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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
内閣官房コンテンツ専門調査会「制度次第で日本は世界をリードできる」

 12月26日に開催された「コンテンツ専門調査会 デジタルコンテンツ・ワーキンググループ」第3回では、コンテンツ専門調査会の委員が有識者を対象に行なった意見聴取や、現在取りまとめが進められている「デジタルコンテンツの振興戦略」案などを元にして議論が行なわれた。


初めからデジタル化された市場を積極的に考えていくことが重要

ワーキンググループの様子
 意見聴取の対象となったのは、ジャパン・ライツ・クリアランス代表取締役社長の荒川祐二氏、フジテレビジョンライツ開発局アーカイブセンター室次長の板垣陽治氏、Entertainment FARM代表取締役の小谷靖氏、日本音楽著作権協会(JASRAC)常務理事の加藤衛氏、オズ代表取締役の一瀬隆重氏。コンテンツ専門調査会の委員が個別に行なった意見聴取の取りまとめ結果が公表された。

 聴取を担当した東京大学大学院教授の浜野保樹委員は、5人の意見の中から印象に残った点を中心に紹介。コンテンツ産業へ新規参入した立場からは「アナログのルールをデジタルに適用するなど、既存ルールが阻んでいる」という意見が見られた一方、フジテレビでは放送から3年経過したコンテンツを提供するための蔵出しルールを検討するなど、流通の変化に対応するための努力が見られたという。

 映画「リング」「呪怨」などがハリウッドリメイクされた映画プロダクション「オズ」の一瀬氏は、「コンテンツ制作には莫大な宣伝費が必要だが、その点ではテレビ局が優位。テレビ局が映画の自社制作を始めたため、テレビ局は自らの宣伝枠で自社の映画を宣伝する。結果として成功する映画のほとんどはテレビ局制作であるという実態」と指摘。「日本の映画産業は非常にドメスティックであり、テレビ局に気に入られるものばかり作っていても国際競争力が育たない。この構造を打破するには外国資本による日本語映画も可能性の1つではないか」との考えが示された。

 浜野委員とともに意見聴取を担当した慶應義塾大学教授の國領二郎委員は、「大きな流れとして、今までの延長線上の仕組みを考えるのか、新しい形を考えるのかの2つがある」とコメント。「CDを二次利用するという考えで進めるか、初めからデジタル化された市場を考えるのか。後者を前向きに考えていくことが重要だろう」との考えを示した。


制度次第で日本のコンテンツ流通は世界をリードできる存在に

 ワーキンググループの後半では、「デジタルコンテンツの振興戦略(案)」も公表された。「日本を世界トップクラスのデジタルコンテンツ大国に」を基本目標に掲げたこの戦略では、「ユーザー大国」「クリエーター大国」「ビジネス大国」の実現を目標とし、「「ユーザーが主役」「クリエーターを大切に」「でじたるに国境はない」「ビジネスモデルは進化する」「技術は日進月歩する」という5つの視点から考えられている。

 國領委員は戦略案に対して「必ずしも著作権法だけでなく、契約上の民民規制や取引慣行も競争を阻害する一因であり、競争政策的な観点も必要」と指摘。第2回のワーキンググループで、に・よん・なな・みゅーじっく代表取締役の丸山茂雄氏が「立場の弱いクリエイターの場合、二次利用以前に最初の契約で根こそぎ持って行かれてしまって話にならない」と発言した件を引用し、「最終的にクリエイターがコンテンツの出し方を選択できるのが一番だが、そこに到達するまでにクリエイターの自由が奪われている契約上の不利も解消しなければ」との考えを示した。

 ACCESS代表取締役社長の荒川亨委員は「コンテンツ流通に関する現状の制度は、制約が大きい中でいかに分野を育てていくかという点では良い制度だった」と振り返った上で、「今はその制約も解消され、世の中も豊かになり、技術も進歩しているのに枠組みがかわっていかないところに問題がある」とコメント。「通信も放送もインフラ整備が進んでおり、デジタル機器も中国・韓国が強いと言われながら新しいものは日本から産まれている。アニメなどのコンテンツ制作能力や質の高さも評価が高い」とした上で、「すべてが揃っていながらもそれらを結ぶ制度が弱い。この点を変えれば日本は世界をリードできるのではないか」と述べた。

 國領委員はコンテンツ流通の現状を金融業界になぞらえ「今のコンテンツ業界は10年前の金融業界のような護送船団方式になっている」とコメント。「金融業界は10年にわたる大きな改革で株価も上がり復活した。コンテンツ業界も思い切って仕組みを変えていかなければこの先大変なことになるだろう」と述べると、ウシオ電機会長の牛尾治朗座長は「金融と違って通信は規制が無く自由。それに対してコンテンツは制約が多いという二重構造があるのではないか」と指摘。荒川委員は「本来は技術より上にあるべきコンテンツに攻める姿勢がないために、収益面などで割を食っているのではないか」との考えを示した。

 フューチャーシステムコンサルティング代表取締役社長の金丸恭文委員は「最先端の技術を並べて、それを最も有効に使うための戦略を考えている」という米国の軍事戦略を例に挙げ、「日本にもそういったメッセージがあれば科学技術に携わる人々のモチベーションがあがるだろう。国家戦略としては重要な考え方ではないか」と発言。「デジタルコンテンツもネットの情報が本になるなど、一次利用と二次利用の考え方も変わってきている。コンテンツ産業は日本が強いが利害調整も難しい分野だけに、国としてその調整に力を発揮して欲しい」との考えが示された。


関連情報

URL
  コンテンツ専門調査会デジタルコンテンツ・ワーキンググループ(第3回)の開催について
  http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/contents/dezitaru/1219kaisai.html


(甲斐祐樹)
2005/12/26 16:04
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