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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
MS、Windows Vistaの登場で「メディア オンライン」の利用が急増

 マイクロソフトは23日、1月30日に一般発売を開始した「Windows Vista」における現況と新施策に関する発表会を開催した。


Vistaの出荷状況は現時点で期待以下ながら、今後の伸びに期待

マイクロソフトのジェイ ジェイミソン氏
 マイクロソフト Windows本部 本部長のジェイ ジェイミソン氏は冒頭、Windows Vistaの発売から現在に至るまでを総括。「PCの出荷台数は期待していた数値ほど上がらなかった」とする一方、「中長期的に見れば非常に期待している」とコメントした。

 その理由として同氏は、Windows Vista Ultimate/Business/Home Premiumからなるプレミアムエディション製品が、日本市場で好調に推移している点を挙げる。プレミアムエディション製品は、店頭シェアで40%以上、PCメーカーが標準搭載する比率も70%に上るほか、DSP製品で90%、パッケージ製品で87%が占めているという。加えて、PCメーカーが発売する2007年夏モデルでは、春モデルから15ポイント増加して85%の製品がプレミアムエディションを搭載する見込みだとした。

 ジェイミソン氏は「日本におけるプレミアムエディション採用数は、我々の予想を上回るもので非常に満足している」と発言。「初期に購入いただいたアーリーアダプタ層からWindows Vistaを好意的に捉えられた結果だと考えており、今後は多くの一般消費者に向けて各種施策を行なっていくことで、ビジネスチャンスの拡大が期待できる」と語った。

 また、出荷台数に関しては、「一般消費者に対して互換性情報の周知などを徹底することで安心してWindows Vistaをご購入いただける状況を各社と協力して作っていく」と説明。「夏に向けて出荷台数はリバウンドできる」とした。


世界全体の推移。日本市場では1兆8,000億円の経済効果があるというIDCのデータも示された コンシューマー市場の動向

メディア オンラインの利用率が急増。iTunesのVista対応も期待

Vista登場によってメディア オンラインのアクセス数が急増

WMP11対応サービスも順次拡充する方針。ガジェットやWPFではリクルートとも協力する
 ジェイミソン氏は、「プレミアムエディションが多く出荷されている事実は、日本のユーザーがPC上で写真や音楽、映像など多様なデジタルコンテンツを楽しみたいという意向に繋がっている」とコメント。こうしたプレミアムエディション製品の購入割合が高く推移したことで、「PCの平均単価も上昇しているようだ」と付け加えた。

 また、Windows Vista Ultimate/Home Premiumで利用できるオンラインサービス「メディア オンライン」の利用が急増していると指摘。Windows XP MCEでのみ提供されていた時期と比較して、2月には前月比363%、3月には2月比133%の伸びがあったという。

 同社ではメディア オンラインの充実を継続して図るとともに、Windows Media Player 11上で提供される「オンラインストア」の対応サービスも拡充。4月24日正午からは、NTTコミュニケーションズの音楽配信サービス「MusicOcean(MUSICO:ミュージコ)」、オンキヨーマーケティングのHD音楽配信サービス「e-onkyo music store」、青山キャピタルの語学学習サービス「Language Channel」の3サービスが新たに追加される。

 このほか、ジェイミソン氏は「アプリケーションや周辺機器の互換性は、Windows XPの同時期と比較して約150%の数値を見せている」と互換性を重視している点を改めて強調。3月末現在でアプリケーションが約2,300製品、周辺機器が約5,400製品で互換性が確認できているとした。

 一方で、ポータブルオーディオプレーヤーやビデオカメラ製品の一部では、Windows Vistaへの対応が整っていない製品も少なくない。ジェイミソン氏はその中でWindows VistaとiTunesを例に挙げ、「現在サポートへの準備が進んでいる方向にあり、アップルから公式サポートの発表があることを信じている」とWindows Vista対応への期待感を示した。

 なお、ビジネス市場の動向に関して同氏は「Windows XP、Windows 2000がそうであったように、発売から6カ月目以降の動向が重要になる」と語った。現況に関しては、対前年比で120%の売上があったほか、台数ベースでの企業導入決定数は2007年内で16万台になるという。加えて同氏は、「ある企業でのアプリケーション互換率は88%という数値を示し、400個中350個で大幅な改修の必要なくアプリケーションが利用できた」と述べた。


5月には新たなパートナーシップの発表も予定。夏以降はVista第2の波へ

今後の施策スケジュール
 今後の施策としては、Windows Vistaを利用した新しいPC活用提案を家電量販店やパートナー企業と協力して実施する考え。また、互換性情報を紹介するCDやブックレットの配布も予定するほか、アップグレード時の疑問やWindows XPと比較した優位点を紹介する施策なども実施していくとした。

 加えて、Windwos Ultimate向けに提供する「Ultimate Extra」で予告していた、壁紙に動画を設定できる「Dream scene日本語版」の公開を予告。その上で、ジェイミソン氏は「ゴールデンウィーク前後を非常に重視している」と発言。「店頭プロモーションを行なうとともに、5月下旬には新しいパートナーシップを発表したい」と語った。

 このほか、2007年6月にWinHEC 2007 Tokyoに前後して技術面での新施策発表を行なう考えを示し、「2007年夏から2008年にかけて、Windows Vistaにおける第2の波を起こしていきたい」と抱負を語った。

 発表会にはまた、ジーエフケー マーケティングサービスのグローバルアナリシス部 シニアアナリストの岩渕真貴氏が登壇し、同社調査によるWindows Vistaの販売状況を説明した。岩渕氏は2006年末のPC出荷台数が前年比85%に推移した点を挙げ、「Windows Vistaが一般発売された1月は前年比93%に回復した」と説明。「当社ではWindows Vistaが市場に及ぼした影響はあると考えている」と述べた。

 一方、2月には107%と前年を上回ったものの、3月には97%と再び下回った点に関しては、「個人向けは好調に推移したが、店頭で購入する企業ユースで販売が苦戦したようだ」と付け加えた。その上で、岩渕氏は「Windows Vistaが持つ機能を、いかに一般消費者に訴求できるかが、今後のPC市場の盛り上がりにかかっている」と指摘した。


ジーエフケーによるPC販売推移 ジーエフケーでは今後の市場動向が重要になると推測している

関連情報

URL
  Windows Vista 製品情報ページ
  http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
  Windows Media Player 11 製品情報ページ
  http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/player/11/

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(村松健至)
2007/04/23 17:26
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