Broadband Watch logo
最新ニュース
【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
歌詞を口ずさんで楽曲検索できる音楽SNS「midomi」日本版が10日に開設

 米Melodisは、自社開発の音声認識技術「MARS」を利用した楽曲検索機能を持つ音楽SNS「midomi.co.jp」を8月10日に開設する。利用は無料。


口ずさんだ歌から楽曲を検索、データベースに登録できる「midomi」

midomi.co.jp

MARSの概要
 midomi.co.jpは、2007年1月に米国でベータ版提供を開始した「midomi.com」の日本向けサービスサイト。サービス運営を行なうMelodis社は、スタンフォード大学の卒業生を中心に2005年9月に設立された企業になる。

 midomi.comでの日本語表示は数カ月前から開始されているが、Melodisでは米国在住の日本人が主な対象と説明。このため、8月10日以降は日本からのアクセスはmidomi.co.jpへリダイレクトさせていく考えだという。

 midomiが用意する楽曲検索機能は、楽曲の一部を歌ったり口ずさんだりする「音声検索」と、曲名やアーティスト名を直接入力する「文字検索」の2種類。このうち、音声検索では同社が独自開発した音声認識技術「MARS(Multimodal Adaptive Recognition System:複合適応認識システム)」を活用。ユーザーがマイクを通じて吹き込んだ音を、音声や音程の高低、リズムなどから同じ特徴を持つデータと照合していく。また、歌詞を歌った場合には言語内容も照合対象に入るが、鼻歌の場合には言語情報は無視される。

 吹き込んだ音声データは、該当する楽曲名とアーティストに関連づけてデータベースに登録できる。Melodisによれば、ユーザーの登録によって構築されたデータベースには約10万曲分のデータが登録されており、毎日1,000~3,000のペースでデータが増えているという。なお、アーティスト原曲の試聴機能も用意している。

 SNS機能では、楽曲データの紹介が可能なほか、レコメンド機能やメッセージ、コメント、プロフィール情報が掲載できる。他ユーザーのコメント時には、音声によるメッセージ投稿も可能で、midomiならではのコミュニティが実現できるとしている。

 midomi.co.jpの提供にあたっては、社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)とユーザーが登録した楽曲のストリーミング配信に関する契約を締結。これにより、他ユーザーが録音した音声データを自由に再生できる。なお、JASRACへはmidomi.co.jpで発生した売上の3.5%が支払われる。

 また、音楽配信サービスを運営するリッスンジャパンと提携。同社が保有する約40万曲の楽曲メタ情報がmidomi.co.jpのデータベースに提供されているほか、midomi.co.jp上から各曲の試聴リンクも設けるという。


検索結果ページでは口ずさんだ楽曲と合致する他ユーザーの音声データを再生できる ユーザーページ。コメントやファン登録といった機能を用意

「midomiは音楽のWikipedia」。日本の携帯電話向けサービスも視野に

Melodis社長のモハジャー氏

日本での携帯電話向けサービスも検討を行なっているという
 9日には、Melodis社長 兼 CEOのケイヴァン・モハジャー(Keyvan Mohajer)氏が日本版サイト開設にあたっての経緯やmidomiのサービス説明を行なった。

 midomiでは、2007年1月のベータ版開始以降に米国やフランス、イタリア、スペイン、中国語対応を行なっている。10日にサービスを開始する日本版以外にも、韓国やポルトガル版の準備を進めているという。

 モハジャー氏は、「日本市場は当社にとって重要な市場である」とコメント。その理由として携帯端末が持つ先進技術や消費者の携帯電話使用が高い点、カラオケなどの歌に対する文化、新技術への強い関心がある点を挙げ、「日本で当社のポジションを確立していくことが、最優先課題である」と語った。また、日本法人も設立済みであることが明かされた。

 midomiの月間ユニークユーザー数(UU)については、「6月に100万UUを突破し、8月には300万UUに届くと考えている。年末には1,000万UUを達成できれば」とした。現時点で20%が米国からのアクセスで、残り80%は日本を含めた海外からのアクセスになる。なお、登録ユーザー数に関しては、「midomiはユーザー登録なく、主要なサービスを利用できる」ことから具体的な数値は明らかにされなかった。

 midomiに登録されている日本語データは1万曲以上。同氏は「日本版サイト立ち上げによって、1カ月以内に5万楽曲まで拡大していきたい」とした。なお、midomiの携帯電話版も用意しており、「日本でも2007年内の提供に向けて、関係各社と交渉しているところ」だという。

 midomiにおける収益モデルは、バナー広告のほか、Amazonや各国の音楽配信事業者と提携したアフィリエイトによる収入など。また、MARS技術のライセンス提供を主にしたB2Bビジネスも行なっており、企業名は非公表ながら日本企業にもライセンス済みだとした。

 モハジャー氏は、「すでにB2B分野では売上が発生しており、年内には利益をあげることができる」と発言。「midomiを通じたB2C分野に関しても、CDやDVD販売に加えて、コンサートチケットなどの販売も検討し、売上を拡大していきたい」と語った。

 その上でモハジャー氏は、「midomiはユニークな音楽データベースで、ユーザーの手でデータベースを大きくできるCGM的な要素を持っている」と語り、「音楽のWikipediaとしての活用も期待できる」とmidomiサービスに対する自信を示した。


関連情報

URL
  midomi.co.jp(8月10日~)
  http://www.midomi.co.jp/
  midomi.com
  http://www.midomi.com/
  関連記事:鼻歌から曲を検索する「midomi」、数カ月後には日本でもサービス開始[INTERNET Watch]
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/03/19/15127.html


(村松健至)
2007/08/09 17:18
Broadband Watch ホームページ
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.