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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
Any、約5億の増資でSNS事業を本格化。2006年度で80万会員獲得を目指す

 携帯電話向けSNS「Any」を運営するAnyは2日、第三者割当増資により5億545万円を調達したと発表した。今回の増資を元にPC向けサービスも8月より開始、2006年度中に80万ユーザーの獲得を目指す。


SNS事業会社としては日本最大規模に

PC版「Any」
 第三者割当には伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ジャフコ、GMO VenturePartners、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム、ネットエイジキャピタルパートナーズ、みずほキャピタル、三井物産、三菱商事、リアルコムの9社が出資。増資額のうち半分の2億5,273万円を資本金、残りの2億5,272万円を資本準備金とし、資本金総額は2億7,573万円。SNSを主たる事業としている企業として日本最大の規模になったとしている。なお、各企業の出資比率などは非公開。

 8月に開始したPC版サービスは、ユーザー登録のみで参加できる無料サービス。日記やコミュニティ、メッセージ送受信といったSNS機能に加えて、画像や動画のアップロードにも対応する。サービス開始当初は容量の制限なくファイルをアップロードできる。ただし、動画のアップロードは現時点では携帯電話のみで、PCからのアップロードは今後対応する予定だという。

 日記やアップロードした画像などはインターネットへの公開・非公開設定が可能。タグ機能も実装し、日記や画像、動画やコミュニティに任意のキーワードを指定可能。また、参加しているコミュニティは自分の友達を他人から見えないように設定できる「ステルス」機能も搭載する。投稿した画像や動画をブログで表示する機能も近日中に実装予定という。


日記や動画、画像などはインターネットへ公開できる。会員のみに公開することも可能 動画のアップロードは現在のところ携帯電話のみ対応

「SNSの利用はたったの8%」。SNS未体験ユーザーを積極的に獲得

Any代表取締役社長の畑野仁一氏
 第三者割当による増資に合わせて開催された記者発表会では、Any代表取締役社長の畑野仁一氏がAnyのコンセプトやビジネスモデルについて説明。今回の増資に関しては「パケット課金のためアクセス時間も限られる携帯電話に比べ、つなぎっぱなしでアクセスできるPCは負荷が高いため、サーバー増強などハード面での強化が必要と考えた」と説明した。

 Anyの設立は、2005年に畑野氏が母校である慶應義塾大学大学院の経営管理研究科(KBS)に講師として招かれたことがきっかけだという。畑野氏は「自分のように何年もインターネットに近い場所で仕事をしてきた人間に比べて、学生は新しい視点で物事を見ている」との違いを指摘。「講義の中で学生から出てきたアイディアがAnyの基本的なビジネスモデルの骨子になっている」とし、「産業界で働く自分と学生との連携から生まれた産学連携の事業」と語った。

 SNS事業ではmixiが500万ユーザーを突破し、1人勝ちとも言える勢いで成長しているが、畑野氏は「mixiは招待されなければ中を見られないという閉鎖的な空間」と指摘。「米国で今流行のMySpaceやYouTube、Flickrはすべて外部に公開されたSNS。また、招待制はすでに下火になっている」と海外の事例を紹介した上で、「我々はユーザーが自由に参加でき、インターネットにも公開できる登録制を採用する」とした。

 さらに畑野氏は2006年1月に14万人を対象として行なったというユーザー調査の事例を紹介。「ネット上の調査のため、インターネットに慣れたユーザーが回答しているが」と断った上で、「SNSを使っているユーザーはたった8%で、今後SNSを利用したいというSNS予備軍は70%近く存在した」と語り、「ネットリテラシが高い人間でも実際には10%程度しかSNSを利用していない。SNSに利用意向はあるが、まだ使っていない7割をターゲットにすればユーザーは集められる」と自信を示した。

 ユーザー獲得のために、プロモーションや招待キャンペーン、アフィリエイトなどを積極的に展開する予定。また、ユーザー獲得の手段として畑野氏が注目しているのは法人向けコミュニティだという。「例えば100万会員を抱える外食チェーンに無料でコミュニティを提供すれば一気に100万人が集まる。インターネットにそれほど慣れていないユーザーも積極的に取り込んでいく」と語った畑野氏は、すでにいくつかの企業と事業提携の話を進めていることを明らかにした。


KBSの授業から生まれたAny 外部公開で「Web 2.0時代のSNS」を目指す

外部公開はユーザー権限 これまでの開発スケジュール

すべてを蓄積できるオンラインストレージに

Anyの考えるビジネスモデル
 畑野氏がAnyの方向性として掲げたのが、「すべてを蓄積できるオンラインストレージ」。畑野氏は「Flickrで言えば、SNSとしてだけでなく自分のデジカメ画像を保存するという用途にも使われている」と指摘。「まずはなんでもストレージできる環境を用意すれば、あとはインターフェイスとして提供するだけ。何でも実現できるコミュニティのプラットフォームを提供する」との意気込みを示した。サービスのAPIに関しても「Web 2.0的サービスには必須」として積極的に公開していくという。

 なお、動画のアップロードは現在携帯電話のみだが、これは著作権の問題が大きいという。畑野氏は「携帯電話の数十秒程度であればいいが、PCでは著作権違反の動画もアップロードされやすい」と指摘。社内でのチェック体制などを構築した上で、秋にはPCからのアップロード機能を実装するとした。

 Anyのビジネスモデルは「インターネット広告」「オプション/コンテンツ」「CRMディベロップメント」「システムディベロップメント」の4つを柱とする。インターネット広告はユーザーを集めてメディア価値を高めることで売上とし、タグと連動したコンテンツマッチ広告も取り入れていく。「オプション/コンテンツ」はディスク容量など追加機能を有料で提供するサービスで、「月額315円程度を予定している」(畑野氏)。

 システムディベロップメント事業は、社内のイントラ向けなどにAnyをパッケージ化していく事業。OEMやASPなどでの提供を考えているという。また、Any内のコミュニティを法人へ有料で提供するCRMディベロップメント事業では、企業のオフィシャルコミュニティなどを作成することが可能。3,000円程度の有料制を予定し、管理者はアクセスログなどのデータが確認できるほか、アンケート機能などで顧客ニーズも収集できるという。また、メールマガジンのような情報発信機能やクーポン機能なども取り入れる予定だ。

 サービス開始当初の1年間は、すべてのサービスを無料で提供し、ユーザー獲得に努める。プロモーションを中心に10万人までユーザーを獲得した後はクチコミ効果や招待キャンペーンの活用により、2007年3月までに80万ユーザーの獲得が目標。さらに3年後の2009年3月にはユーザー数1,000万人、売上高50億円規模の成長を見込むとした。


Anyのコミュニティを活用したマーケティングビジネス 法人向けコミュニティの機能

ユーザー獲得スケジュール 国内と海外のSNS比較

関連情報

URL
  Any
  http://myany.jp/

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(甲斐祐樹)
2006/08/02 17:29
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