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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
KDDI、モバイルWiMAX事業で会社設立。インテルやJR東、京セラらが参加

共同会見の出席者
 KDDI、インテル、東日本旅客鉄道(JR東日本)、京セラ、大和証券グループ、三菱東京UFJ銀行は18日、モバイルWiMAX事業に関する「ワイヤレスブロードバンド企画株式会社」を設立すると発表した。

 この会社は、モバイルWiMAX技術を用いた2.5GHz広帯域移動無線アクセスシステムにおける特定基地局開設計画の認定取得を目的として設立。資本金は8億5,000万円で、KDDIが32.26%の筆頭株主となり、インテル キャピタルとJR東日本、京セラが17.65%ずつ、大和証券グループが9.8%、三菱東京UFJ銀行が5%を出資。代表取締役社長にはKDDIの田中孝司氏が就任する。

 新会社の設立日は2007年8月29日で、会見が開催された9月18日現在ではKDDIが株式を100%保有しており、資本金は2億7,420万円。9月27日にインテルやJR東日本などの増資を受けて当初予定の資本金と株主構成とし、事業免許取得後はさらなる増資を予定する。なお、2.5GHz帯の事業免許は既存通信事業者の構成が1/3以下となる必要があるため、申請は増資によってKDDIの株式比率が1/3以下となってから行なわれる。


WiMAXフォーラム参画や国内実証実験などの取り組みをアピール

KDDIの小野寺正代表取締役社長兼会長
 KDDIの代表取締役社長兼会長である小野寺正氏は、モバイルWiMAXに対するKDDIの取り組みをアピール。WiMAXフォーラムには2005年に参画し、KDDIの冲中秀夫氏が日本人唯一のボードメンバーとして活動しているほか、当初は固定通信を目的としたベンダーが多かった中、KDDIはスプリント ネクステルとともにモバイルWiMAXの標準化を積極的に取り組んだと説明した。

 国内においてもモバイルWiMAXの国際標準を日本の基準と合致させ、国際標準規格の製品を日本で利用できるように取り組んだとコメント。IEEEにおいてもKDDI研究所の野原光夫氏が日本でRelay Task Groupの議長を務めるなど、標準化にも貢献しているとした。

 2006年には大阪で初めてモバイルWiMAXの実証実験を実施し、市街地環境での実用化が可能であることを確認。「国内のモバイルWiMAXに対する関心を高めると同時に、実験結果のフィードバックで技術の標準化にも貢献した」とし、「今後はこれまで培ってきた技術や運用ノウハウを新会社に継承し、今回出席いただいた各社に協力いただきながら事業を展開する」とコメント。「世界水準で多様なサービスを安定的に提供できると確信している」と自信を見せた。


当初はPC向けのデータ通信サービスを展開

ワイヤレスブロードバンド企画の田中孝司代表取締役社長
 ワイヤレスブロードバンド企画の田中孝司代表取締役社長は、WiMAXの技術的特徴や同社のビジネスモデルなどについて説明。WiMAXは最大40Mbpsの高速性に加えて時速200kmでも十数Mbpsの通信が可能である移動性、IPレイヤで常時接続できる常時接続性といった技術的メリットがあるとし、「当初は10MHz幅でピーク速度は下り最大40.4Mbps程度だが、将来的には20MHz幅への拡張を予定している」とした。

 事業構想としてはユーザーの「無線LAN感覚で気軽にどこでもネット接続したい」というニーズと、PCやUMPCへのWiMAX組み込み化が進むというデバイス動向を踏まえ、事業開始段階はモバイルPC向けにサービスを展開。エリア拡大と国際ローミングを推進しつつ、デジタル家電やコンシューマ向けデバイスへと領域を拡大する方針とした。

 MVNOなどオープン型のビジネスモデルも積極的に推進し、「MVNOと共にWiMAX市場を拡大する」。また、米国スプリント ネクステルとの協力により、早期に日米での国際ローミングを実現するとした。


新会社の概要 モバイルWiMAX技術の説明

MVNOによるオープンモデルを推進 事業構想

KDDIやJR東日本の設備を利用してエリアを早急に拡大

発表会の出席者。左から順にワイヤレスブロードバンド企画の田中孝司氏、京セラの中村昇代表取締役会長、インテルの吉田和正代表取締役共同社長、KDDIの小野寺正氏、JR東日本の小縣方樹常務取締役 IT・Suica事業本部長、大和証券グループ本社の日比野隆司取締役兼専務執行役、三菱東京UFJ銀行の亀井信重常務執行役員 営業第二本部長
 KDDIでは携帯電話向けのサービスも展開しているが、モバイルWiMAXとの棲み分けについては「auのサービスは音声、データの両方を提供しているが、基本的には携帯電話端末を中心に拡大する分野」と説明。「WiMAXは機器への組み込みを基本としており、対象とするサービスと機器が異なる」とし、「それぞれに適したネットワークを別のネットワークとして構築する」とした。

 設備投資の金額などは「免許申請前なので詳細は明かせない」と詳細は語られなかった。一方、基地局設置に関しては「自社でも展開するが、株主にKDDIやJR東日本がいるので、既存のリソースもお借りして早急にネットワークを構築したい」とし、株主の既存設備を利用してエリア拡大する方針を示した。

 2.5GHz帯は新規参入2社に割り当てるとの方針が示されており、アッカ・ネットワークスおよびウィルコムが有力視されているが、小野寺氏は「それは勝手に報道されているだけ」と一蹴。「我々は早くからWiMAXフォーラムに参加するなどアドバンテージがあると思っている」とした上で、「総務省からも公平な視点で認可をいただけると考えている」とした。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.kddi.com/corporate/news_release/2007/0918/index.html
  KDDI
  http://www.kddi.com/
  インテル
  http://www.intel.co.jp/
  JR東日本
  http://www.jreast.co.jp/
  京セラ
  http://www.kyocera.co.jp/
  大和証券
  http://www.daiwa.jp/
  三菱東京UFJ銀行
  http://www.bk.mufg.jp/

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(甲斐祐樹)
2007/09/18 17:10
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