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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
イー・アクセスとソフトバンク、WiMAXの事業化に向けて協力体制を構築

 イー・アクセスとイー・モバイルは21日、モバイル事業に関する説明会を開催した。その中で、ソフトバンクグループとWiMAXにおける協力関係を結んだことを明らかにした。


イー・アクセス千本氏「新規2社に割り当てる総務省案に賛成」

説明会に出席したイー・アクセスのガン氏、ソフトバンクモバイルの宮川氏、イー・アクセスの千本氏
 総務省が5月に発表した免許方針案では、新規参入する最大2社に割り当てる考え方が示された。同方針によれば、既存の第3世代事業者は直接の割当は対象外で、3分の1以下の出資による事業参加のみ許容するとしているため、各社の動向が注目されていた。

 イー・アクセス 取締役会長でイー・モバイル 代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏は、6月15日まで行なわれた同方針の意見募集に対して「方針案に賛成する旨の意見を提出した」とコメント。「インターネットのオープン性を重視する総務省の考え方を評価しており、免許条件に従って取得に向けた取り組みを一層進めていく」と同社グループの考え方を示した。

 千本氏は続けて、「オープン性、グローバル性を重視し、ベンチャー精神に富んだ新しいビジネスモデルを生み出せる新規事業者が担うべきである」と発言。その上で「当社はオープンな水平分業モデルを重視し、垂直統合型のビジネスモデルは排除する」とした。また、「WiMAXと無線LANを組み合わせ、屋外ではWiMAXを、屋内では無線LANを利用することも考えている」とサービスイメージも示した。

 加えて、総務省に割当方針に沿って、早期に広範囲のエリアカバーを達成できる点や、イー・モバイルにおける資金調達・基地局建設実績、重大な情報漏洩事故などを犯していない点などを紹介。MVNOの具体的な計画項目に関しては「イー・アクセスはADSLで日本最大のホールセール事業者であり、オープンな水平分業モデルをすでに実現している」と語り、2.5GHz帯に参入する資格が十分であることをアピールした。

 その上で千本氏は、現時点で事業者に割り当てられている周波数幅を取り上げ、「当社は10MHzしか持っていないが、NTTドコモは119MHz、KDDIでは60MHzと非常にアンバランスな状況にある」とコメント。「2.5GHz帯の30MHzが両社に割り当てられた場合には、周波数幅の差は非常に深刻な問題になる」とも述べ、既存事業者ではなく新規事業者の割り当てが重要である点を強調した。


免許条件に対する同社の考え方 イー・モバイルとNTTドコモ、auの周波数幅状況

WiMAXでソフトバンクと協力。他事業者に対しても呼びかけ

宮川氏が手に持つのはソフトバンク側のWiMAX資料。孫代表に代わって、急遽出席したという
 イー・アクセスとソフトバンクでは、2.5GHz帯の無線を利用した「広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)」について、モバイルWiMAX(IEEE 802.16e)による参入を検討している。

 千本氏は説明会の席で、ソフトバンクグループとWiMAXにおける「Feasibility Study(事業化に向けた調査作業)」を共同で行なうと発表。総務省が2.5GHz帯の免許申請を開始する時期までに共同で事業会社を設立するほか、「双方がこれまで実施していた実証実験の内容を持ち寄って、一歩進んだ実験を重ねていきたい」と語った。

 ソフトバンク側の代表として出席したソフトバンクモバイル 取締役 専務執行役員 CTOの宮川潤一氏は、「千本会長から話をいただいて、ぜひにと応じた」とコメント。「これまで両社はブロードバンドで相反していたが、今回初めて同じ席に着いた」と付け加えた。

 宮川氏の発言を受けて千本氏は、「ADSLでは非常に良い競争相手だったが、考えてみると会社の性格は挑戦者であり、スピリチュアルな面で非常に良く似ている」と語った。両社では今後、他の事業者などに対しても声をかけていく考え。ソフトバンクモバイルの宮川氏は、「より進んだWiMAX大国の実現を目指していきたい」と抱負を述べた。

 千本氏はまた、質疑応答の中でNTTやKDDIが参加する意向を示した際には、「どちらの場合でもウェルカムだ」と発言。「WiMAXは巨額な投資が必要であり、各社出資のもと通信インフラをMVNO事業者に卸す“ゼロ種事業者”という形もあり得る」と述べ、イー・アクセスとソフトバンクを含めて、資金面でも協力しながらWiMAXを推進する考えを示した。

 なお、説明会当日の21日にはアッカ・ネットワークスがWiMAXに関連した事業会社「アッカ・ワイヤレス」の設立を発表している。イー・アクセスでは同社株式を10%程度保有しているが、千本氏は「あくまで純投資」と説明した。「特に深い意味はなく、株価が上がった場合には売却する可能性もあり、下がった場合には買い増す可能性もある」と語った。


WiMAX Feasibility Studyのイメージ Feasibility Study内容

関連情報

URL
  イー・アクセス
  http://www.eaccess.net/
  ソフトバンク
  http://www.softbank.co.jp/

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(村松健至)
2007/06/21 20:01
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