マイクロソフトは12日、9月1日に公開を開始した「Windows Vista Release Candidate 1(RC1)」に関する説明会を開催した。会場ではRC1で新たに追加された機能のデモンストレーションなどが行なわれた。
マイクロソフトでは、Windws Vistaのベータ1を2005年7月に、ベータ2を2006年5月に公開済み。1日に公開を開始したRC1ではパフォーマンスの最適化が図られており、以降のスケジュールとしては2006年第1四半期にRTM版を公開し、2006年11月に企業版の出荷、2007年1月に個人版の出荷を開始するとしている。
■ RC1で追加された「ガイドヘルプ」や「各種モニタ」機能をデモ
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マイクロソフトの飯島圭一氏
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RC1における改善点や機能追加点に関しては、マイクロソフト Windows本部 ビジネスWindows製品部 シニアプロダクトマネージャの飯島圭一氏から説明が行なわれた。その中で、デモンストレーションを交えて「ガイドヘルプ」と「パフォーマンスモニタ」、「信頼性モニタ」、「ボリュームシャドーコピー」の4つが紹介された。
ガイドヘルプ機能は、マイクロソフトのサポート窓口で問い合わせの頻度が高かった内容を反映し、各種問題を自動および手動操作で解決していくもの。手動操作ではガイド付きヘルプウィンドウが立ち上がり、ユーザーがクリックするウィンドウやメニューなどを矢印で指示。作業完了後も開いたウィンドウを閉じるまで、矢印が指示していくという。
2006年第4四半期に公開予定のRTM版には30種類までガイドヘルプを対応させる予定で、以降もユーザーの問い合わせが多い内容を実装していくという。なお、RC1版では日本語コンテンツが実装されていない関係上、同機能は英語で表記されている。また、現時点でガイドヘルプの更新はヘルプ画面からの更新となるが、今後はMicrosoft Updateでの対応も検討するとしている。
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ガイドヘルプ概要
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ガイドヘルプに対応した回答は項目の後ろに“(Guided Help)”と記述されている
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手動操作時にはクリック場所などを示す矢印を表示
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パフォーマンスモニタは、CPUやディスク、メモリなどのリアルタイムで監視できる機能。信頼性モニタは、アプリケーションのインストール履歴や各種エラーを記録を行ない、Windows Vistaを導入したPCの安定性を検証する。このうち、信頼性モニタに関して飯島氏は「ヘルプデスクやサポートセンターの用途で活用が期待できる」と説明。具体的には「リモートから信頼性モニタに記録されたログ情報を確認することで、PCに発生した問題の洗いだしが可能になる」とした。
ボリュームシャドーコピーはWindows Server 2003で新たに追加された機能で、Windows Vistaでは標準搭載される。ファイルやフォルダを誤ってゴミ箱から削除、または上書き操作をした場合に、プロパティ画面に用意された「以前のバージョン」に記録された復元ポイントを選択することで、ファイルおよびフォルダを復元できる。
このほかRC1では、パフォーマンスの向上や標準ドライバを新たに数千種類追加したほか、Internet Explorer 7で発生した特定検索エンジン利用時の文字化け問題などの対処を実施。加えて、Windows Media CenterやWindowsフォトギャラリー/ムービーメーカー/DVDメーカーのユーザーインターフェイス改良、RC1におけるCertified for Windows Vista ロゴ対応も行なわれる。
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CPUやメモリ状況をリアルタイム監視する「パフォーマンスモニタ」
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PCの安定性を検証する「信頼性モニタ」
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ボリュームシャドーコピーでは削除や上書きしたファイル・フォルダの復元が可能
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ウェルカムセンターではWindows Liveとの連携が進められている
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それ以外の改善点
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■ Windows Vistaの投入で情報過多の解消を目指す。日本の価格は調整中
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マイクロソフトのジェイ ジェミソン氏
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マイクロソフト Windows本部 本部長のジェイ ジェミソン氏は、「Windows Vsita RC1の公開によって、開発とテストが最終段階に到達した」と強調。ベータ2と比較して安定性やパフォーマンス性が改善したというRC1について、「業界にとって重要なマイルストーンであり、パートナー各社にはRC1を使用してVistaでの互換性や動作確認を進めていただきたい」と語った。
同氏はまた、「Confident(OSとしての基本機能の革新)」「Clear(美しさと使いやすさの融合)」「Connected(動く、繋がる、連携する)」とWindows Vistaが掲げるビジョンを改めて説明。その上で、「Windows Vistaの投入によって、情報過多に悩むことなく、パソコンの機能や潜在能力を最大限に活かして欲しい」と抱負を語った。
RC1は、開発者やIT部門の管理者、個人ユーザーを対象にした「カスタマ プレビュー プログラム(CPP)」登録者向けの提供を、9月6日より順次開始している。マイクロソフトではこれに加えて、全世界で150万人を対象に新規登録を近日中に開始する予定で、これにより合計で300万人がCPPを通じてRC1の利用が可能になるとしている。
配布方法はオンライン提供やDVDでの有償提供(1,260円)のほか、別枠として一部PC専門誌にDVDを添付していく。なお、RC1で提供されるのは「Windows Vista Ultimate」相当になる。
また、米国では「Windows Vista」の予想小売価格が発表されているが、日本での価格は引き続き調整中。同社ではできるだけ早いタイミングで日本版の価格を発表するとしている。
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Windows Vistaのタイムスケジュール
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カスタマプレビュープログラムでは新規登録受け付けも近日中に開始する
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■ URL
Windows Vista概要ページ
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
Windows Vista Get Ready
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/getready/default.mspx
関連記事:Windows Vista RC1、ベータ版登録ユーザーへの公開開始[INTERNET Watch]
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/09/07/13226.html
関連記事:マイクロソフト、Windows Vistaの予想小売価格を公表[INTERNET Watch]
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/09/06/13206.html
(村松健至)
2006/09/12 17:22
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