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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
グーグル、書籍内容を検索できる「Google ブック検索」日本語版を開始

 グーグルは5日、書籍の全文を検索できる「Google ブック検索」日本語版ベータを7月2日に公開したと発表した。利用は無料。


書籍の全文を検索して「立ち読み」感覚で結果を表示

「Google ブック検索」トップページ

検索語に関連あるキーワードをリストアップ
 Google ブック検索は、英語圏で提供している「Google Book Search」の日本語版となる検索サービス。グーグルでは、2006年5月に出版社からの登録受付を開始。当初は、2006年内のサービス開始を予定していたが、最終的に2007年7月にずれ込んだことになる。

 同サービスでは、ユーザーが検索した語句に一致する書籍が見つかると、書籍名や筆者名、サムネイル画像を検索結果ページに表示。この中で、出版社・筆者からの許可がある書籍は内容の一部が閲覧可能で、著作権が消滅している書籍に関しては全文をプレビュー表示できる。
 検索結果は「全文表示」「部分プレビュー」「スニペット表示」「プレビューが利用できない書籍」の4通りで表示方法が異なる。全文表示は著作権が消滅、もしくは出版社が全文表示を許可しているケースで、すべてのページをWeb上で閲覧できるほか、印刷やPDF出力にも対応する。プレビュー表示ができない書籍はGoogleがデジタル化していない書籍で、この場合はGoogleの持つメタデータやWeb検索結果などを表示する。

 部分プレビューとスニペット表示は、どちらも書籍の全文検索が可能だが、部分プレビューはパートナーの出版社から提供された書籍、スニペット表示は出版社から提供を受けていない書籍という点が異なる。部分プレビューではユーザーが検索したキーワードを含むページを、書籍全体の20%まで部分的にプレビュー表示できる。スニペット表示の場合、ユーザーが閲覧できるのはページ数や目次、ISBNコードといった書籍のデータやキーワードが検索された回数などで、書籍の中身は確認できない。

 部分プレビューで表示できる範囲は特定のページに限定されておらず、キーワードごとに異なるページが20%まで表示される。ただし、検索を繰り返してすべてのページを入手できないように、書籍の数%に相当するページは検索対象にはなるが部分プレビューでは表示されない。出版社の希望次第では表示範囲のパーセンテージを上げることも可能だが、20%を下回る設定はできない。また、全文表示では可能な印刷やPDF出力も、部分プレビューでは利用できなくなっている。

 全文表示、部分プレビュー、スニペット表示では、書籍を購入するためのリンクも用意。現時点ではAmazon.co.jp、紀伊國屋書店 BookWeb、楽天ブックス、セブンアンドワイへのリンクが用意されているほか、出版社へのリンクを検索結果に表示することもできる。また、オンラインで購入できないユーザーのために、検索結果から地域情報を入力することで周囲の書店情報をGoogle マップで表示する機能も用意されている。

 検索結果の表示順は、書籍に関するレビューや図書館からの情報、他の書籍を引用しているといったデータを踏まえ、検索したキーワードへの最適化を図った上で順位付けを実施。また、部分プレビューや全文表示など、検索結果の表示方法を指定して検索することもできる。


4つの検索結果表示方法 全文表示。印刷やPDF出力も可能

出版社から提供を受けた「部分プレビュー」 出版社から提供を受けていない場合は「スニペット」表示

インプレスで検索したところ プレビュー可能な書籍はGoogle ブック検索上で内容を閲覧できる

「書籍もWebページ感覚で検索可能に」

プロダクト・マーネージメント・ディレクターのアダム・スミス氏
 Google ブックのサービス開始に合わせて行なわれた説明会では、米Googleでプロダクト・マーネージメント・ディレクターを務めるアダム・スミス氏と、コンテンツ・パートナーシップ・ディレクターのジム・ガーバー氏が来日し、サービスの概要やコンセプトについて語った。

 スミス氏は「世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにする」というGoogleの理念を説明した上で、「これまで多くのデジタル化された情報を整理してきただけでなく、デジタル化されていない情報もGoogle Earthのように整理の対象としてきた」とコメント。Google ブック検索により「書籍もWebページと同じくらい簡単に見つけられるようになった」とのメリットを示した。

 Google ブック検索は日本を含めて10言語、70カ国以上で提供されており、書籍数は100万タイトル以上、参加出版社は1万社以上に上り、25の図書館からも書籍情報の提供を受けているという。日本でのデータは明らかにされていないが、2006年から日本での出版社登録を受け付けており、大手で10数社、書籍数は全体の数%程度が現時点で含まれているとした。

 書籍のデータはパートナーシッププログラムを結んだ出版社と、図書館プロジェクトに参加した図書館という2つの方法で提供を受けている。スミス氏は「世界中の書籍でGoogle ブック検索を作り上げていくのが我々のミッション」とし、「日本の出版社ともパートナーシップを結んでいきたい」との意欲を示した。


Google ブック検索の展開状況 検索の仕組み

ブック検索は「出版社にとっても大きな価値のあるサービス」

コンテンツ・パートナーシップ・ディレクターのジム・ガーバー氏
 ガーバー氏はパートナーシッププログラムに関し、「出版社が不利益を被らないことを重要視している」と説明。「ブック検索に関しては出版社が100%のコントロール権を持つべき」とした上で、書籍ごとにブック検索の対象・非対象を選択できる、要望があれば検索対象から外す、もしくは再度検索対象として登録するといった対応も柔軟に行なっていくとした。

 収益面でも、ブック検索によるオンラインストアからの売上や手数料をGoogleが徴収することはないという。また、検索結果への広告表示も可能であり、広告料による収入を出版社が得ることも可能なほか、広告の表示・非表示の選択権も出版者側にあるという。ガーバー氏は「部分プレビューにのみ下部に表示されるだけが必ず表示される広告で、これがGoogleの収益源になる」と説明した。

 こうした出版社への配慮と対応を踏まえた上で、ガーバー氏は米国の成功事例を紹介。SIMON & SCHUSTERでは、オンライン販売へのリンクをクリックしたうち実際に購入する、もしくは書籍情報の購読を選択するというコンバージョンレートが、検索エンジン経由では数%だったのがブック検索では15.3%にまで向上したほか、Blackwellではプロモーションを行なっていない古い書籍の売上が伸びるというロングテール現象が起きているとした。

 ガーバー氏は、「ブック検索では、ページの閲覧数や購入したユーザー数なども確認でき、広告収入も得られる。また、気に入らない場合はすぐにパートナーシッププログラムから引き上げることもできる」と出版社に対するブック検索のメリットを説明。「ブック検索は出版社にとってデメリットではなく、非常に大きな価値のあるサービスだ」とした。


ブック検索のパートナーシップ状況 検索結果から購入へのリンクも用意

コンテンツ連動広告で広告収入の機会も創出 ブック検索による米国での成功事例

関連情報

URL
  Google ブック検索
  http://books.google.co.jp/
  関連記事:「Googleブック検索」日本の出版社からの登録受付を開始[INTERNET Watch]
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/05/11/11928.html


(甲斐祐樹, 村松健至)
2007/07/05 12:10
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