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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
電通、Second Lifeの「バーチャル東京」公開。世界陸上などを仮想体験

 電通は23日、米Linden Labの3Dバーチャルコミュニティ「Second Life」に開設する仮想都市「バーチャル東京」のプレス プレビューを開催した。8月24日には世界陸上 大阪大会に関連したエリアを開設するほか、9月にはスキージャンプ・ペア 国際大会も開始する。


水口哲也氏がプロデュースする仮想都市「バーチャル東京」

バーチャル東京スタジアムで行なわれるマラソンのイメージ映像
 バーチャル東京は、電通がSecond Life内に所有する16区画の「SIM」と呼ばれるスペースで構成される仮想都市。キューエンタテインメント代表取締役 CCOの水口哲也氏が総合プロデュースを担当。人々がイメージとして持つ東京を表現し、東京が持つエネルギーやポップカルチャーをSecond Lifeを通じて発信していくという。

 8月24日正午には、東京放送(TBS)、プレゼントキャストと共同で世界陸上 大阪大会(会期:8月25日~9月2日)に合わせた世界陸上イベントを開催。バーチャル東京の1SIMに陸上競技場「バーチャル東京(VT)スタジアム」が用意され、ユーザーは100m走や400m走、砲丸投げの競技をプレイできる。

 加えて、女子マラソン前日の9月1日20時からはマラソンイベントも行なわれる。このほか、世界陸上に関連する動画を配信する大型スクリーンも設置する予定だという。なお、いずれの競技も先着順で参加が受け付けられる。


砲丸投げ。パワーゲージにより飛距離などが変わってくる 表彰台なども用意されている 競技中にコースアウトした場合や飛行した場合は失格になる

スキージャンプ・ペア 国際大会
 また、9月中旬には水口氏のプロデュース企画第1弾として、真島理一郎氏の映像作品「スキー・ジャンプペア」をSecond Life上で体験できる「スキージャンプ・ペア 国際大会」の開始を予定する。VTスタジアムと同様に1SIMを使って制作された「東京シャンツェ」を会場に、標高200mのジャンプ台から2人1組によるスキージャンプを披露できるという。

 ジャンプにあたっては、スキージャンプ・ペアに収録された演技を実際に体験できるほか、ユーザーオリジナルの演技を作成することも可能。また、定期的に開催される国際大会では審査員立会いのもとに演技の芸術性を競っていく。

 このほか、東京のポップカルチャーを紹介する「東京ポップミュージアム」や、映像コンテンツを視聴できるゾーンの開設を予定。また、第2期開発エリアでは慶應義塾大学の授業をSecond Lifeで視聴できるSIMや、国内企業出店によるSIMが9月下旬以降に順次開設される。


相手を探すスペースも用意されている 映像作品と異なり、1人称視点でもプレイできる スキーウェアの提供も

電通・粟飯原氏「2007年は3Dインターネット元年」

(左から)モデレータを務めたアスキーの福岡氏、粟飯原氏、水口氏、真島氏

慶應義塾大学の村井教授
 「2007年は3Dインターネット元年と言える」と語った電通 メディア・コンテンツ本部 メディア・コンテンツ計画局の粟飯原(あいはら)健氏は、同社のSecond Lifeにおける取り組みを説明。電通とデジタルハリウッドでは「セカンドライフ研究会」を立ち上げているが、「2007年7月の会合では96社が参加し、現在では参加数は100社を超えている」と日本企業や団体におけるSecond Lifeへの関心の高まりを紹介した。

 粟飯原氏は一方で、「Second Lifeをはじめとしたメタバース(仮想世界)の登場は、多くの法的、技術的、倫理的課題が生じている」と指摘。その上で、「これら課題に対するソリューションを具現化する場としてバーチャル東京構想を立ち上げた」と述べ、「新たな可能性に満ちたSecond Lifeを発展させて、日本発のコンテンツやメッセージを発信していきたい」と抱負を語った。

 キューエンタテインメントの水口哲也氏は、「バーチャル東京は場所としての東京を目指したのではなく、国内外多くの人が持つ東京に対するイメージを表現しようと考えた」とそのコンセプトを紹介した。スキージャンプ・ペアに対しては、「初めて視聴したときにゲーム化できないかと考えたが、Second Lifeに携わる際にここなら実現できると感じた」という。

 また、今後開設される予定の「東京ポップミュージアム」については「日本のポップカルチャーを紹介するスクリプトを展示していきたい」という。その上で、「寄付という形でリンデンドルを募って、資金が貯まった際には実際にリアルの場にミュージアムを作ってみたい」と語った。

 スキージャンプ・ペア制作者の真島理一郎氏は、「現実で実現可能なこと、不可能なことの双方が実現できる、わくわくする空間」とSecond Lifeへの期待を示した。「映像作品では見せ方を考えて制作を進めていたが、Second Lifeではユーザーに自由に参加して貰えるような仕組みを作ろうという考え方が出てきている」と、考え方の変化も述べた。

 プレス カンファレンスにはまた、慶應義塾大学 環境情報学部教授の村井純氏が登壇。インターネット上における同大学の取り組みを説明したほか、「Second Lifeなどの3Dコミュニティが持つ象徴的なインパクトは、現実の社会をどのようにインターネット上で展開するかという動きである」と語り、「そうした場で、どういった挑戦ができるのか、また自由な発想でやっていけるという点を評価している」と付け加えた。


1年以内に30社の出店を見込み。ポイント交換プログラムなどの研究も

電通の粟飯原氏
 電通の粟飯原氏は、バーチャル東京のビジネスモデルに関して「法制度などの課題もある関係上、現時点では物販は行なわない」という。また、企業の出店目標は1年以内に30社程度を見込んでおり、「基本的には出店料や、スキージャンプ・ペアなどへの協賛などが収益になる」とした。なお、店舗制作費や半年間のメンテナンス費用などを含めた出店料は600万円からになるという。

 集客面に対しては、「日本語版は7月に公開された段階で、今後増えていくのではないかと考えている」とコメント。「ユーザーに2回、3回と訪問してもらえるような施策などを通じて人が集まるようなチャレンジしていきたい」と語るとともに、「そのためには、アイデアと忍耐と努力が必要になる」と付け加えた。

 発表会ではこのほか、電通国際情報サービス 執行役員の渡邊信彦氏が電通グループが取り組んでいるSecond Lifeでのポイント交換プログラムなどを紹介した。同プログラムは法的な問題がクリアされた段階で提供を予定するものになるという。

 会場では、クリエーターが作成したスクリプトなどをバイヤーやフランチャイズを通じて販売した場合に、売上配分を均等に行なう「フランチャイズ&ポイントプログラム」が紹介された。渡邊氏は「販売が成立した瞬間に配分が行なわれる仕組み」と語り、システム面では「外部サーバーなどを用いながらセキュアな環境を構築していく」と述べた。なお、それ以外にも提携店舗間で加算できるポイントシステムなども紹介された。


フランチャイズ&ポイントプログラムの概要 フランチャイズのイメージ図 加盟店提携によるポイントプログラムシステムも研究を進める

関連情報

URL
  世界陸上イベント ニュースリリース(PDF)
  http://www.dentsu.co.jp/news/release/2007/pdf/2007056-0830.pdf
  スキージャンプ・ペア国際大会 ニュースリリース
  http://www.qentertainment.com/2007/07/_in_1.html
  関連記事:慶應義塾がSecond Lifeにキャンパス、日本で初めて大学の講義を公開[INTERNET Watch]
  http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/07/31/16501.html

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(村松健至)
2007/08/23 18:34
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