ウィルコム、シャープ、マイクロソフトの3社は20日、12月上旬発売予定の新端末「W-ZERO3」に関する発表会を開催した。ウィルコムの八剱洋一郎代表取締役社長が、W-ZERO3開発の背景や狙い、今後の展開について語った。
■ PCと携帯電話を合わせた440万ユーザーがターゲット
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ウィルコムの八剱洋一郎代表取締役社長
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ウィルコムの八剱氏は、W-ZERO3を「極めて戦略的な商品」と位置付けた上で、W-ZERO3名称の由来を説明。Wは「Willcom」「Windows」「Wireless」という3つのWを表し、「携帯もPCも超えた新たなものを作り上げていく」との考えから「ZERO」の名称を採用。最後の3という数字は「第3のコミュニケーションと、PHS通信、PHSボイス、無線LANという3WAYコミュニケーション」という意味で付けられている。
W-ZERO3のコンセプトは、常に持ち歩きが可能でメールが自動で受信できるという携帯電話の機動性と、高度な処理能力や多数のアプリケーション、汎用的なプラットフォームを備えたPCを併せ持った「まったく新しいコミュニケーションツール」。八剱氏は「モバイル系のデータカードシェアは携帯電話を含めて43%とNo.1であり、音声サービスでも定額プランの導入により、純増率ではここ数カ月でNo.1」とし、W-ZERO3を「2つのマーケットを合わせ、PCと携帯の強みを活かした商品」と説明した。
八剱氏は「W-ZEROの市場は戦略的かつまったく新しいで非常に読みにくい」と断った上で、JEITAのPC出荷データと同社の潜在モバイルマーケット調査を踏まえた市場分析を披露。「PC/PDA市場では173万台のビジネスチャンスがあると考えている。また、我々の調査では2,700万人が多機能を求めるユーザーで、その1割が取れれば270万人」と述べ、「合計で440万マーケットをターゲットにする」との意気込みを示した。
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W-ZERO3名称の由来
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コンセプトは「まったく新しいコミュニケーションツール」
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PC/PDA市場でのビジネスチャンスは173万台
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音声端末の多機能希求派は2,700万人
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W-ZERO3で音声端末多機能希求派の10%獲得を目指す
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PC/PDAと携帯電話市場で440万マーケットをターゲットに」
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■ 公衆無線LANサービス対応は「安易に提携を広げることはない」
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ウィルコム無線LANオプション
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また、「商品と一緒にサービスメニューを拡充するのがウィルコムの基本的な考え方」とした上で、12月から開始するウィルコム無線LANオプションを紹介。「2005年度末にはPHSで人口カバー率99%を達成、どこでもPHSデータ通信が利用できるようになるが、無線LANスポットではより高速な通信が可能になる」とのメリットを示した。
ウィルコム無線LANオプションで対応するNTTコミュニケーションズのHOTSPOTは、「ウィルコムのサービスに対する考え方とセキュリティポリシーにご賛同いただけた」との理由で提携が実現。HOTSPOT以外の公衆無線LANサービスとは「ポリシーを十分に検討する必要があり、安易に提携を広げる可能性はない」とコメント、現時点ではHOTSPOTのみの対応になる。また、「あくまで我々はPHS専業のキャリア」とし、独自の公衆無線LANサービス提供の可能性も否定した。
W-ZERO3向けに無線LANスポット検索用のアプリケーションも提供する予定で、PHSの位置情報機能を利用し、現在位置に近い無線LANスポットを通知する機能も搭載するという。また、2005年5月末までは、W-ZEROユーザー限定でウィルコム無線LANオプションが無料で利用できる。
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データ通信ユーザーは月額700円。AIR-EDGE[PRO]ユーザーは無料
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ウィルコムの定額プラン群
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■ 今後はFelicaやGPS対応も視野に
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W-ZERO3は究極のパッケージ
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販売経路は通常の音声端末と同様に量販店などを通じて行なうほか、ウィルコムのオンラインショップ「ウィルコムストア」でも販売する。基本的には本多エレクトロンのW-SIM「RX410IN」とセット販売する予定だが、「W-ZERO3はW-SIMなしでも動作するため、すでにW-SIMを持っているユーザー向けにW-ZERO3本体のみの提供も対応する」。ただし、本体のみの場合はW-SIMとのセット価格よりも高くなる可能性があり、価格は現在調整中だという。
動画や静止画の再生、ビジネス文書表示やJAVAアプリ、電子書籍などさまざまな機能が搭載されたW-ZERO3だが、「テレビやラジオ、Felica、GPS機能を搭載しようという話もあったが、まずはできるだけ早く新しいものを提供したいとの考えから今回は見送った」と八剱氏は明かす。一方で「今回の製品はこれで終わりではない」とし、今回見送られたFelicaやGPS機能なども対応する意向を示した。
会場からはP2P電話ソフト「スカイプ」の利用について質問が寄せられ、八剱氏は「我々はスカイプをあくまで1つのアプリケーションとして認識している。接続さえできれば利用できるだろう」とコメント。また、SIPを利用したIP電話子機としての利用方法も「現在検証を進めている」と、IP電話に対しても柔軟な姿勢を見せた。
八剱氏はW-ZERO3を「PCと携帯を併せ持つ新世代ツールであり、弊社しか実現できないと自負している」とコメント。2005年度中は約10万台を出荷し、その販売状況次第で今後の生産台数につなげていくとの方針を掲げた。
■ URL
ニュースリリース(ウィルコム)
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2005/10/20/index.html
ニュースリリース(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/051020-a.html
「W-ZERO3」特設サイト(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/ws/special/
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(甲斐祐樹)
2005/10/20 18:16
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