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ハイビジョンの約4倍となる800万画素映像をIPストリーム配信
DCC NTT未来ねっと研究所の藤井哲郎氏
東京・銀座のヤマハホールで6月2日、「ディジタルシネマ・シンポジウム2003」が開催された。この中でディジタルシネマコンソーシアム(DCC)は、800万画素の超高精細映像をIPストリームで配信するデモを行なった。
35mmフィルムを利用した映画を上映する場合、カメラで実際に撮影した映像から何回もの複製を重ねて上映に至るため、35mmフィルムが潜在的に持つクオリティと映画館で見られるものとは乖離が生じるという。DCCではこの35mmのクオリティをそのままに表現することを目的として設立された団体で、2003年5月に特定非営利活動法人(NPO)として認証を受け、6月に法人登記を済ませている。
映画の世界では解像度を横方向の走査線数で示し、1,000本の走査線で映像を表示するハイビジョン映像(HDTV)が「2K」と表記される。これに対して今回デモを行なう映像は800万画素画像を横方向2,000本の走査線で表示する「4K」クオリティのものだという。
DCCは2001年6月に800万画素プロジェクターとデコーダを開発、同年8月にCG業界の学会イベント「SIGGRAPH 2001」に出展している。この時にハリウッドの人間から「ぜひ映画の素材で評価を行ないたい」という申し出を受け、2002年6月にパラマウント映画で評価実験を実施、続く10月にはハリウッドのデジタルシネマ評価標準機関である「ETC」で実験を実施、いずれも高い評価を得ることができたという。
DCCの活動内容
これらの評価を受け、今回のデモではIP網を利用したストリーム配信を実施。配信映像の画素数は800万画素(3,840×2,048)とハイビジョン映像の約4倍で、ヤマハホールの35インチスクリーンで上映、35mmフィルムの品質をほぼ実現できたとしている。
なお、NTTは2001年11月の国際シンポジウムで映画「トゥーム・レイダー」を800万画素・300Mbpsで配信する実験を行なっているほか、次世代インターネット研究開発コンソーシアム「Internet2」環境で800万画素コンテンツを3,000kmはなれた地点で配信するという実験をすでに行なっている。上記実験と比較して今回のデモはIP網を利用した点と、容量が1.5倍の450Mbpsである点が大きな違いとなる。容量が大きくなった理由は今回より画像圧縮にJPEG 2000を採用、映像をすべて10bitのRGBで符号化しているためだという。
配信に使われたネットワークは、幕張ギガビットリサーチセンターからギガビットネットワーク「JGN」を用いて大手町へ、大手町からNTT東日本のメトロイーサでヤマハホールへという構成を採っている。
講演を行なったDCC NTT未来ねっと研究所の藤井哲郎氏は「JGNはATMベース、メトロイーサはIPベースと異なるネットワーク構成であり、中継網として用いられるATMとアクセス網としてのIPを接続することで日本中どこでも配信ができることを実証できた」とコメント。また、「今回の実験はあくまでプロトタイプとしてのもので、これから製品化に向けたフェーズが必要になってくる」と今後の展望を語った。
ストリーム配信のネットワーク構成
配信システム構成
デモで配信された800万画素映像
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URL
NTT未来ねっと研究所
http://www.onlab.ntt.co.jp/
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(甲斐祐樹)
2003/06/02 17:23
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