マイスペースは25日、米MySpaceの日本語版「マイスペース」の説明会を開催した。説明会ではマイスペースの現状や著作権違反対策の仕組み、今後の展開などが語られた。
■ 日本のユニークユーザーは約99万人
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マイスペース事業企画部部長の安藤直子氏
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マイスペース事業企画部部長の安藤直子氏は、初めにマイスペースの現状を説明。全世界の登録者数は1億7,000万人で、1日のユーザー増加数は約32万人。現在では日本を含めた世界15カ国8言語でサービスを展開しており、ユーザー増加数は2006年11月に日本でのサービス開始を発表した際の約30万人から増加しているという。米国では2007年3月の数値で約430億PVを達成、PVではYahoo!、MSNを抑えて1位の座にあるとした。
各国ごとのユーザー数は非公開だが、comScoreの調査では日本国内の月間PVは約5,900万PV、ユニークユーザーは約99.9万人というデータが公開されている。安藤氏は「実際のPVはこのデータよりも上」と補足した。
マイスペースの特徴としては、日記や友達登録、グループ、メッセージといった基本的なSNS機能に加え、プロフィールのカスタマイズ性の高さや自由に登録できるオープン性、音楽や動画コンテンツが豊富だという点を強調。また、オンラインだけではなくシークレットイベントや各種イベントのタイアップなど、音楽イベントの場でも活動を展開している。
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全世界でのユーザー数とPV
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日本のユーザー属性
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マイスペースの特徴
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プロフィールのカスタマイズ例
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■ アーティストとファンをつなぐプロモーションの場
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国内のメジャーアーティスト参加例
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アーティストとの連携もマイスペースの大きな特徴の1つで、海外では400万以上のアーティストがマイスペースに登録。日本でも平原綾香や小室哲哉、テイ・トウワ、コーネリアス、YOSHIKIといったメジャーアーティストのほか、インディーズやアマチュアも含めて約2万のアーティストが登録しているという。
アーティストは自分の楽曲や動画をプロフィールにアップロードでき、ファン登録したユーザーはアーティストの楽曲を自分のプロフィール上で再生可能。また、マイスペース側でも特集ページや協賛イベントなどでアーティスト露出の機会を図り、マイスペースを自らのプロモーションの場として活用できる。
安藤氏は「今までアーティストは自分のサイトに人を集めるのが大変だったが、マイスペースならばクチコミで集客できる」とコメント。マイスペースから自分のサイトへリンクを貼ることも可能なほか、ファン登録したユーザーへの一斉メッセージ送信機能などで、新曲のプロモーションやイベント告知なども可能になるとした。
実際の例としてはインディーズアーティストの「たむらぱん」を紹介。マイスペース内の積極的な活動により4カ月で1万人以上のファン登録を集め、アルバムは発売前に初回プレスの1,000枚が完売。また、ライブ動員数も当初の10人程度が4月のイベントでは200人を動員し、6月には初のワンマンライブが決定するなど、マイスペースにおける国内アーティスト成功事例の1つだという。
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アーティスト支援の概念図
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国内アーティストの成功事例
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■ 著作権違反対策システムも導入、アーティストの権利保護を図る
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マーケティング部部長の萩本良秀氏
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アーティストに対する権利保護の取り組みも紹介。マイスペースでのアーティスト登録時には、メジャーアーティストとして登録する場合はメールや電話での本人確認を実施。レーベルへの再確認も行なった上でメジャーアーティストとして登録し、偽物のアーティスト登録を防いでいるという。
アップロードされる楽曲や動画に関しても、米Audible Magicのフィルタリングシステムを導入。Audible Magicの持つ約600万曲の楽曲データベースを利用し、音源や映像に含まれる音声データとアップロードされたデータを比較し、著作権違反のファイルは削除するとともに、アップロードしたユーザーには著作権教育プログラムを適用する。著作権教育プログラムは完了するまでマイスペースを利用できず、複数回繰り返したユーザーは自動的にアカウントが削除される。
ただし、Audible Magicのデータベースはほぼすべてが洋楽であり、日本の楽曲に関してはデータが揃っていないという。安藤氏は「日本のレーベルに対してもAudible Magicの活用を提案している」と説明。レーベルに対しての理解は広がっているものの、データベースへ登録するためのデータ抽出などは作業が膨大かつ費用も発生するため、簡単に提供できるものではないという課題もあるという。
フィルタリング以外でも、アップロードされたファイルは2分以内にスタッフがチェックを実施し、その語も定期的に巡回を行なっているという。チェックにより公序良俗に反するものは削除し、著作権違反のものは削除と同時に「NGコンテンツ」としてデータベースに登録。以降はシステムにより同じファイルがアップロードできなくなり、「削除しても新しいファイルをアップロードされてしまうというイタチごっこを防げる」(マーケティング部部長の萩本良秀氏)。
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アップロードのチェック体制
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フィルタリングの仕組み
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■ 日本に即したローカライズを積極展開。今後は課金システムも予定
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広告の種類。カスタムコミュニティも導入予定
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今後の予定としては、6月にPCサイトのバージョンアップを行ない、マイページのリニューアルを実施。また、HTMLの知識が無くてもプロフィールページをカスタマイズできる「デザインエディター」機能の実装も予定。5月に対応したモバイル版でも、携帯電話からのサインアップ機能を実装予定など、ユーザーの需要がある機能は順次対応していくという。現在はベータ版の名称を付けているが、萩本氏は「いつかはベータ版を外して正式版とする予定」としつつ、「バージョンアップを頻繁に行なうので、気がつけば正式版になっていた、ということもあるかもしれない」と語った。
モバイル版も日本独自の仕様で、海外では端末の機能が日本ほど高度ではないため、モバイル版はシンプルな機能に留まっているという。安藤氏は「本国からカスタマイズや独自仕様はどんどんやってくれと言われている」と説明、「その国の文化をわからなければSNSのローカル展開は難しい、ということを本国も理解しており、各国展開ではすべて現地事務所でサービスを運営している」とした。
また、海外では実装されている課金システムについても導入を予定しており、マイスペースでアーティストの楽曲販売が可能になるという。安藤氏は「マイスペースであれば1曲単位で楽曲を売ることができる」とのメリットを示し、「システムは準備中だが、できるだけ早く実装したい」との期待を示した。
収益面では広告に加え、企業を擬人化してプロフィールを作成する「カスタムコミュニティ」の導入も予定。米国ではTOYOTA、P&G、NINTENDO、DELLなど多くのカスタムコミュニティ実績があり、安藤氏は「コミュニティをユーザーにフレンド登録してもらうことで、興味を持っているユーザーのターゲット層を把握できる」とのメリットを示した。
■ URL
マイスペース
http://jp.myspace.com/
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(甲斐祐樹)
2007/05/25 17:57
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