ソニーは、動画共有サービス「eyeVio(アイビオ)」を4月27日午前10時より開始する。動画投稿やオフィシャルの動画コンテンツ配信に加え、PSPやウォークマン、iPodなどへも動画を転送できる点が特徴。ユーザー登録のみで無料で利用できる。
■ 動画共有・動画配信を併せ持つソニーの新サービス
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eyeVioのロゴ
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eyeVioのTOPページ
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eyeVioは、ユーザーがアップロードした動画共有、ソニーが提供する公式コンテンツを配信する動画配信サービスとしての側面も持つサービス。ユーザーは1ファイル150MBまでの動画ファイルをアップロードでき、アップロードされたファイルはFLV形式に変換されてFlash Playerで再生できる。アップロードに対応したファイル形式はmp4/m4v/mpg/flv/3gp/3g2/wmv/avi/mov/qt/vob/rm。
アップロードした動画は公開・非公開が選択でき、非公開に設定した動画に任意のURLからアクセスできるメール共有機能も用意されている。また、ユーザーが作成したプレイリストごとに動画を管理できるチャンネル機能も搭載。チャンネル登録された動画は連続再生が可能なほか、チャンネル単位でメール共有を利用することもできる。
携帯電話にも対応し、NTTドコモのFOMA、auのCDMA 1X WIN、ソフトバンクモバイルの3G端末から動画のアップロードやダウンロードが可能。また、静止画から動画を作成できる「x-Pict Story for eyeVio」も無償で公開。これはソニーのDVDレコーダ「スゴ録」などに搭載されているソフトをeyeVio向けにカスタマイズしたもので、静止画をフォルダ単位で取り込み、3ステップでWMV形式の動画を作成できる。動画の表示形式や音楽は自動で設定され、作成した動画はx-Pict Story for eyeVioからeyeVioへアップロードできる。
アップロードした動画のHTMLコードを取得すればブログやホームページに表示することも可能。また、eyeVioからブログへの投稿機能も備えているが、投稿にはeyeVioにブログのIDとパスワードを設定する必要がある。現在のところ対応しているブログはSo-net blog、プレイログ、livedoor Blogで、それ以外のブログは直接ブログのURLを指定する。
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チャンネル単位で連続再生が可能
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メール共有機能。視聴期間やパスワードも設定できる
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チャンネルはドラッグ&ドロップで編集
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複数の静止画から動画を作成できる「x-Pict Story for eyeVio」も無償で提供
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■ 動画はPSPやiPod、ウォークマンにダウンロード可能
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ウォークマンやPSP、iPodなどへダウンロード可能
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ユーザーがアップロードしたコンテンツ以外に、eyeVioオフィシャルの動画も「eyeVioチャンネル」で提供。視聴は無料で、現在はシネマカフェによる映画のインタビュー映像や、モデルやデザイナーなどと連携した動画コンテンツが用意されている。
eyeVioチャンネルで公開されている動画は携帯端末へブラウザからダウンロードすることも可能。PSPおよび動画対応ウォークマン「NW-A800」シリーズであれば、プラグインをインストールしてブラウザから直接ダウンロードできる。また、動画をiTunesにダウンロードしてiPodへ転送する連携機能も用意されている。
eyeVioの対応ブラウザはWindowsの場合Internet Explorer 6以上とFirefox 1.5以上、Mac OSがFirefox 1.5以上、Safari 1.3以上。PSPやウォークマンなどにダウンロードした際のファイル形式はMPEG-4 AVC(Baseline Profile)で、ビットレートは768kbps、画面サイズはQVGA(320×240ドット)。
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プラグインをインストールすればブラウザからPSPやウォークマンに動画をダウンロードできる
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ウォークマンへダウンロードしたところ
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■ ハードウェアとの連携で撮影から視聴までトータルサポート
