マイクロソフトとレーベルゲートは28日、Windows Media Player 11における音楽配信サービスの協業を強化し、2007年9月をめどに音楽配信サービス「mora win」で新サービスを開始すると発表した。
■ mora win、Brandnew-JやPLAYLOGをWMP 11上で提供。検索機能も強化
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「音楽の新“ハッケン”」をテーマに機能拡充を進める
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mora winは、Windows Media Player 11(WMP 11)の起動時に表示される「おすすめオンラインストア」として登録されている音楽配信サービス。WMP 11はWindows Vistaに標準搭載済みで、Windows XP SP2やWindows XP MCE 2005でも利用できる。
mora winでは今回の協業強化を受け、「音楽の新“ハッケン”」をテーマに、インターネットラジオやSNSの提供、楽曲検索機能の強化を実施する。機能強化後は、WMP 11の再生リストやライブラリを表示するツリーリスト上にmora winが提供する各種機能のリンクを設けるほか、プレイヤー上部に「おすすめストアアイコン」が表示されるようになる。
また、J-WAVEのインターネットラジオサービス「Brandnew-J」と、レーベルゲートのSNS「PLAYLOG」をWMP 11上で提供する。Brandnew-Jで紹介されている楽曲にはmora winの販売ページへのリンクも用意されているが、これに加えて紹介楽曲に応じたリコメンド楽曲がページ下部に表示される。一方、PLAYLOGでは、WMP 11上で再生した楽曲の履歴が自動反映が可能になるという。
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WMP 11のツリー部分からmora win各サービスへのアクセスが可能になる(いずれも画面は開発中のもの)
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Brandnew-Jの紹介楽曲に応じたリコメンド楽曲を表示
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再生履歴をPLAYLOGへの自動反映機能も備える
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検索面では、WMP 11が持つ「Word Wheel」機能を利用。1文字単位で入力キーワードに応じた楽曲・アーティスト情報を表示していくため、レーベルゲートでは「探したい楽曲・アーティスト以外の新たな出会いが期待できる」と説明。また、検索対象の楽曲カタログはPC内に事前ダウンロードされるため、素早い検索が可能だとしている。
加えて、再生中の楽曲に応じたリコメンド楽曲の表示機能、mora winが提案するプレイリストの強化も実施される。このほか、mora winで提供する映像コンテンツにアニメなどの作品追加を予定する。
なお、mora winは、Windows Vista Ultimate/Home Premium向けのオンラインサービス「メディア オンライン」での提供も予定しているという。
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Word Wheel機能を利用した検索機能を追加
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再生楽曲に応じたリコメンド楽曲表示も
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mora winからのプレイリスト提供も拡充を予定
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■ レーベルゲート今井氏「2007年はディストリビューションに変化が起きる年」
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レーベルゲートの今野社長
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28日に開催された発表会には、マイクロソフト 執行役 常務 デジタルエンターテイメントパートナー統括本部担当の境和夫氏やWindows本部 本部長のジェイ ジェイミソン氏、レーベルゲート 代表取締役社長の今野敏博氏らが出席した。
レーベルゲートの今野氏は、前職のソニーミュージック時代に手がけた「bitmusic」や「着うた」サービスなどを語ったのち、「今回、マイクロソフトさんとパートナーシップを結んだのは、これまで手がけたサービスと同じぐらいのインパクトになると考えている」と述べた。
今野氏はまた、「音楽は感性に加えて、録音や流通、再生技術といったテクノロジーとの組み合わせによって進化したもの」と発言。トーマス・エジソンが1877年に発明した円筒型蓄音機から音楽配信サービスの開始に至るまでの系譜を紹介しながら、「CDは1982年に登場し、88年にはLPの売上を上回ったが、その歴史は決して長いものではない」と技術革新のスピードを説明した。
その上で、「2006年の有料音楽配信売上は535億円と、CDシングルの508億円を上回った」という統計を紹介。「もちろん、音楽配信が普及することで、パッケージがなくなることはなく、2007年は双方がコラボレーションしながら、ディストリビューションに変化が起きる年だと考えている」と自身の考えを示した。
ただし、有料音楽配信売上は携帯電話向けサービスが大半を占める。これに関して、今野氏は「携帯電話でも打ち込みから着メロ、着うたから着うたフルと徐々に変化していったように、ユーザーは簡単にはリッチコンテンツには移行しない」とコメント。「着うたフルの先には、豊富な楽曲や操作性に優位点があるPC向け配信があると考えており、今後は携帯電話が持つ手軽さをPCに持ち込むことが重要になる」とした。
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マイクロソフトとレーベルゲートの協業で、進化したミュージックライフの実現を目指す
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mora winのロードマップ
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■ DRMや技術要素を気にせず、サービスを利用できることが重要に
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マイクロソフトの堺 執行役 常務
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マイクロソフトの堺氏は、「DRMへの対応は、地域や国、時代の流れによって著作権保護のあり方は変化するが、技術的にコンテンツをサポートすることは非常に重要だと考えている」と発言。また、NTTドコモの「904iシリーズ」がWM DRM 10をサポートする点に言及し、「PCでダウンロードした音楽を、携帯電話で気軽に楽しめることも重要だ」と語り、「ソフトウェアとサービスの一体化を進め、プレミアムデジタルライフスタイルを充実させていきたい」とした。
なお、DRMに関しては英EMI GroupがDRMフリーの楽曲提供を開始すると4月に発表を行なっている。これについて、レーベルゲートの今野社長は「DRMは難しいものと捉えらているが、DRMがなければ音楽を制作する人がいなくなってしまう」と述べた。また、「DRMの有無は音楽の作り手それぞれが持つ考え方によって判断されるもので、一定の方向に持っていくのは正しいとは言えない」と継続した議論の必要があるとした。
その上で、「著作権保護機能を持った他の機器と同じように、音楽配信サービスでもDRMを意識しない環境が提供できるようになれば、DRM論争も古くさい話になるのではないか」と語った。
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会場には「gigabeat」新モデルも展示された
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新たにゲーム機能やステレオスピーカーを搭載したという
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WM DRM 10サポートの904iシリーズも
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■ URL
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3070
mora win
http://morawin.jp/
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(村松健至)
2007/05/28 15:33
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