台湾のHigh Tech Computer Corporation(HTC)は18日、IEEE 802.11b/gに準拠した無線LAN機能搭載のWindows Mobile 5.0端末「hTc Z」、および日本法人「HTC Nippon株式会社」設立に関する発表会を開催した。hTc Zは、NTTドコモの法人営業部門によって7月31日からシステム販売が開始される。
■ Windows Mobile搭載の「hTc Z」。IEEE 802.11b/gやBluetoothもサポート
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(左から)「hTc Z」を手に持つHTCのチョウCTO、Microsoftのチェダ氏、NTTドコモの三木氏
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hTc Zは、NTTドコモと連携して、HTCブランドで7月31日から法人向け販売を開始する端末。OSにはWindows Mobile 5.0 software for Pocket PC Phone Edition日本語版を搭載。通信機能ではW-CDMAやGSM/GPRS方式サポートによって国際ローミング通話も行なえるほか、IEEE 802.11b/g準拠の無線LAN機能、Bluetooth、赤外線通信機能に対応する。
また、Windows ServerやMicrosoft Exchange Server 2003 SP2と連携し、スケジュールの同期やプッシュメールなどが利用できる。POP3/IMAP4メールにも対応しており、複数のメールアドレスの登録・利用が可能。加えて、WordとExcelファイルの閲覧・編集、PowerPointとPDFファイルが閲覧できるほか、Internet Explorer MobileやPocket Outlook、Windows Media Player 10 Mobileも搭載している。
本体にはスライド式のQWERTYキーボードを搭載。ディスプレイはタッチパネル対応の約2.8型TFT透反射型液晶を採用する。最大表示色は65,536色で、画面サイズは320×240ピクセル(QVGA)。また、本体背面にはマクロ撮影も可能な200万画素のCMOSカメラを、前面にはテレビ電話用の10万画素CMOSカメラを搭載する。
このほか、microSDスロットやminiUSBポート(USB 2.0対応)などを搭載。本体CPUの周波数は400MHzで、メモリはROMが128MB、RAMが64MB。本体サイズは58×21.95×112.5mm(幅×厚×高)で、重量は176g。製品にはスタイラスやUSB接続ケーブル、USBステレオイヤフォンマイク、キャリングケースなどが付属する。
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hTc Z。ロゴ配置などは製品版で変更になる場合もあるという
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QWERTYキーボードはスライド収納。画面は縦横表示に対応している
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前面上部にはInternet Explorerボタンやメールボタンを、下部にはスクロールキーや通話ボタン、Windowsボタンを配置
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右側面には電源やカメラ、コミュニケーションマネージャボタン
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底部にはminiUSBポートや赤外線ポート、内蔵マイク、ロックボタンを備える
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左側面部。ジョグホイールやメモボタン、microSDスロットを用意
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撮影用カメラは本体背面に。ライトも用意している
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カメラを起動したところ
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コミュニケーションマネージャ。電話や無線LAN、Bluetoothなどの起動ボタンを用意する
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プログラム一覧画面
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Internet Explorer Mobile
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Pocket Outlook
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Windows Media Player 10 Mobile
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本体パッケージ。NTTドコモのロゴは見あたらない
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■ HTCチョウCEO「07年度までに100万台を出荷」。W-ZERO3との優位性も
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HTCのチョウCEO
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High Tech Computer Corporation社は、1997年5月に台湾で設立された企業。2000年にはMicrosoftのPocket PC端末を発表しているほか、Windows Mobile Pocket PC phone editon対応端末やCDMA2000対応端末など、OEMやODM供給を含めて製品の開発・発売を行なっている。
HTCのピーター・チョウ最高経営責任者(CEO)は、「当社はインターネットとIP技術を、ワイヤレス技術を駆使して統合することを目指し、仕事やプライベートを問わず利用できる製品を開発してきた」と説明。その上で、「成長が続いているスマートフォン市場の中で、MicrosoftのWindowsベースが特に拡大している」と述べ、「2010年までは前年比2倍のペースで市場が拡大すると考えている」と見通しを示した。
日本市場に関しては「長期的な視野で展開していく」考えから、日本法人「HTC Nippon株式会社」を設立したという。「hTc Zは日本市場にうってつけの製品」と語るチョウCEOは、「法人ユーザーからの高い要求に応えるため、サポート窓口も日本に設けていく」とした。
さらに日本での製品展開では「ローカライズが重要になる」とコメント。同社とMicrosoftとの間で9年にわたるパートナーシップに加えて、NTTドコモとのパートナーシップによって「商品化にこぎつけることができた」と語った。
同社では2007年度末までにhTc Zを100万台出荷したい考えで、チョウCEOによれば「将来的にはコンシューマー向けへの販売も検討したい」という。さらに、他キャリアとの連携やHSDPA対応端末などの投入も示唆した。
また、ウィルコムのWindows Mobile 5.0を搭載したPHS端末「W-ZERO3」シリーズと比較したhTc Zの優位性についてチョウCEOは、「第3世代携帯電話に対応し、より早いデータ通信が可能な点、国際ローミングに対応する点がある」とコメント。加えて、「端末形状も工業デザインから見て優れており、電話としても使い勝手が良いのではないか」とhTc Zに対する自信を示した。
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同社がこれまで手がけた製品
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スマートフォンおよびWindowプラットフォームを採用したモバイル市場の伸び率
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■ NTTドコモ三木氏「HTCブランドでの展開は、顧客への素早い対応が目的」
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発表会の最後には「hTc Z」の発売、HTCの日本法人設立を祝して、ダルマの目入れも
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発表会ではまた、NTTドコモ 法人営業本部 プロダクトビジネス部長の三木茂氏、Microsoft Corporation OEMエンベデッドデバイス副社長のサンジェイ・チェダ氏が登壇し、hTc Zに対する期待や今後の協力関係についてコメントした。
NTTドコモの三木氏は冒頭、「当社法人部門で待ちに待った製品」とhTc Zに対する強い期待を示した。「FMCが叫ばれる中で法人需要に応えるためには、よりプログラマブルな製品が必要と考え、モトローラ製FOMA端末『M1000』に続いて、Microsoft Exchange Serverとの親和性が高いhTc Zを発売するに至った」と語った。
また、NTTドコモではなく、HTCブランドでhTc Zを発売することについては、「初の試み」と前置きした上で、「メーカーブランド販売のスキームを採用したのは、法人ユーザーからの要望に素早く対応することが可能になるため」と説明。「先行マーケティングを数カ月前から行なっているが、2社に導入を決めていただいた。さらに15社も前向きに検討していただいており、ヒットの予感がある」と自信を示した。
その上で、三木氏は「今後もより付加価値の高い製品を出していきたい」とコメントした。なお、先行して発売してるM1000では現在パケット定額制プランは用意されていない。三木氏は「hTc Zも同様のプランを利用するため、定額制プランはないが、今後はニーズに応じて準定額制も検討したい」と語った。また、hTc Zのiモード対応に関しては「現時点では予定していない」とした。
このほか、Microsoftのサンジェイ・チェダ氏からはWindows Mobileの特徴などが述べられた。その中で同氏は「hTc Zではセキュリティ機能にも対応し、企業情報にアクセスする際のセキュリティが確保できる」と説明。「端末を紛失した際にもサーバーから削除やロック操作が行なえるため、モバイルワーカーにとっても仕事がやりやすくなるのではないか」と語った。
■ URL
NTTドコモ ニュースリリース
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/20060718a.html
High Tech Computer Corporation
http://japan.htc.com/
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(村松健至)
2006/07/18 17:30
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