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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
Airgo、理論値で最大240Mbpsの通信が可能な「第3世代True MIMO」を発表

エアゴーネットワークスの高木氏
 エアゴーネットワークスは、米Airgo Networksが14日(米国時間)に発表した理論値で最大240Mbpsの通信が可能な「第3世代True MIMOチップセット」の説明会を開催した。

 第3世代True MIMOチップセットは、IEEE 802.11a/b/gやAirgoの既存MIMOチップセットと互換性を持った製品。「ACE(Adaptive Channel Expansion)」技術を採用し、20MHz幅と40Mhz幅に対する適応チャネル拡張によって、環境に応じて帯域幅を変化させるという。

 通信速度は40MHz幅で理論値で最大240Mbps、TCP/IP値で120Mbps超の通信が可能だという。現時点では日本国内で40MHz幅の利用はできないが、同社によれば20MHz幅の場合でも理論値で最大126Mbps、TCP/IP値で60~70Mbps、UDP値で100Mbpsに近い通信が行なえるとしている。

 エアゴーネットワークスの高木映児 技術本部長によれば、「IEEE 802.11nでは40MHz幅のチャネルボンディング技術がオプションとして検討されており、米国では利用を許可されている」という。このため、「MIMOで2倍、チャネル幅で2倍となり、単純計算で2×2の4倍の速度が得られる」と語った。


チップの集積化や消費電力、コストの削減も実現

ACEについて
 従来の40MHz幅を利用した他社製品との違いについて、「第3世代True MIMOチップセットでは、はじめからオーバーラップ部分が真ん中全体におよぶのではなく、高度なフィルタリング技術により2チャネルに加えて、もう1つのチャネルが利用できるようになっている」と説明。加えて、「常に40MHz幅に固定させるのではなく、チャネルが混雑している場合には20MHz幅のシングルチャネルに対応させることが可能になっている」と語った。また、IEEE 802.11a/b/gや既存MIMOチップセットとの混在環境下においても共存できるとしている。

 チップの集積化も進められ、第2世代と比較して4チップ構成から3チップ構成となり、RF部の実装面積を50%に削減。コスト面でも15%の削減を実現したほか、消費電力の効率化も図られた。また、製品体系としては従来のアクセスポイントやPCカード以外にも、miniPCIやUSBカードへの応用も可能になるといい、3チップ構成となったことで「mini PCIカードでも、フルオプションへの対応が可能になった(高木氏)」という。


第2世代チップセットからの集積化も図られる IEEE 802.11a/b/gや同社の既存チップセットとも互換性を維持する

第3世代True MIMOチップセットは非常に大きなブレイクスルー(古野氏)

今後の展開
 ディレクタ リージョナル・セールスの古野敬典氏は、「100BASE-Tを超える実効スループットを持つ第3世代True MIMOチップセットは、非常に大きなブレイクスルー」と考えているという。「製品として100Mbps超の無線LANチップセットが出るのは第3世代True MIMOチップセットが初めて」とした上で、「これまで無線LANであるがゆえに問題とされていた部分を解決できる」と述べた。

 また、古野氏は今後の展開として「第3世代True MIMOチップセットの登場により、家庭内にある機器の無線化がさらに進んでいく」と指摘。加えて、「より小型化されたMIMOチップを統合した携帯電話も今後登場するのではないか」と語った。

 第3世代True MIMOチップセットは、一部のパートナー企業向けにサンプル出荷が開始されている。同チップセットを採用した製品の発売時期としては2005年第4四半期後半頃を予想しているという。古野氏は「従来のTrue MIMO採用製品と比較して、2~3割程度の低価格化が図れるのではないかと期待している」と語った。

 なお、IEEE 802.11nへの対応に関して高木氏は「ドラフト 1.0が出ていない状況では互換性があるかどうかは明言できない」とコメント。一方で、「当社はMIMOのリーダーであると自負しており、11nが標準化された際には最初にチップセットを提供するメーカーの1つ」と述べるとともに、「その際に発表するチップセットは既存製品と完全互換性を維持し、従来のユーザーを大事にした製品進化をさせていく」と述べた。


関連情報

URL
  エアゴーネットワークス
  http://www.airgo.co.jp/

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(村松健至)
2005/09/15 18:57
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