Broadband Watch logo
最新ニュース
【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
SCEI久夛良木氏、PS3は11月に発売。PS3とPSPはネットワーク機能を重視

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)が15日に開催した「PS Business Briefing 2006 March」では、久夛良木健代表取締役社長 兼 グループCEOが登壇。携帯ゲーム機「PSP」の今後の展開や、次世代ゲーム機「プレイステーション 3(PS3)」の正式な発売日などを発表した。


PSPは「21世紀のウォークマン」を超える飛躍

久夛良木健代表取締役社長 兼 グループCEO
 久夛良木氏は冒頭、現行の家庭用プラットフォームであるPS2の現状と今後の展開から説明。「6年間で1億台のPS2が普及し、ソフトも10億コピー、約6,700タイトルに上る」とその堅調ぶりをアピールしつつ、「これからも安心してゲーム事業を続けられるプラットフォームとして、4~5年はPS2を相当数導入していきたい」とコメントし、「明日発売のファイナルファンタジーXIIや、ワールドカップに合わせて投入されるFIFA World Cupなど、魅力的なタイトルも用意している」と続けた。

 プレイステーションとして3つ目のプラットフォームとなるPSPは、発売から14カ月の期間で比較するとPS、PS2よりも導入スピードが速く、すでに1,000万台を超えるPSPを出荷した。久夛良木氏は「任天堂のニンテンドーDSも含め、2005年と2006年は携帯ゲーム機が大きく伸びた年」と指摘、「少子化といった要素や、ゲームビジネスそのものに疑問が抱かれるなどの問題はあったが、携帯ゲーム機がそれを見事に払拭してくれた」との感想を述べた。

 2003年のE3で「PSPは21世紀のウォークマン」と評した久夛良木氏だが、「今のPSPは当初の考えを超えるような飛躍を遂げていて、さまざまなユーザーの嗜好に基づいて使われている」とコメント。一方、同社が行なった市場調査によれば、PSPの主たる利用場所は家庭内であり、利用目的はゲームであったことから「持ち運びのためにPSPをもっと軽くしなければというのは1つのチャレンジとして持っているが、むしろみんな家の中で使っているんだな、ということがわかってきた」とも述べた。

 PSPの年代層は「20歳代に使いこなしていただいているようだ」としつつ、「携帯ゲーム機市場を牽引しているニンテンドーDSと比べると、10歳以下や女性ユーザーが少ないことは大きな反省」とコメント。「PSを世に出した時は、“今までゲームとして定義されていなかったことをやろう”という考えから『パラッパラッパー』『がんばれ森川君2号』といったゲームをリリースしてきたが、10年経って我々はチャレンジを忘れてしまったのかもしれない」と振り返った久夛良木氏は「まだまだ開発されていないマーケットを改めて広げていきたい」との意欲を示した。


PS2の普及状況 PSPはPS、PS2を上回る普及スピード

PSPは外出時よりも家庭内で使われるケースが多いという ニンテンドーDSと比較して20代に強いが10代や女性層に弱いPSP

PSPのネットワーク機能を拡充。コンテンツ配信やPodcastingなど強化

PSPの機能強化スケジュール

PSP向けコンテンツ配信サービスも予定
 こうした考えも踏まえて、今後はPSPの機能強化を積極的に行なっていく方針で、その一環としてPodcastingの機能強化を図る。すでにPodcastingコンテンツをストリーミング再生できる「RSSチャンネル」機能がPSP向けに提供されているが、2006年春に予定するアップデートでは音声ファイルのダウンロードもサポートし、同時にMacromedia Flashの再生にも対応する。2006年夏のアップデートではPodcastingをさらに機能強化し、動画コンテンツのPodcastingにも対応する予定だ。

 新たな周辺機器によるサービスも提供予定で、2006年にはUSBでPSPに装着できるビデオカメラを発売。合わせてビデオチャットアプリケーションや、カメラを利用したPSP向けソフト「EyeToye on PSP」も用意する。「スカイプなどインターネットを使って通話することが当たり前になってきた中で、音だけではなく映像も含めたコミュニケーションをインターネットで行なうことをPSPの基本機能としたい」(久夛良木氏)。

 2006年10月にはGPSレシーバーも発売する。「ゴルフでGPSのついたカートに載った時、これは面白いと思った」と語った久夛良木氏は、「グルメ情報やタウン情報などと連携するには、PSPは格好のデバイス。GPSによって新しい遊びやサービスが期待できる」とした。

 PSP向けのコンテンツ配信サービスも予定する。ゲームソフトなどのコンテンツをPSPに装着したメモリースティックDuoにダウンロードし、メモリースティックDuoからコンテンツを起動することが可能になるという。「ネット配信はPS2の頃から考えていたが、料金や通信速度の問題などからなかなか実現できずにいた」という久夛良木氏は、「パッケージの後継サービスだけでなく、ゲームそのものを配信してもいいだろう」とコメント。

