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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
ソフトバンク、ボーダフォン買収で「世界のモバイルポータルを目指す」

 ソフトバンク、ヤフー、ボーダフォンの3社は、ソフトバンクグループのボーダフォン買収に関する記者会見を開催した。会見ではソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏、ヤフー代表取締役社長の井上雅博氏、ボーダフォン代表執行役社長のビル・モロー氏が出席、買収の経緯やメリットについて語った。


ボーダフォン買収会社はBBモバイルになる方向性が濃厚

左からボーダフォン代表執行役社長のビル・モロー氏、ヤフー代表取締役社長の井上雅博氏、ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏
 今回の買収はソフトバンク全額出資子会社によって行なわれ、ボーダフォン発行済普通株式の約97.7%を取得する。買収を行なう子会社は「1.7GHz帯を割り当てられ、研究開発や人員も揃っているBBモバイルが所有するのが自然な流れではないか」(孫氏)と、BBモバイルが主体として考えられている。

 資金調達は、買収先の資産などを担保として借り入れた資本金で買収を行なうレバレッジド・バイアウト(LBO)で1.1~1.2兆円を調達。買収後の新会社が自らの事業によるキャッシュフローで返済するノンリコースローンを採用することでソフトバンクは 返済義務を負わず、ボーダフォンを買収するソフトバンク子会社が返済を行なっていく。

 このローンとは別にソフトバンクが2,000億円、ヤフーが1,200億円をソフトバンク子会社に出資。ボーダフォンインターナショナルホールディングス B.V.も、3,000億円の優先株式 新株予約券と1,000億円相当の劣後債の投資を行なう予定であり、この投資総額4,000億円は買収の支払いに充当される見込みだ。


買収の概要 ノンリコースローンにより返済はボーダフォンのキャッシュフローで独自に行なう

ネットワークやコンテンツの融合で買収のシナジー効果を図る

総合通信会社としての体制を確立。Yahoo! JAPANなどインターネットサービスのグループ企業も強み
 ボーダフォン買収により、ソフトバンクグループの事業規模は売上高2.5兆円規模、回線数が2.600万規模となり、これまでのデータセンターやISP、固定回線といった事業に加えてモバイル事業も含めたフルサービスの提供が可能になるという。孫氏は「モバイル事業によって総合通信会社としての体制を確立した」とした上で、「NTTグループやKDDIと比べて、Yahoo! JAPANや国内外で800近いインターネットサービスのグループ企業が我々の強み」との自信を示した。

 買収により、ボーダフォンがこれまで築きあげてきた顧客基盤や設備、端末調達能力や人材・ノウハウなどを「新規事業を立ち上げるよりもはるかに大きな規模でスタートできる」。また、これまでバックボーンネットワークを外部から調達していたボーダフォンに対し、ソフトバンクグループの基幹ネットワークを利用することでコスト削減も図れるほか、アクセス回線サービスのフルラインナップ化によって統合的なネットワークサービス展開も図れるとした。

 ヤフーとのシナジー効果も買収によるメリットの1つ。PC向けサイトや携帯電話向けサイトで大きなアクセス数を誇り、豊富なサービスを持つYahoo! JAPANの集客力をボーダフォンにも最大限活用することでシナジー効果を図る。また、ポータルサービスにおけるボーダフォンとの独占的な提携も視野にあり、「Yahoo! BB会員へのYahoo! JAPANサービスのように、基本的には広くインターネットユーザー全体へ提供し、ボーダフォン向けにはより利便性の高いサービスを提供するという形になるのではないか」(ヤフー井上氏)。


