KDDIの小野寺正社長は21日、社長定例会見を開催した。同日に発表されたau向けの新料金プランが説明されたほか、NTTのグループ統合方針に関する意見も示された。
■ 資本分離されていればKDDIとNTTが合併するという考えも
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KDDIの小野寺正社長
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NTTが9月15日に行なった社長会見では、NTTの和田紀夫社長が「現行の法制度の枠組みの中でグループの経営資源を有効活用し、シナジー効果を発揮していく」と発言。その一環としてNTT東西の公衆無線LANサービス「フレッツ・スポット」の無料相互ローミングを実施している。
小野寺社長はNTTの社長会見を受けて「NTTグループの行動は正直心配している」とコメント。「NTTドコモも固定系も、NTTグループが圧倒的なシェアを持っていることは未だに変わらない。法で規制したもの以外なら自由という考えを持たれると、日本の通信の発展のために良いことではないと思う。グループ力強化という名前の下に独占力を高めることは大きな問題ではないか」との考えを示した。
NTTの分社化についても触れ、「分社化の主旨は、競争性を担保することにあるはずが、いまの動きはまったく逆行している」と指摘。「本来であれば、NTT東西が自分のエリア以外にもサービスエリアを広げてお互いに競争することが期待されていたのに、それがまったくなされていない」と批判した。
小野寺社長は「NTTが完全な自由競争をしたいのであれば、まずはNTT東西、NTTドコモなどを資本分離すべき」とコメント。海外では米AT&Tが資本も含めて分割した事例を挙げ、「長距離事業だけではどうしようもなくなったため、結果としてグループの合併が起きた」とした上で、「極論を言えば、資本分離されているのであればKDDIとNTT東日本が一緒になってもいいし、NTTドコモとNTT西日本が一緒になってもいい。資本分離がなされていないのに、アメリカを引き合いに出してグループ化を考えるのは競争上おかしいだろう」との考えを示した。
■ 携帯電話の新規参入は「業界全体が正常な形で発展することが重要」
携帯電話事業への新規参入については「我々も元々新規参入であり、競争の促進から考えれば新規参入は悪いことではない」。その上で「アメリカの航空会社では値下げ競争の過熱により、何社かがチャプター・イレブン(連邦破産法11条)の適用を受け、結果として値上げやユーザーデメリットにつながった」との例を挙げ、「重要なのは業界全体が正常な形で発展していくこと。通信事業は価格だけでなく安定的に提供されていることも最低必要条件だ」と述べた。
一部で報道が続く東京電力との提携については「現時点で公式見解以上のことはなく、話し合いをしているのは事実だが、それ以上はない」と詳細は明らかにされなかった。一方で、東京電力以外の電力事業者については「まずは東京電力ときちんとすることが先決。他の電力事業者と話し合いをしている事実はない」とのコメントも示しており、東京電力との交渉が何らかの形で進んでいる様子をうかがわせた。
■ 直収電話は法人も個人も積極的に展開
日本テレコムが、直収電話「おとくラインを個人向けよりも企業向けサービスを重視する方針を打ち出したことを受けて、KDDIの直収電話「メタルプラス」の方針についても質問が飛んだ。小野寺社長は「ユーザーにとって便利で安いサービスを提供することも我々の大義」とコメント。「個人の収益性が悪いからサービスをしませんというのは、我々のような通信事業者が言うべきことではない」とした上で、「料金の安さや一括支払いといった点は消費者の方々にもメリットがある」と述べ、法人だけでなく個人向けのサービスも積極的に展開する方針を示した。
固定事業では直収電話のメタルプラスに注力し、光ファイバサービス「光プラス」に関しては、2005年度下期も新たな施策は予定していないという。小野寺社長は「メタルプラスはユーザーの利便性を高める以外に、CDNのバックボーンをいかに構築するかという目的もある」と語り、「CDNを構築すれば、光ファイバをCDNにつないで新たなサービスが受けられる。いつになるかわからないが、その段階で光ファイバがメインになる時期が来るだろう」と説明した。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
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http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/25738.html
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(甲斐祐樹)
2005/09/21 17:01
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