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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
米AppleのジョブズCEO、iTunesコンテンツをテレビ再生できる「iTV」披露

 アップルコンピュータは、米Apple Computerが12日(米国時間)に行なった「iPod」および「iTunes 7」に関する新製品発表会を録画した映像を報道関係者向けに公開した。発表会では、iTunes 7内のコンテンツをテレビで視聴できる無線LAN対応端末「iTV(コードネーム)」が紹介された。


iPodの出荷台数は6,000万台に。Nike+iPod Sport Kitは45万セットを出荷

スティーブ・ジョブズCEO
 米Apple Computerのスティーブ・ジョブズCEOはまずiPodシリーズの現状を報告。「iPodは米国のMP3プレーヤー市場で75%のシェアを確保している」と紹介するとともに、「2006年第1四半期までに世界で6,000万台以上を出荷している」と語った。

 「アクセサリーも各社から多数発売されており、iPodを中心にしたエコシステムができあがりつつある」点を改めて強調。自動車業界での取り組みでは「2007年に米国市場で発売される車種の70%が、iPodの接続をサポートする」という。加えて、NIKEとの提携による「Nike+iPod Sport Kit」の出荷も好調に推移しているといい、「発表から90日程度で45万セットを販売した」と述べた。


ギャップレス再生やゲームコンテンツに対応した新型iPod

映画やゲームコンテンツのダウンロードに対応した新型iPod
 ジョブズCEOは、「iPod」「iPod nano」「iPod Shuffle」の各ラインナップで新たに投入する新製品を順に紹介した。なお、日本国内ではiPodとiPod nanoが9月13日に、iPod Shuffleが10月に出荷が開始される。

 「今回の新iPodでは何よりも価格を重視した」とジョブズCEOが強調した新型iPodは、29,800円の30GBモデルと42,800円の80GBモデルをラインナップ。画面輝度や再生時間の向上が図られたほか、ギャップレス再生を新たにサポートした。機能面でも、英数字入力による検索機能を搭載。さらにiTunes Storeで販売を開始したゲームコンテンツもプレイできる。

 なお、これらソフトウェア面での機能は2005年10月に発表した第5世代iPodでもファームウェアを適用することで利用が可能。このため、アップルでは今回発表した新型iPodについて「第6世代iPodとは位置付けていない」としている。


本体背面 従来モデル(写真左)と画面輝度を比較したところ 今回発表された3製品には新たにデザインされたヘッドフォンが同梱する

新たにサーチ機能を搭載 スクロール時に頭文字を表示する「クイックスクロール」機能 ゲームはパックマンやテトリス、パズルなど9本を用意。1本600円

第2世代iPod nano。合計で5種類のカラーを用意する
 第2世代iPod nanoは、アルミニウム筐体を採用し、本体サイズが小型化された。新型iPodと同様に画面輝度やバッテリー駆動時間の向上が図られたほか、ギャップレス再生やサーチ機能、クイックスクロール機能もサポート。また、別売オプションとして従来から40%小型化を実現した充電アダプタやアームバンド、第2世代iPod nanoに対応したNike+iPod Sport Kitも紹介された。ただし、第1世代iPod nanoと比較して本体底面のコネクタ形状が若干異なるため、一部アクセサリーに関しては利用できない場合があるという。

 ジョブズCEOは第2世代iPod nanoのテレビCMや印刷広告を紹介し、「カラーバリエーションを強調し、完全に新しいiPod nanoをユーザーに伝えていく」と語った。


本体背面 第1世代(写真上)と比較してヘッドフォンとコネクタ端子の位置が異なる ブラックカラーはコネクタスイッチなどの配色が異なる

iPod nano/Shuffleともにパッケージが小型化された 第2世代iPod nano向けのアクセサリも同時発売。電源アダプタは他の製品でも利用可能 新しいiPod nanoをユーザーに伝える広告展開を実施

第2世代iPod Shuffle
 「非常に面白い製品」と紹介されたiPod Shuffleは、従来モデルが世界で約1,000万台を出荷したという。今回新たに発表した第2世代iPod Shuffleは、ユーザーから寄せられた携帯性に関する要望を取り入れ、本体背面にクリップを用意。ジョブズCEOは「我々が知る限り世界最小サイズで、最もウェアラブルなMP3プレーヤー」だと同製品に対して自信を示した。

 このほか、今回発表された3製品には新たにデザインされたヘッドフォンが付属。また、iPod nanoとiPod Shuffleはパッケージデザインも小型化されており、ジョブズCEOは「環境面でも素晴らしいことで、パッケージに使用する化石燃料を劇的に減らすことができた」と述べた。


