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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
HomePlugがセミナーを開催。異なるメーカー機器の相互接続性をアピール

 HomePlug Powerline Allianceは25日、高速PLCにおける取り組みなどを紹介するセミナーを開催した。説明会では、住友電気工業とシャープの高速PLCアダプタを使用したデモンストレーションも実施された。


HomePlugチップは1,000万個を出荷。08年にはViivのオプションにも採用

HPAを含めた各PLC標準化団体の状況

住友電工の弘津氏
 HomePlug Powerline Alliance(HPA)は、高速PLC規格に関する標準化団体の1つ。設立は2000年4月で、相互接続が可能な宅内PLCの促進・普及のほか、他技術との共存検討を主な目的に掲げている。

 HPAに参加する住友電気工業の弘津研一 PLC機器開発部長は、「HPAには、世界のテレビメーカーやチップベンダーなど75社が参加しており、IEEEの部会でも小さくない規模である」と説明。また、HomePlug規格に準拠したチップは複数社から供給が可能である点を挙げ、「現時点ではチップベンダーが1社に限られているUPAやCEPCAと比べて、製品メーカーにとってチップ選択の余地と価格競争力に期待がもてる」とHomePlug規格の優位性をアピールした。

 また、2001年6月に最大14Mbps(理論値)の通信が可能な「HomePlug 1.0」を、2005年8月に最大200Mbps(理論値)の「HomePlug AV」を策定し、技術仕様を公開済み。日本国内では、KDDIが住友電工製のHomePlug AV1.1に準拠した高速PLCアダプタのレンタル提供を5月に開始しており、「同規格では映像配信サービスにおける通信特性や耐ノイズ性、QoSなどの特徴がある」と語った。

 セミナーでは、HPAのプレジデントを務める米Intelのマット・シール(Matt Theall)氏によるビデオメッセージも放映された。シール氏はHomePlug規格に準拠したチップが全世界で1,000万個を突破した点を紹介。また、「Intelでは2008年をめどにViivのオプション仕様にHomePlug規格を盛り込むことを4月に発表した」とHomePlug規格に期待を寄せている点を強調した。

 続いて登壇したインテル 研究開発本部の畑中康作氏は、「Intelでは映像メディアを楽しむことを訴求する点を大きなビジョンとして掲げており、DLNAやDRMと同等にHomePlugも重要な要素だと位置付けている」とコメント。「デジタルホームを日本でも実現するため、HomePlugを今後もサポートしていく」と語った。

 シャープの技術本部 プラットフォーム開発センター 副所長の北口進氏は、「シャープは設立直後からHPAに参加しており、HomePlug AV規格の策定にも携わった」と発言。「過去2年間に渡ってコンセプトモデルなどを紹介してきたが、8月に発売する製品をはじめとして商品開発を進め、ホームネットワークを使った価値を提供していきたい」と抱負を語った。

 国内出荷台数に関して住友電工の弘津氏は、「光ファイバの普及とともに、広がっていくと考えている」と語り、「2010年に光ファイバが3,000万世帯まで普及した場合、約10%の300万世帯で高速PLC機器の利用を実現したい」と目標を示した。


宅内用PLC機器のニーズは、ホームゲートウェイとクライアント端末を結ぶケースにあるとしている 宅内PLC機器の要求性能

住友電工とシャープの製品を使った相互接続性デモも実施

住友電工とシャープの高速PLCアダプタを使った相互接続デモも行なわれた
 セミナーではまた、住友電気工業とシャープの高速PLCアダプタを使った相互接続性のデモンストレーションも実施された。いずれもHomePlug AV1.1規格に準拠し、Intellon社のチップを採用した製品。通信速度は理論値で最大200Mbpsで、実効値で最大85Mbpsのスループットを公称している。

 デモでは、住友電工とシャープの高速PLCアダプタを各3台、合計6台を用意。住友電工のアダプタに接続したHD映像を収めたコンテンツサーバーや動画像サーバー、インターネット網を、同一LAN内をイメージしたシャープのアダプタ側で受信。パソコンでの動画再生やインターネット閲覧、ネットワーク対応複合機での画像印刷などが、異なるメーカーの機器間でも問題なく行なえる点が披露された。

 HD映像は最大24Mbpsで、デモ環境下ではSD映像の同時ストリーミングやインターネットの同時閲覧を行なった場合でもスムーズに表示されていた。説明員によれば、「今回は他の電化製品がない環境となるが、実効値である85Mbpsに近い速度を確認している」とした。

 住友電工の弘津氏によれば、「HPAでは7月にHomePlugの相互接続などに関する認証テストを開始する予定だ」という。「合格した機器には認証ロゴを付与し、異なるメーカーの機器でも通信が可能だという点を訴求していく」とした。

 なお、HomePlug AV1.1規格の製品であれば相互接続が可能だが、同一LAN内にHomePlug AV1.0またはHomePlug 1.0に対応した製品があっても共存利用にとどまり、相互接続は行なえないという。また、HomePlug以外の高速PLC規格に関しては共存・相互接続ともに非対応になる。

 8月にコンシューマ向けに製品の発売を予定するシャープの通信システム事業本部 主事の荒木裕輔氏は、「店頭では相互接続が可能な製品を紹介するとともに、共存利用できる規格、できない規格などの周知も行なっていきたい」という考えを示した。


シャープのHomePlug AV1.1対応製品は8月24日に発売を予定 KDDIが採用する住友電工のアダプタ。シャープ製と同じくHomePlug AV1.1に準拠する

関連情報

URL
  HomePlug Powerline Alliance
  http://www.homeplug.org/

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(村松健至)
2007/06/25 16:20
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