ニコンは、IEEE 802.11b/g準拠の無線LANを搭載したコンパクトデジタルカメラ「COOLPIX S51c」を9月14日に発売する。オープンプライスで、店頭想定価格は35,000円前後の見込み。
■ 画素数が向上した無線LAN搭載デジカメ新モデル
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COOLPIX S50c
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S51cは、4月に発売された「COOLPIX S50c」の基本機能をほぼ受け継ぎながら、画素数を約720万画素から約810万画素に向上した新モデル。無線LANを利用して撮影した写真をニコンのオンラインアルバムにアップロードできる「ピクチャーバンク」、指定したメールアドレスに送信できる「ピクチャーメール」といった機能が利用できる。
ピクチャーバンクは、S51cで撮影した画像を無線LAN経由で直接アップロードできる機能。アップロードは手動に加えて、充電時に周囲のSSIDを検索して自動でアップロードを開始する機能も備える。また、S51cでは送信予約機能も搭載。S50cでは周囲に無線LAN環境がある時しかピクチャーバンクを使えなかったが、S51cでは送信したい画像を予約しておき、無線LAN環境がある場所で予約した画像をアップロードできる。
ピクチャーメールは、S51cに設定したメールアドレスに画像を送信できる機能。メールには最大3枚の画像サムネイルが表示されるほか、メール内のURLから該当のオンラインアルバムにアクセスすることもできる。
対応する無線LANの暗号方式は64/128bitのWEP、TKIP、AES。また、公衆無線LANサービスにも対応しており、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の「HOTSPOT」、ソフトバンクテレコムの「BBモバイルポイント」からも画像をアップロードできる。また、BBモバイルポイントは初回利用時から1年間無料で利用できる。
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ピクチャーバンクの概要
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ピクチャーメールの概要
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充電と同時に画像をアップロード
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選択画像の手動アップロードも可能
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メールで画像を送信できる「ピクチャーメール」
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HOTSPOTとBBモバイルポイントに対応
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■ 操作性も改善。対応オンラインアルバムもリニューアル
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「COOLPIX CONNECT」が「my Picturetown」にリニューアル
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画素数向上以外の基本仕様はS50cとほぼ同等。レンズは1/2.5型原色CCD、35mm判換算で38-114mm相当、F3.3-4.2の光学3倍ズームニッコールレンズを搭載。デジタルズームは4倍で、レンズシフト式手ブレ補正や顔認識オートフォーカス機能なども搭載。ISOは最大1600まで設定できる。
操作メニューなどはS50cから改善が図られており、S50cでは無線LAN経由で画像を送信するのに14回程度ボタンを押す必要があったのが、S51cでは4回程度に短縮されているという。また、ピントが合うまでの時間も「S50cでは時間がかかるという意見をいただいていたが、S51cでは体感できる程度までに短縮できている」(マーケティング本部 第一マーケティング部ゼネラルマネージャーの中山正氏)。
本体サイズは約97.5×21×59mm(幅×奥行×高、突起部を除く)、重量は約125g(バッテリー、SDカード除く)。本体は13MBのメモリーを内蔵し、外部メモリはSDカードに対応する。液晶モニタは広視野角3.0型TFT液晶で、輝度調整機能も搭載する。
なお、前モデル「S50c」購入者専用に提供されていたオンラインアルバム「COOLPIX CONNECT」は、S51cの発売に合わせて「my Picturetown」にリニューアル。ピクチャーメール、ピクチャーバンクといった機能は引き続き利用できるほか、携帯電話やブログでの表示など機能を拡充。利用者もデジタルカメラを問わず無料で2GBまで利用できるよう開放され、月額350円で20GBの有料プランも追加された。
無線LAN非搭載の「COOLPIX S51」も9月14日に発売。本体カラーは「グロスシルバー」「ワインレッド」「ビビットピンク」の3色で、主に女性層をターゲットしたカラーリングを採用した。オープンプライスで、店頭想定価格は30,000円前後の見込み。
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本体全面
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本体上部。S50cと比較して手ブレ補正ボタンの代わりにピクチャーメールボタンを搭載
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液晶モニターと操作部
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本体下部はSDカードスロットと充電池、充電端子
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■ 写真を撮るだけでなく楽しむ価値もニコンとして提供
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マーケティング本部 第一マーケティング部ゼネラルマネージャーの中山正氏
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中山氏は、2006年度のニコンのデジタルカメラ事業が過去最高の収益を記録し、「2007年度も2006年度を上回る売上高と営業利益を記録する見込み」とデジタルカメラ事業の好調さをアピール。コンパクトデジタルカメラ市場でのシェアも週次ベースで6月末の8%から7月末には13%まで向上しており、「北米や欧州、中国などでも同様の伸びを見せている」と語った。
一方で、写真を取り巻く環境についてはデジタルカメラ業界全体を「フィルムをデジタルに置き換えるという点ではまだまだ入口にいる程度ではないか」と指摘。ニコンにおいても「今まで高性能のカメラを提供しようとしてきた、言うなればハードウェアの会社」と評した上で、「ほとんどの人はカメラそのものではなく、写真の楽しみを価値としてカメラを購入している」との考えを示した。
こうした考えを踏まえ、「ニコンでは従来の(高性能カメラ)提案だけでなく、写真の最終的な目的である『楽しむ』価値を直接提供していきたい」と宣言。その答えの1つが今回のS51cであり、「無線LANを利用した新たなデジタル写真の楽しみ方を提案していく」とした。
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2006年度は過去最高の収益
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コンパクトデジタルカメラのシェアも上昇
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写真の最終的な目的である「楽しむ」価値を提供
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「楽しむ」価値を提供するための提案の1つがS51c
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■ URL
ニュースリリース
http://www.nikon.co.jp/main/jpn/whatsnew/2007/0830_s51c_03.htm
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(甲斐祐樹)
2007/08/30 17:42
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