米Boeing社の一部門であるConnexion by Boeingは4日、飛行機内のインターネット接続サービス「Connexion by Boeing(CBB)」のサービスの現状および今後のサービス拡張戦略を発表した。
サービスの現状については、航空機の進化でピンポイントかつ短期間でのフライトが可能になったほか、国際電話の通話料金も大幅に値下がりし我々のビジネスにも影響を与えたと、サービス提供における環境の変化を説明。また、「我々の目的は乗客のニーズに応えることで、それはシンプルなサービスの提供と、必要最小限の機材の利用で省電力化と軽量化を図ること」とサービス展開のコンセプトを明らかにした。
ユーザーからのニーズについては、「人々が無線接続に慣れてきた現在では、常に家庭やオフィスと同様の接続環境を保ちたいという気運がビジネスのみならず個人利用でも高まっている」とし、「インターネットの利用が当たり前となった若年世代が旅行者となることで、このニーズはさらに高まる」と分析。「もはやユーザーはCBBの有無で航空会社や路線を選択している」と位置づけている。
CBB利用ユーザーの総数や同社の収益については、協業航空会社との契約上非公開であったが、航空機の利用者数におけるCBBユーザーの割り合いは、コペンハーゲン~シアトル路線の場合で最大で54%であったほか、東京発の路線では概ね30%代のユーザーを確保しているという。今後のユーザー確保については、「航空機に搭乗する以前からノートPCを持ち込む必要があることから、事前にCBBのサービスを知ることが出来るプロモーションが必要だ」とコメントした。
サービス展開の状況については、CBBのサービス提供を初めて行なったルフトハンザドイツ航空をはじめ、シンガポール航空、日本航空インターナショナル(JAL)、全日本空輸(ANA)など11社130路線での提供を行なっている。また、今後は新たな航空会社2社との提携とサービス提供を行なう予定で、詳細は近日発表予定だという。サービス面では650社と提携を行なっているほか、23社とローミング提携を実施している。また、米Yahoo!および米Intelなどとの技術提携を締結しており、Yahoo!より検索サービスの提供を受けるほか、Intelとは「Centrino モバイル・テクノロジ」を利用した伝送速度の高速化などを図っているという。
CBBで利用している無線LAN機器については、ボーイング747/777/787に設置可能で、B747およびB777は機体によっては設置が不可能な場合があるが、現在開発が進められているB787では、無線LAN機器が標準で装備されるという。また、CBBでの無線LAN接続時の伝送速度については、現在では約1Mbps~5Mbpsを確保しており、今後圧縮技術をなどを用いることで非対称通信ではあるが下りで最大20Mbpsまで増速したいとしている。
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CBB提供路線
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各国のローミング提携企業
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航空機内の無線LAN機器や通信システムの概要
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■ 今後はテレビ放送のリアルタイム配信や携帯電話のローミングサービスを展開
CBBの今後のサービス展開については、「ポータルサイトの改善」「航空会社の商用向けや海運会社向けのサービス提供」「携帯電話のローミングサービス」などを計画しているという。
ポータルサイトの改善については、CBB利用者向けに提供しているポータルサイトにゲームやテレビ放送の無料提供をといったコンテンツの拡大をはじめ、ログインの簡素化を行なう。また、ポータルサイト経由のほか機内でクレジットカードやデビットカードを利用した免税品の購入を可能とするといった利便性の向上を図る。
また、テレビ放送については7月より「CNBC」「EuroSport News」「BBC World」「NSNBC」の提供を行なっているが、今後はリージョンコードごとに自動でコンテンツの内容や言語を切り替えるサービス提供を予定している。また、コンテンツの拡充もあわせて実施し、同社が航空会社に代わってコンテンツプロバイダと交渉や提携を行なう。これにより、航空会社はコンテンツを確保するコストを削減できるほか、テレビ放送をリアルタイムで配信するといった、コンテンツ確保までの時間差を短縮できるとしている。このほか、ノートPCを所有しないユーザー向けに機内にあらかじめ設置されたIFE(Flight Entertainment system、フライト・エンターテイメント・システム)への無線LAN機器の組み込みとコンテンツ提供も行なう予定だという。
動画コンテンツ配信をスムーズに行なうためには無線LAN接続の伝送速度向上が必須となるほか、特にスポーツコンテンツに見られる版権の高騰といった問題があるという。また、IFEの組み込みについては、製造会社の1つである米General Dynamics社と交渉を行なっている段階だという。IFEについては、航空機のシートに内蔵するタイプでは無線LAN機器の組み込みが難しい、といった問題もある。
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テレビ放送配信の利点とビジネスモデル
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リージョンコードによる配信コンテンツの切り替え例
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IFE向けコンテンツ配信の概要
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航空会社の商用向け提供は、航空機と管制官やメカニックとの通信手段に無線LANを提供するもので、データ通信のほかVoIPを利用した音声通信を採用する予定。また、航空機にセンサーを設置し、センサーにより測定されたデータを伝送する「テレメトリーシステム(遠隔測定機能)」の導入も可能になるという。これにより、通信機器の導入におけるコスト削減のほか、正確かつ無駄のない航空機整備が可能となり、航空会社の利益改善に繋がるとしている。
また、同社はCBBの提供を海運会社が所有する船舶へ拡大する予定であると明らかにした。船舶むけの提供を行なう理由については「CBBへのニーズが、航空会社と重複する点が多い」としている。
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航空会社の商用向け提供の概要
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船舶向けの提供の概要とニーズ
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携帯電話のローミングサービスについては、航空機内での音声通話やSMSなどのデータ通信を可能とするサービスを予定している。2006年後半前にはヨーロッパでのサービス提供を開始するほか、2007年には米国で、2007年~2008年にかけてはアジア、アフリカ、南米でのサービス提供開始を目指す。
利用可能な携帯電話は、サービス開始当初はGSMでの音声通話のみで、以降SMSやGPRSの利用を可能とする予定。3Gについては、提供開始が遅れる見込みだという。また、音声通信とデータ通信を個別に管理し、例えば、離着陸時は音声通信とデータ通信を、フライト中はデータ通信のみを利用可能とするといった、航空会社が任意にサービス形態を変更できる技術を開発するという。
なお、サービス開始にあたってはフライトで経由する各国の認可が必要となるが、国によっては認可が難しく障害になっているという。また、機内での携帯電話利用については、技術的な面では機体電話が航空機に悪影響を及ぼすといった認識があること、乗客の観点からは携帯電話での通話が迷惑となるといった問題があることから、これらを踏まえた上でのサービス提供を行なうとしている。
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携帯電話のローミングサービスにマーケティング概要
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提供予定路線と開始時期
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実証実験の模様
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■ URL
Connexion by Boeing
http://www.connexionbyboeing.com/
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(大久保有規彦)
2005/11/04 17:11
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