信が可能になる2003年夏ごろに「050」を使ったサービスを提供するという。

 試験サービスは各プロバイダーごとに12月から順次開始、それぞれADSLユーザー約1万人を募集する。2003年1月には3社による共同実証実験を実施。試験期間中はモニター間および一般加入電話へ無料で通話可能で、基本料金なども必要ない。携帯電話・PHSや110や119などの特別番号への通話、国際電話、VoIP基盤ネットワークのメンテナンス時はユーザーが加入する電話回線に迂回されるため、通常の電話料金が発生する。加入電話回線に迂回する場合は、ユーザーにもわかるようモデムのランプやダイヤル時の音が異なる。このため、ダイヤル時の音が異なる場合は通話料が課金されていることを認識しておく必要がある。正式サービス時の料金などは、試験サービスを通じて検討していく予定だという。


試験サービスの概要
 NTT Comの取締経営企画部長である高瀬充弘氏は、「今回の3社以外にもすでに数社と接続交渉を行なっている」とコメント、他のプロバイダーとも接続を行なっていく考えを明らかにした。また、KDDI、日本テレコム、NEC、松下電器産業などが設立した「メガコンソーシアム」については「コンテンツを中心とした団体と認識している」とし、今回の3社の提携とは異なるものとした上で「メガコンソーシアムへの参加には関係なく、各プロバイダーごとに働きかけていく」と語った。

 NTTグループでの連携については「他プロバイダーとの連携と同様に考えており、現在NTT東西とも話を進めている」という。また、NTT-MEやぷららネットワークスなど、方式が違うIP電話サービスを提供しているグループ会社についても「できるだけ対応できる形にしていきたい」と語った。

 また、NTT Comの電話事業に関しては「未だ財務的なウェイトは大きいものの、マーケットは縮小傾向にあり、IP電話サービスが拡大していくのは基本的な流れである」との認識を示した。問題はユーザーを確保する基盤と財務状況を踏まえた上でIP電話へシフトしていくタイミングであり、今回の試験サービスでコスト面も含めた検証を行い、既存の電話マーケットの落ち込みをカバーできるようなサービスを展開する方向だとした。

 So-netと@niftyは今回の試験サービスでNTT Comのバックボーンを利用しているが、「基本的には両者ともマルチキャリアのスタンス」であり、他事業者のバックボーンも採用していく予定だという。ただし、マルチキャリア化は今回の試験サービスでNTT Comの回線を利用した実証実験で様々な検証を行なった上での話とした。また、他事業者のバックボーンを採用した場合でもユーザーから見たサービス体系は1本化する予定であるという。料金についてはNTT Comによる卸売の形態で、料金設定は各プロバイダーごとに行なわれる。

 試験サービスの正式な開始時期や募集要項は決定していないものの、OCNでは「12月中旬に先着順で受け付ける予定」、So-netは「12月早々に何らかの告知をする」とした。また、ニフティの加藤雄一常務取締役システム事業部長は「クリスマスまでにはアダプタなどを送付、実際に利用できる状態を提供したい」と語った。

 試験サービスは2月で終了し、3月からは商用サービスを実施する予定。将来的には光ファイバや公衆無線LANサービスでもサービスを展開する予定だという。NTT Comでは同社が運営する「HOTSPOT」での提供を想定しており、So-netと@niftyも「HOTSPOT」を利用できるよう検討しているとした。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.ntt.com/release/2002NEWS/0011/1114.html


(甲斐祐樹)
2002/11/14 17:57
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