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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
Airgo発表会、携帯機器向けチップセットや「True MIMO MEDIA」を紹介

 Airgo Networksは20日、同社の今後の製品展開や5月に発表した映像配信に最適化されたチップセット「True MIMO MEDIA」に関する発表会を開催した。


同時3本までの映像配信をサポートした「True MIMO MEDIA」

Airgoのジョン・クイグリー氏

セグメント別に見た無線LAN市場の見通し
 発表会で説明を行なったのは、Airgoで技術担当バイスプレジデントを務めるジョン・クイグリー氏。同氏は複数のアンテナを利用してデータを送受信することで無線LAN通信の高速・安定化などを図る技術「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」の特徴を述べたのち、同社が投入するチップセット「True MIMO」シリーズを説明した。

 クイグリー氏は「True MIMOチップセットは第3世代まで投入されており、無線LAN機器やパソコンへの組み込みに加え、現在では映像やエンタープライズ分野にも提供先を広げている」とコメント。また、「標準化作業中のIEEE 802.11nが使用するMIMO技術も当社が特許を保有しているものだ」と付け加えた。

 無線LAN市場の今後の広がりに関しては、「無線LAN機器やPCへの組み込みに加え、映像やデジタル家電、そして携帯電話や携帯端末へと広がっていく」と見通しを示す。このうち同社では、映像分野に関して5月に第3世代チップセットをベースにした「True MIMO MEDIA」を発表済みで、STMicroelectronicsと共同でセットトップボックス(STB)のリファレンスモデル(STx1700)も発表している。

 リファレンスデザインでは、同時に3本までの映像配信をサポートするとともに、「インターネット接続や音声通話を組み合わせたトリプルプレイサービスにも対応が可能」だといい、「通信速度や距離、品質も確保している」とした。また、中国Caton Overseas社がリファレンスデザインをベースにしたSTBを開発しており、「現在欧州でテストマーケティングを実施しているところ」だという。

 発表会では、Caton社のSTBを用いたデモンストレーションも実施。配信された映像はSD品質(MPEG-2、6Mbps)だったが、クイグリー氏は「HD映像の同時配信にも対応している」と付け加えた。デモでは、HDDを搭載したホストSTBから、クライアントSTBに事前に録画された映像が配信されており、SD映像ではあるがスムーズに視聴ができた印象だ。同社では「STBを2台以上設置する場合でも、配線工事などの必要が発生せず、無線LANに対応することで容易に追加設置が可能になる」とし、今後はST社以外とも協力を進めるとしている。


True MIMO MEDIA概要 発表会ではSD映像の配信デモが行なわれた

サーバー側のSTBはHDDを内蔵 こちらはクライアント型端末。サーバー端末と比較して、一回り程度小さい

今後は携帯端末向けのチップセットも投入予定

IEEE 802.11nのスケジュール見通し
 IEEE 802.11nの標準化動向に関しては、現在否決されたドラフト 1.0に寄せられたコメント対する作業が行なわれているところで、クイグリー氏は「9月にリサーキュレーションバレットを行ない、11月に投票が行なわれる予定だ」と説明する。また、「業界共通の認識として、IEEE 802.11nを迅速に市場に浸透させるために、製品間の相互接続性と既存無線LAN規格との互換性を確保する点がある」とコメント。その上で「2007年第1四半期にはWi-Fi認証が開始できるように、Wi-Fi Allianceと業界の双方が協力しながら作業を行なっているところだ」と語った。

 同氏はまた、「ユーザーの期待に応えるためには高いパフォーマンスが必要で、第3世代Wi-Fi Allianceでは距離の離れた場所でも30Mbpsのスループットが実現できるよう開発を行なってきた」と発言。加えて、「パフォーマンスを挙げながら、コストを下げる作業も同時に行なっている」と述べた。そして、「IEEE 802.11nでは無線LANをシームレスに使用できることが想定され、求められるパフォーマンスへの障壁を乗り越える必要がある」と述べ、「当社ではこの障壁をすでに乗り越えており、IEEE 802.11nが標準化された際にも、他社と比較してベストなパフォーマンスを出すことが可能だ」と自信を示した。

 IEEE 802.11nにおいては、同社が特許を持つMIMO技術を使用するという。この点に関して同氏は「IEEEのルールに基づいて技術を他社にライセンスする形になるが、クロスライセンスの形態をとることはないだろう」と同社の考えを示した。続けて、「MIMO技術に関しては12年に渡って研究を行なっている開発者も当社にはおり、立場として優位にある」と語り、「4世代に渡って培った技術をもとにスループットや通信範囲、コスト、消費電力を向上させ、携帯端末などにマーケットの幅を広げることが可能になる」と述べた。

 その上で同社では、携帯端末向けのチップセットを開発・投入を今後進めていく考え。同氏は「無線LANと携帯電話の融合が進む中で、UWBやWiMAXの存在もあるが、将来的には1つの機器にこうした技術や機能が集約されるのではないか」と携帯端末の今後を語った。


各セグメント別に最適化された製品の投入を行なっていく 無線LANと携帯電話の融合。MIMO OFDMを軸に1つの機器に集約されると予測を示した

関連情報

URL
  Airgo Networks
  http://www.airgonetworks.com/

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(村松健至)
2006/07/20 19:19
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