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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
元SME社長の丸山氏、DRMなしの楽曲でインディーズをプロモーション

 元ソニー・ミュージックエンタテインメント代表取締役社長の丸山茂雄氏が代表取締役を務める株式会社に・よん・なな・みゅーじっく(247music)は18日、2005年12月から新しい音楽の発掘などを目的としたサイト「music forecast 247(mF247)」を開始すると発表した。


発表会の司会は渡辺満里奈さんが務めた 247musicの丸山代表取締役

タイアップ以外のプロモーションを模索

mF247の仕組み
 mF247は、アーティストがプロモーションのために楽曲を登録し、インターネット上に公開(nR:ネットリリース)できるサイト。nRした楽曲にはDRMなどのコピープロテクト技術を適用しないため、サイトを訪れるリスナーは原則として無料でダウンロードできるほか、デジタルオーディオプレーヤーやCD-Rに保存可能だ。

 「おう、丸さんの新しい音楽聴いたよ。結構イイじゃないなんて声が聞こえるのが一番嬉しい。ビジネスはその次だ」と丸山氏。「今はヒットチャート重視だから、新しい音楽が世の中に出にくい状況になっている。新しい音楽をリリースするには基本的にタイアップを組むしかない。メジャーレーベルでも困っている。おすすめの音楽が広まらないいらだちを覚える。ユーザーも新しい音楽が聴きたいはずだ」。こうした状況を打破するためにmF247を企画したという。

 なお、アーティストが楽曲を登録するには審査もある。審査に合格すると登録できるわけだが、1曲10,000円の登録料が必要だ。2曲目以降は1曲につき1,000円で、合計3曲(12,000円)まで登録できる。「3曲以上登録したいアーティストもいるかもしれないが、それ以上はCDなどで頑張って売り上げてほしい」という。なお、18歳以下のアーティストには5,000円の割引サービスを用意。10月25日の受付開始から12月のサイトオープンまでは無料で登録できる。

 著作権などについては、音楽出版社の247Songsに著作権管理やプロモーションを依頼することも可能だという。ただし、丸山氏は「日本音楽著作権協会(JASRAC)とことを構えるつもりはないので、登録曲には未発表曲が望ましい」とコメントした。


「情報」は無料、「作品」は有料

「忘れ去られてしまう情報のうちは無料で提供する。心に沁みこむ作品になったら課金すればいい」と丸山氏
 ただし、いきなり「無料で配信します」では「知的財産権を守ろう」という音楽業界の方針に強い刺激を与えてしまう恐れもある。「業界の“亀井派”」(丸山氏)にもなりかねない。そこで丸山氏は、登録した楽曲を「情報」と「作品」の2段階に分類し、無料配信が最終的な目的ではないことを強調する。

 丸山氏の考えは、登録した楽曲は全て「情報」で、曲を聴いていくうちに忘れられない「作品」になるというもの。もちろん、全てのリスナーが全ての楽曲を「作品」として扱うかどうかはわからないが、「忘れ去られてしまう情報のうちは無料で提供する。心に沁みこむ作品になったら課金すればいい」と主張。アーティストや権利者が有料配信するタイミングや場所などを決めればいいというスタンスだ。

 システムとしては、楽曲の登録期間は3カ月で登録時は無料配信。その後、アーティストの意向に応じて1曲99円(予定)での有料配信に変更することもできる。有料配信時は99円のうち70円がアーティスト(権利者)に支払われる予定。楽曲データは、無料配信時・有料配信時ともにMP3形式(128kbps)となっている。

 登録した楽曲の著作権や原盤使用権は、アーティストや権利者に帰属する。その一方で、mF247に参加したアーティストはmF247が企画するコンピレーションアルバムへの参加が義務付けられる。なお、このコンピレーションアルバムについても著作権料や原盤使用料は各アーティストに支払われる仕組みだ。


「音楽には業界を自立させるだけのパワーがある」と丸山氏

Webサイトのラフ。右にはnJとしてサンプラザ中野氏などの名前も見える
 こうして登録された楽曲は、音楽関係者を中心とした200名ほどの「nJ(ネットジョッキー)」やリスナーの有志によってレコメンドされ、ダウンロード数に応じたランキング「mFチャート」に掲載される。丸山氏は「例えば、6万ダウンロードの楽曲であれば、オリコンの17位ぐらいなどと、既存のヒットチャートと相関関係も出てくるのではないか」と期待する。

 また、インディーズに限らず既存レーベルからも参加を求める。特に、大手レーベルの若いスタッフに不満を持っていたり、CCCDと訣別して楽曲発表の場を失っているベテランアーティストを「biG“A”」と位置付け、mF247で新曲なども発表するという。このほか、ギャザリングの仕組みを導入し、一定数以上の申し込みに応じてCDを発売する「ディスクギャザ」や、ライブを行なう「ライブギャザ」も提供する。さらに、ネットラジオ局「mFステーション」を通じたPodcastingも予定している。

 「音楽ファンは能動的なファンと受動的なファンの2種類。若い頃から自分たちで音楽を演奏してきた人たちは能動的な音楽ファンだ」と丸山氏はいう。こうしたファンのうち、時間がない、体力の低下などで音楽から遠ざかってしまったファンも少なくないが、「演奏経験は自転車と同じで失われない。時間や体力はなくなってしまったかもしれないが、音楽センスはある。こうしたファンを引っ張り込まなければダメだ」と述べる。

 「ラジオで1日に流れる曲は、4分程度の曲なら400曲〜500曲程度。しかし、PCなら何万曲もどん欲に飲み込める」。ラジオやテレビなどのメディアでは時間の限界やスポンサーの意向などがあり、ヒットチャートに載るような音楽が中心的に流されてきた。mF247では、歌謡曲やジャズ、映画音楽、ゲームミュージックなど配信の幅を広げ、音楽ファンの拡大を狙う。

 丸山氏は最後に「不特定多数の意見をどのようなメカニズムで集積すると一部の専門家の意見よりも正しくなるか」というミューズ・アソシエイツ梅田望夫社長のコメントを引用し、「不特定多数の音楽ファンの意見をmF247というメカニズムで集積すると一部の専門家の意見よりも正しくなる」とコメント。タイアップではない“身銭を切った”プロモーションで音楽業界の自立を呼びかけるとともに、「音楽にはそれだけのパワーがある」と強調した。


ヒットチャート中心の現在は音楽の幅が狭まっているという 歌謡曲やゲームミュージックなど音楽の幅を広げれば、市場も拡大する

mF247のスタッフたち

関連情報

URL
  mF247
  http://mf247.jp/
  丸山茂雄の音楽予想
  http://d.hatena.ne.jp/marusan55/


(鷹木 創)
2005/08/18 20:04
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