ネットワーク統合によるコスト削減効果 モバイルサービスでの連携も武器に

ジョイントベンチャーで世界のモバイルポータルを目指す

会見にはボーダフォングループ Plc 最高経営責任者のアルン・サリン氏も電話中継で参加し、「すばらしいモバイルとコンテンツをソフトバンクと共に提供できることを嬉しく思う」とコメント
 世界的なサービス展開も視野に入れ、ボーダフォングループとのジョイントベンチャー設立も現在検討中。孫氏は「日本では第3位のボーダフォンだが、世界では携帯電話加入者数の約24%をボーダフォングループが占めており、約5.1億人という顧客基盤を持っている」と指摘。「世界的なジョイントベンチャーを立ち上げたいというビジョンで両社が一致した」と付け加えた。

 具体的なジョイントベンチャーの方向性としては、「NTTドコモやKDDIはショッピングやオークションなどを積極的に展開していないが、Yahoo! JAPANはオークションとショッピングだけで年間600億規模の売上がある」と、ECコマースのモバイル展開を説明。「今回の株式売却はボーダフォンの日本撤退ではなくむしろ強化であり、日本のモバイルポータルから世界のモバイルポータルを目指す」との意気込みを示した。


ボーダフォングループの顧客基盤は全世界で5.1億人 日本のモバイルポータルから世界のモバイルポータルを目指す

ボーダフォンは新ブランドへ移行。料金戦略はノーコメント

「孫さんは非常にタフで信念を持った交渉相手だった」と語るモロー氏
 交渉の経緯は、2005年3月に孫氏からモロー氏へ「ボーダフォンとソフトバンクで前向きな関係を築けないか」と電話があったことに端を発する。この時点ではまだ買収の話は出ていなかったが、2005年末にはMVNOを求めてソフトバンクがボーダフォンと交渉を開始。議論を進めていく中で「いっそのこと買収したほうが早いのではないかと思い、年が明けて(2006年になってから)具体的な買収の意向を私から申し入れた」(孫氏)。他にもボーダフォン買収のオファーはあったが、「ソフトバンクと生み出せる価値が大きいと取締役会で判断した」(モロー氏)という。

 ボーダフォンの国内ブランドは今後新たなブランドに切り替える予定だが、具体的なブランド名などは現在のところ未定で「移行期間として半年から1年はかかるだろう」(孫氏)。端末の調達方法などはこれまでと変わらないが、孫氏は「新しいテクノロジーやサービスは積極的に取り入れていきたい」。とコメント。ボーダフォンの料金戦略に関しては「まだコメントすべき時期ではない」と一貫してコメントを保留した。


1.7GHz帯は「既存事業者としてイコールフッティングを求める」

会見中は終始笑顔だった孫氏
 ソフトバンク子会社のBBモバイルは、新規移動体事業者として総務省から1.7GHz帯を割り当てられているが、この件に対して孫氏「総務省と相談しながら収まるべきところに収まるだろう」と慎重な姿勢。ただし、1.7GHz帯を返却するとなった場合には、「ボーダフォンとしてHSDPAなど高速サービスを提供する際に、NTTドコモやKDDIと比べて十分な帯域が与えられているのか。今度は既存の通信事業者としてイコールフッティングを求めていく」とコメント。また、今後割り当てが予定されている2.5GHz帯についても「WiMAXなどの高速サービスとして積極的に取り組みたい」との意向を示した。

 孫氏は今回の買収を踏まえ「PCのソフト流通から始まり、気が付いてみればかなり遠くまで来たな」との心情を示しつつも「徐々にイメージしていたデジタル情報革命のための構えが整ってきた」とコメント。「総合通信会社というのは私の志からすれば低く、目指すは総合デジタル情報カンパニーだ」と語り、「ボーダフォンもマーケット3位の座に甘んじている気はない」との意欲を示した。


関連情報

URL
  ニュースリリース(ソフトバンク)
  http://www.softbank.co.jp/news/release/2006/060317_0001.html
  ニュースリリース(ヤフー、PDF)
  http://ir.yahoo.co.jp/jp/release/20060317/20060317_2.pdf

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(甲斐祐樹)
2006/03/17 21:37
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