本体背面 本体上面。第1世代と比較して電源と再生モードは別のスイッチとなった クリック機構を採用し、アクセサリーの必要なく衣服などに装着が可能に

第1世代iPod Shuffleとのサイズ比較。本体が小型化された一方で、操作ボタンは若干大きくなった 専用ドックに接続したところ 転送端子はヘッドフォン端子と兼用

新たに映画のダウンロード販売を開始。米国以外の展開は2007年を予定

iTunes 7
 iTunesの米国市場の動向に関しては、「合法的な音楽ダウンロードで、88%のシェアを持っている」とコメント。販売楽曲数は10億曲に上るといい、「CD販売を行なっている店舗と並べると、Amazon.comに続く第5位になる」とジョブズCEOは説明する。その上で「2007年前半までにはAmazon.comの売上を抜かしたい」と抱負を語った。

 iPodシリーズの新製品とともに公開された「iTunes 7」では、ライブラリ一覧でアートワークの中から再生楽曲を選択できるなどを「Cover Flow」の新機能追加や機能改善を実施。また、アルバム単位でのアートワーク表示も可能で、米国で販売中のドラマ番組ではシーズン単位での分類も行なえるという。加えて、音楽CDから取り込んだ楽曲に「iTunes Store(iTS)」の販売楽曲と同一であれば、アートワークを自動的に付加する機能も用意した。

 また、動画コンテンツでは新たに映画作品のダウンロード販売を米国で開始。当初はディズニーやピクサーなどディズニーグループ傘下の4スタジオが保有する75本が販売され、ジョブズCEOは「2007年には米国以外のiTunes Storeでも提供を考えている」とした。なお、新作はDVD発売と同時期に販売を開始するとしている。

 ファイルフォーマットはH.264を採用し、解像度は既存動画コンテンツを含めて従来の320×240ピクセルから640×480ピクセルへと向上。ジョブズCEOは「DVD並の品質でコンテンツを楽しめる」と語った。

 従来から行なっていたテレビ番組の配信では、新たにNFLのハイライト映像の配信を開始。iPodへの転送もチュートリアル形式で自動同期できる機能が追加されたほか、同一アカウントで利用している異なるパソコンにインストールしたiTunes 7で番組データを同期できる機能も実装された。

 このほか、iPod新製品と同様にギャップレス再生をサポート。ライブラリに登録済みの楽曲でもギャップレス再生が可能だとしている。


映画のダウンロード販売も開始 カーズの新作予約も同日より開始された 「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「恋に落ちたシェイクスピア」など、当初は75本を用意する

テレビと接続してiTunesコンテンツを楽しめる新端末「iTV」

iTVを紹介するジョブズCEO。正式名称は今後決定していくという
 iPod新製品およびiTunes 7の紹介を終えたジョブズCEOは、「Appleとしては異例のことだが、会社の方向性を示す上で2007年第1四半期に発売を予定する新製品を紹介したい」とコメント。テレビと接続してiTunesのライブラリに登録したコンテンツを楽しめる新端末「iTV(コードネーム)」の開発を明らかにした。販売価格は299ドルを予定するという。

 iTVは無線LANおよび有線LAN機能を備え、ネットワーク経由でiTunesのライブラリや映画予告編サイトの映像をストリーミング再生が可能な端末。無線LAN機能については、IEEE 802.11と紹介するに止まり、具体的な規格名の言及は行なわれなかった。

 ジョブズCEOのデモンストレーションを見る限り、iMacに備えた「Front Row」に近い操作性と印象を受けた。また、リモコンも「Apple Remote」のような外観だった。本体筐体は薄型で、電源は内蔵型。本体端子としてはHDMI、コンポーネント、アナログ音声、光デジタル音声出力、USB 2.0ポートを搭載する。

 ジョブズCEOは、「iTVの投入によって、書斎、リビング、車、そしてポケットの中でAppleの製品が活躍することになる」と発言。「当社がどういう方向に進んでいくかをご理解いただけると思う」と語った。発表会の最後には「技術がどんなに優れていても、素晴らしいコンテンツがなければ見ることも聴くこともできない」とジョブズCEOは述べ、米国でデビューアルバムを300万枚売り上げたジョン・レジェンドを紹介。同氏によるライブが行なわれた。


製品外観 接続端子類は本体背面に備える 製品の利用イメージ

iTVの画面
予告編のストリーミング再生も可能 イベントの最後にはジョン・レジェンドのライブも行なわれた

関連情報

URL
  アップルコンピュータ
  http://www.apple.com/jp/
  iPod・iTunes製品概要ページ
  http://www.apple.com/jp/itunes/
  関連記事:米Apple、Nikeと提携。シューズにiPod nano連携機能[AV Watch]
  http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060524/apple.htm

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(村松健至)
2006/09/13 16:58
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