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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
マイクロソフト、「UMPC」の日本における展開を説明。PBJ製品も発表

 マイクロソフトは4日、米Microsoftが3月にCeBIT 2006で発表したWindows XP Tablet PC Edition 2005をOSに採用した「Ultra-Mobile PC(UMPC、コードネーム:Origami)」の日本市場における事業展開説明会を開催した。発表会では、PBJのUMPC「Smart Caddie(スマートキャディ)」も紹介された。


UMPCでWindowsフルスペック対応製品をモバイル市場へ投入が可能に

(左から)PBJのUMPC「Smart Caddie」を手に持つPBJの高橋氏、米Microsoftのビル・ミッチェル氏、立命館小学校副校長の陰山氏
 「まさに今、機が熟した」。米MicrosoftのWindows Mobile Platforms Division担当コーポレートバイスプレジデントのビル・ミッチェル氏は、自身が1992年に携わったWindows CEの立ち上げ時期を振り返りながらそう語った。「当時はCPUパワーや電力仕様、バッテリ駆動時間などを考慮すると、Windowsのフルスペックをモバイル市場に提供するのは難しかった。しかし、現在は十分なパワーを持ったCPUが登場し、フルスペックを満たした製品をモバイル市場に投入できるタイミングが到来した」と説明する。

 UMPCは、ノートPCやタブレットPC、そしてPDAや携帯電話の間を埋める製品として位置付けられている。OSにはWindows XP Tablet PC Edition 2005を搭載し、Windows XPで提供されているアプリケーションやソフトウェアなどの使用が可能になっている。

 基本仕様としては、CPUがIntel Celeron M/Pentium M、VIA C7-M、HDDが30~60GB、液晶ディスプレイは7インチ、重量は900gと規定。また、タッチパネル、無線LAN、Bluetoothをサポートするほか、バッテリ駆動時間は2.5時間以上が条件として挙げられる。

 ビル・ミッチェル氏は、「モバイル分野を牽引してきた日本市場で受け入れられなければ、UMPCの成功はない」と日本市場の重要性を強調。「今回発表したUMPCは長期的なビジョンを実現するための第1歩であり、ユーザーからのフィードバックなどを取り入れて、次の製品へと繋げていきたい」と今後の方針を示した。

 なお、UMPCのコードネーム“Origami”の由来に関しては「非常にコンパクトな形で、美しくて小さいと意味を表わしている」と説明。加えて、「何もない紙から美しいものを作り出す、多くの可能性を秘めているもの」と付け加えた。


UMPCの位置付け UMPCにはマイクロソフトのタッチパックがプリインストールされる

UMPCの画面 ユーザー設定によりスクロールバーの幅も変更できる 文字入力はダイヤルキーからも可能。透過度も変更できる

手書き入力にも対応する 数独ライクな数字パズルゲームも UMPCの利用に即したWindows Media Plyaer 10用のスキンも用意

立命館小学校に試験導入など日本市場ではラーニング分野へ重点

日本における展開

小学館の「電脳陰山メソッド」
 マイクロソフトでは、日本市場ではラーニング分野をはじめ、金融や流通、ヘルスケアなどタブレットPCで実績のある特定分野、先進的なコンシューマーに対してアプローチしていく。

 同社 Windows本部 ビジネスWindows製品部の飯島圭一シニアプロダクトマネージャーはUMPCの特徴や機能を紹介。飯島氏は「タブレットPCの販促活動を3年半行なってきた中で、ラーニング分野でペン入力や携帯性が受け入れている」と語り、日本市場ではラーニング分野での展開を最も重視する考えを示した。

 ラーニング分野での活用事例として、この4月に開校する立命館小学校で全校導入を視野にUMPCを試験導入すると発表。具体的には3年生の1クラス分の児童にUMPCを合計33台を導入し、学校と同様の学習環境を自宅においても提供していく。学習用途としては漢字の書き取りや算数の反復活用を挙げ、これらを通じて学習意欲や効率の向上を図っていくという。立命館小学校では漢字に関しては、6年生までの内容を4年生までに学ばせたいという。

 同分野に関しては、小学館や学習研究社、アルク、財団法人日本漢字能力検定協会、IEインスティチュート、アドバンスト・メディアが早期賛同パートナーとして参画。このうち、小学館のUMPC対応サービス「電脳陰山メソッド」では、漢字や算数などのタッチパネルを使用した“書き”や“反復”学習に主眼を置いたもので、2006年5月に教育機関などでの試験導入を、9月に商用サービスを開始することが明らかにされた。

 電脳陰山メソッドは、「百ます計算」で知られる陰山英男氏が監修したサービス。同氏は広島県尾道市立土堂小学校校長を経たのち、この4月から立命館小学校 副校長(兼 立命館大学 大学教育開発支援センター教授)を務める。

 発表会に出席した陰山氏は「陰山メソッドにおける単純な方法の反復は、パソコンが得意とする分野である」と説明。「UMPCを利用したデジタル学習によって、フレキシブルなカリキュラムやビデオクリップ再生による反復が可能になる」とともに、「インターネットとの融合によってコンテンツの共有やどこでも学習が可能になるため、今ある教育が変化するのではないか」と語り、UMPCに期待を示した。


手書き入力に対応した電子教材に切り替えたことで、学習効率が向上したという デジタル学習によるメリット

PBJのUMPC「Smart Caddie」。4月14日に99,800円で発売

Smart Caddieを掲げるPBJの高橋氏
 発表会ではまた、PBJの高橋正敏代表取締役から同社が4月14日に発売する「Smart Caddie(スマートキャディ)」の説明があった。標準価格は99,800円で、4月4日には予約受け付けも開始する。

 Smart Caddieは、CPUにVIA C7-M ULV 1.0GHz、HDDに40GB、メモリに512MBを搭載したUMPC。IEEE 802.11gの無線LANやBletooth 1.2、USB×2ポートを備え、操作ボタンも本体前面に配置される。連続駆動時間は2.5時間程度で、フル充電には3時間必要。

 本体サイズは228×146×25.1mm(幅×奥行×高)で、重量は860g。サイズに関して、PBJの高橋氏は「女性のセカンドバックに入る大きさを実現した」と語った。

 また、製品の販売戦略についてはコンシューマよりもビジネス用途での展開を重視する考えだという。高橋氏はビジネス向けの展開に際しては、「地域や業種に強い企業とパートナーシップを結んで販売していく」考えを示した。なお、コンシューマ向けには大手量販店や販売店を通じて、販売を行なっていくという。

 このほか、製品発売時にはNTTコミュニケーションズやエキサイト、USENのGyaOを通じたキャンペーンも行なう予定だとした。


Smart Caddie。左下にある2つ操作ボタンは設定により割り当て機能を変更できる タッチペンは本体右下に収納

右側面には電源やUSBポート、ヘッドフォン端子などが備わる 左側面には無線LANスイッチを搭載する

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2645
  マイクロソフト
  http://www.microsoft.com/japan/
  PBJ
  http://www.pbj-inc.co.jp/
  Smart Caddie 製品情報ページ
  http://www.smartcaddie.jp/
  立命館小学校
  http://www.ritsumei.ac.jp/primary/
  関連記事:写真でみるPBJ製“Origami”「Smart Caddie」[PC Watch]
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0317/pbj.htm

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(村松健至)
2006/04/04 15:14
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