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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
福岡市の路線バスでコンテンツの配信実験、無線LANとPHSを利用

 インターネットに接続した“ITバス”が福岡市内を走る。車内に地域情報や交通情報などを配信し、乗客の利便性が高まるという――。ルートや福岡市、九州大学大学院システム情報科学研究室、九州システム情報技術研究所、筑紫女学園大学が組織するFITBUS(福岡ITバス)協議会による路線バスへのコンテンツ配信実験が、15日から始まる。3月31日まで、福岡都心100円循環バスの内回りで、無線LANやPHSでインターネット接続したバス10台が運行するほか、一部バス停に対しても情報を配信する。


実験に使用する“ITバス” 運転席後ろの液晶ディスプレイに映像コンテンツを配信する

実験区間の7割は無線LANで接続可能

運転席上部にモバイルルータ、PC、電源などを設置
 実験では、ルートのモバイルルータ「RTMR2400」と専用の小型PC、液晶ディスプレイなどをバスの車内に搭載。全長約5.6kmの実験コースでは、ビルの屋上など9カ所にIEEE 802.11gに対応した無線LANアクセスポイントを配置し、インターネットを通じてバスに広告コンテンツなどを配信する。

 RTMR2400は無線LANやPHS、携帯電話など複数のアクセス回線をシームレスに利用できるモバイルルータ。時速300kmの移動中でもネットワークが途切れることなくスムーズな通信が可能だという。各アクセスポイントとの相互認証やパケットベースの暗号化により、セキュリティも確保した。ネットワークはIPv4で構築されているが、RTMR2400はIPv6に対応しているため、IPv6ネットワークで運用することも可能だ。

 無線LANのバックボーンには九州通信ネットワーク(QTNet)のネットワークを利用。ウィルコムのPHSデータ通信サービス「AIR-EDGE」(最大通信速度128kbps)をバックアップ回線として利用し、無線LANで通じないエリアもカバーする。なお、実験区間の平均スループットは調査中のため不明。ただし、実験前に乗用車で調査したところ、実験区間の7割ほどは無線LANで接続できたという。

 「1つの無線LANアクセスポイントで直径200mをカバーする見込みだが、アクセスポイントの出力を調整し、最適なスループットとエリアを見極める」とルートの真野浩代表取締役。ウィルコムの8xパケット方式(256kパケット方式)に対応する予定については、「今回利用しているPHSデータ通信端末が8xパケット方式に対応していないだけ。通信端末が対応すれば8xパケット方式を利用できる」という。


USB接続型のPHSデータ通信端末が差し込まれているのがわかる 背面から見たところ。上にPC、左下にモバイルルータ、右下に電源がレイアウトされている

バスの屋根には突起部。無線LAN用のアンテナが埋め込まれている 実験コースからはビル屋上のアンテナも目視できた。わかりづらいが、屋上の街灯から飛び出ている部分がアンテナだという

FOMAやCDMA2000 1x EV-DOなどを採用すればストリーミング配信も可能

車内で説明するルートの真野代表取締役
 配信コンテンツはインターネット上のサーバーで管理する。バス内の専用PCがサーバーにアクセスし、新しいコンテンツがあればダウンロードする。厳密にはリアルタイムなストリーミング配信ではなく、いったんバス内のPCに蓄積した上で自動的に液晶ディスプレイで再生する仕組みだ。

 ルートの真野代表取締役は「今回は無線IP網を簡単に利用してもらうために、液晶ディスプレイへの情報配信という手法をとった」とコメント。バスの中でノートPCを使う利用客が増えれば、今回のシステムを活用してバス内を無線LANスポットにすることも可能だという。

 また、無線LANだけでなくPHS通信も利用するため、通信速度にムラがあり、リアルタイムなストリーミング配信は現段階では困難だという。ただし、FOMAやCDMA2000 1x EV-DOなどを採用すればストリーミング配信も可能だ。また、配信コンテンツの置き換え自体はほぼリアルタイムで可能なことから、次のバス停までの所要時間など交通情報や大雪など交通機関に影響を及ぼすような緊急情報の配信なども予定している。

 14日に報道機関向けに行なわれた試乗会では、実験区間の一部に乗車できた。液晶ディスプレイを見る限りは、映像に大きな乱れもなく、無線LANとPHSとの切り替えもスムーズに行なわれた。


livedoor Wirelessなど活用すれば東京都内でも実現の可能性

 時間帯やアクセスしている無線LANのアクセスポイントに応じて、配信するコンテンツを変更できる。実験バスにはグローバルIPアドレスを割り振っているため、技術的にはバスごとの情報配信も可能だ。

 福岡市や実験に協力する西日本鉄道、西鉄エージェンシーでは、各バスごとの情報配信で乗客の利便性を向上させる一方、地域企業からの広告によるビジネス展開を狙う。すでに西日本新聞などから情報配信や広告出稿の予定もある。

 真野代表取締役は「livedoor Wirelessなど東京都内に無数にあるアクセスポイントを活用すれば、今回のシステムを搭載したタクシーなどで、インターネットを利用できるようになる」と述べた。


一部バス停にも映像配信が行なわれる。画像はバス停に装備された無線LAN用のアンテナ 時刻表などを配信

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URL
  ニュースリリース
  http://www.root-hq.com/newsrelease/news060207_2.html

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(鷹木 創)
2006/02/14 20:27
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