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eyeVioを担当する本間毅氏
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ソニーのコーポレートディベロップメント部 ネットメディア開発室 本間毅チーフプロデューサーは、「ソニーはエレクトロニクスメーカーとしてビジネスを行なっているが、eyeVioはハードウェアのような製品の視点ではなく、お客様にどういった体験をしていただきたいかという発想からスタートした」とコメント。「個人個人が撮影したパーソナルなコンテンツを、場所を気にせずリアルタイムに共有して楽しんで欲しい」と語った。
動画配信サービスでは国内でGyaOやYahoo!動画のようなマスメディア型、海外ではYouTubeのような個人ユーザー向けのサービスが存在するが、本間氏はこれらサービスを「視聴を目的としたものが中心」と指摘。「我々は個人ユーザーの動画によるコミュニケーションをターゲットにしていく」との方針を示した。
eyeVioをリリースした背景として本間氏は「ソニーはこれまで動画を撮影するハードウェアや視聴するハードウェアを作ってきたが、その間の動画のやり取りは物理的な記録媒体が担うという状態がこの30年続いてきた」とコメント。「そうした流れはまだ変わらないと思うが、eyeVioではインターネットを利用して撮影から視聴までのトータル環境を提供できる」とコメント。「ハードウェアとの連携はインターネット専業ではできないソニーならではの特徴」と自信を見せた。
著作権違反などの不正コンテンツ対策としては、24時間の有人監視を実施。監視の対象は非公開の動画も含まれるが、監視項目の優先順位は公開動画が上だという。また、悪質な動画は即削除の場合もありうるが、基本的には警告をメールで通知し、そのやり取りの中で削除など対応を進めていくという。
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eyeVioの位置付け
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動画共有機能の特徴
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■ 今夏にはHD対応を予定。ソニーグループに留まらない幅広い連携を
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発表会にはストリンガーCEOも出席
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今後はPCや携帯端末だけでなく、リビングを視野に入れたテレビ向けの機能拡充も行なっていく方針。第1弾として今夏ををめどにHD画質への対応を予定する。画面サイズやビットレートなど詳細は未定だが、AVC形式の採用を予定しているという。
また、「テレビを使ってリモコンで操作できるのであれば、それも1つのテレビ対応」との考えから、ゲーム機やSTBなど、ハードウェアとしてのテレビ以外も対応していく。本間氏は「正式な動作保証はできないが」と断った上で、「PS3やWiiでもeyeVioは見られるだろう。ソニー製品に限らず、iPodやWiiなどユーザーが多い製品を無視してはいけない」とコメント。そうして対応端末を広げた先に、ソニーのサイバーショットやPS3を使ってもらえれば」との考えを示した。
ソニーが提供するブログパーツ「FLO:Q(フローク)」への対応も予定するほか、eyeVioのAPIも公開し、ソニーグループに限らない幅広い連携を勧めていく方針だ。
ビジネスモデルについては、「ハードウェア連携のサービス提供によって顧客の体験価値を高めるということが1つの大きなメリット」とした上で、広告やタイアップ、スポンサーなどによる収益を考えているという。ユーザー数の目標は「サービスの動向を見守りながら決めていきたい」としたのち、「ある程度の基盤が確立されたら日本以外での展開も考えたい」と語った。
発表会にはソニーの会長兼最高経営責任者(CEO)であるハワード・ストリンガー氏も急遽姿を見せ、eyeVioのメリットをアピール。「私のように世界中を仕事で飛び回る様子を家族に伝えられるeyeVioは、非常に価値のあるサービスということをお伝えしたい」と語り、「これがソニーの中で静かに進んでいるソフトウェア革命だ」と発言。「ソニーのユーザー体験は垂直型ではなく、eyeVioやソフトウェアを介してさまざまなハードがつながるシームレスな方向を目指す」とし、「eyeVioはソニーを次のレベルへ進めるために重要なサービス」と評価した。
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今後はリビングへの展開も視野に
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ブログやSNSとの連動、API公開など幅広く対応
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■ URL
ニュースリリース
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200704/07-041/index.html
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(甲斐祐樹)
2007/04/26 19:00
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