 さらに「これまで我々が温めてきたアイディア」と前置いた上で、「PSPでPSのソフトをエミュレートできそうだ」と発言。ほぼオリジナルそのままのPSゲームのソースコードを使い、アーカイブサーバーからゲームソフトをネットワーク配信できるという。久夛良木氏は、「これでメモリースティックDuoを作っている会社の株価も上がるのではないか、というほど大変期待している」と語った。


ビデオカメラと対応アプリケーションを秋にリリース


GPSレシーバーは10月発売。ゴルフ向けアプリケーションも


PS3は11月上旬発売。開発ツール価格は「PS2導入時を想定してもらえれば」

PS3発売日は11月上旬に決定
 次世代の家庭用ゲーム機であるPS3は、「PS3がブルーレイディスク(BD)をサポートする姿勢を打ち出したことで、ハリウッドも含めてBDのリリースが加速している」と自信を見せた一方、「ユーザーにとって重要であるセキュアコピーの仕様を固めるために規格化が遅れた」とコメント。「E3ではPS3を春に発売するとアナウンスしたが、これは8月に企画化作業が終了していることが前提だった」と続けた久夛良木氏は、「著作権保護技術のAACSの標準化は、今まさにすべての議論が大団円に向かおうとしており、商品を作るための仮キーも発行される状態になった」と説明、PSの新たな発売日を「11月上旬」と改めて発表した。

 発売は世界の主要国で同時期となる見込みで、月間100万台生産の体制を整え、2007年3月末には600万のキャパシティを目標とする。「月100万という数字は意見が分かれるだろうが、これはPS2を超える立ち上げ。遅れた分きちんとした生産体制を作りたい」と説明した久夛良木氏は、「初回出荷台数はまだ明らかにできないが、今までの経験も含めてベストを尽くしたい」とした。

 仕様面ではPS、PS2との後方互換性に加え、フルスペックのBDや次世代HDMIもサポートし、「最先端のBDプレーヤーになるだろう」。また、HD非対応のテレビでも利用できるようサポートする。ギガビットイーサネットや無線LANもサポートし、HDDも「発表時にはデタッチャブル(離脱可能)としていたが、将来のデジタル家電的な可能性も考え、標準搭載を前提として考えている」。また、PS3のソフトはDVDではなく、すべてBD-ROMで提供する方針も合わせて示された。

 PS3開発ツールの価格は未定だが「天文学的な価格ではない」。久夛良木氏は「コストがかかっている製品ではあるが、PS2の導入時の価格を想定してもらえれば、大きく違わないだろう」とコメントした。

【お詫びと訂正】
 初出時、「PS3の価格」としておりましたが、「PS3開発ツールの価格」の誤りです。お詫びして訂正します。


世界の主要国でほぼ同時期に発売予定 PS3の特徴

100万台の生産体制を目指す PS3の立ち上げはPS、PS2よりも速いペース

基本料金無料のPS向けネットワークプラットフォームも構築

PlayStation Network Platform(仮称)
 PS3発売同時期に、PS用のネットワークプラットフォームも立ち上げる。基本サービスは無料とし、インターネット上のさまざまなサービスをプラットフォーム上で展開できるオープンな形でのサービスを目指す。オンラインゲームに必要なサービスや機能だけでなく、ライセンシーが個別に構築したゲームサーバーとの連携も可能だという。

 具体的にはユーザーアカウントやロビー機能、ランキングやビデオチャット、プレゼンス機能といったユーザー向け機能に加え、オンラインコンテンツ販売ショップやコンテンツのダウンロード販売、少額決済や定額制といった料金体系、HDDからのゲーム起動といった仕組みも用意する。ネットワークプラットフォームは「エバークエストII」を運営するソニー・オンライン・エンターテインメントと協力、世界的なネットワークを構築していくとした。

 久夛良木氏は「2次元だったゲームの世界に、PSとPS2は3Dという空間の概念を持ち込んだ」とコメント。「PS3では3Dに“時間軸”というリアルタイム性を取り入れることで4次元になるのでは」との考えを示し、「今のインターネットはライブで止まらない世界。そうしたライブ感をゲームの世界に取り込んでいきたい」との意欲を示した。


PS3発売と同時にネットワークプラットフォームを立ち上げ SOEとの共同展開でワールドワイドなネットワークを構築

ネットワークプラットフォーム向け機能の概要 コンテンツダウンロード販売や課金システム、ダウンロードしたコンテンツのHDD機能なども可能に

関連情報

URL
  ニュースリリース(PS3発売、PDF)
  http://www.scei.co.jp/corporate/release/pdf/060315b.pdf
  ニュースリリース(PSP機能強化、PDF)
  http://www.scei.co.jp/corporate/release/pdf/060315a.pdf

関連記事
SCEI、PSP向けソフトのネット配信。Flash対応ファームウェアも今春公開
SCEI、「プレイステーション 3」の発売時期を11月上旬に延期
SCEI、ギガイーサや無線LANを標準搭載した「プレイステーション 3」


(甲斐祐樹)
2006/03/15 19:39
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.