日本テレビ放送網は、番組全編の収録をSecond Lifeで行なう「デジタルの根性」を10月3日から放映すると発表した。収録に利用するSecond Life内のSIM「Shiodome Island」は9月25日20時より正式オープンする。
■ 出演者が自らアバターを操作し全編をSecond Life内で収録
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Shiodome Island内の公開収録スタジオ
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デジタルの根性は、毎週木曜深夜25時26分から放映中の「でじたるのバカ2」の後継番組。曜日は木曜日から水曜日に移動し、放映時間も25時29分からに変更となるが、出演者は「でじたるのバカ2」に引き続き日本テレビ 編成局デジタルコンテンツセンター エグゼクティブ・ディレクターの土屋敏男氏、馬場典子アナウンサー、お笑い芸人の千原ジュニア、矢部太郎が出演する。
現実の世界では番組セットを持たず、収録は全編をSecond Life内で実施。出演者はそれぞれ自分のアバターを自ら操作する。Shiodome Islandには収録用の特設会場も用意され、一般ユーザーも収録を見学できる。
また、Second Life内で使えるテレビもアイテムとして無料配布され、ユーザーは持ち帰ったテレビを自分の土地に設置できる。テレビには当初最新ニュースを配信し、今後は配信コンテンツも拡充。ワンセグ型のテレビも用意し、データ放送に見立てたテキストニュースも配信する。
配信するニュースは日本テレビの24時間ニュースチャンネル「日テレNEWS24」が制作し、Second Life内にも報道フロアを用意。ニュースは新しいものが入り次第アップデートしていき、今後は日本テレビの動画配信サービス「第2日本テレビ」のコンテンツも配信する計画だという。
Shiodome Island内に用意されたイベントスペースでは、日本テレビのアナウンサーやタレントのアバターによるイベントを開催。バップとのコラボレーションにより、タレントとユーザーが直接コミュニケーションできる「日テレジェニック2007」イベントなどを展開していく。
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Shiodome Island全景
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報道フロア
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収録風景
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馬場アナウンサー(左)と土屋氏(右)のアバター
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収録は出演者ごと個別のブースから行なわれ、顔を合わせることはない
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■ 「テレビではできない可能性を追求する」と日本テレビ土屋氏
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日本テレビ 編成局 デジタルコンテンツセンター デジタル制作部長の若井真介氏
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日本テレビ 編成局デジタルコンテンツセンター エグゼクティブ・ディレクターの土屋敏男氏
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日本テレビ 編成局 デジタルコンテンツセンターの若井真介デジタル制作部長は、「Second Lifeには企業が続々参入しており、我々としてもSecond LifeがWeb 2.0の進化系という可能性を感じている」とコメント。「テレビのドラマやバラエティも一種の仮想空間であり、Second Lifeとは親和性が高いのではないか」とし、「まずは実験で思い切って参加してみようと考えた」と語った。
Second Life内で完全収録するテレビ番組は「Linden Labに聞いた限りでは、世界初で間違いないようだ」(若井氏)。Shiodome Islandに関しては「日本テレビが勝手に作っていくのではなく、ユーザーが作ってきた作品やグッズなども楽しみながら多くの人と作り上げていきたい」との希望を語った。
土屋氏は「なぜSecond Lifeなのかと聞かれたら、新しいものが好きで“世界初”という言葉に弱いから」とコメントして会場の笑いを誘いつつ、「いろいろなリスクはあるだろうが、テレビではできないコンテンツの可能性をSecond Lifeで試していきたい」との意欲を示した。
番組の内容は前身である「でじたるのバカ2」を引き継ぎ、視聴者が投稿したリーバイスや石原真理子の6秒CMなどを紹介するほか、Second Life内の名所などを出演者のアバターが訪問する企画なども予定。番組内で使用するアバターは肖像権の問題をクリアしており、公開収録に参加したユーザーは自由にスクリーンショットを撮影できるという。
土屋氏は「Second Lifeの普及はまだこれからかもしれないが、昔からPCを使っていたわけではない最近の世代には、3Dのほうが世界に入りやすいのではないか」とコメント。「(番組に出演する)千原ジュニアはPCに慣れていないのにアバターを簡単に操作できていた。ビジネスに結びつくかどうかは別だが、何かを面白がる空間として期待している」とした。
Second LifeのSIMは使用上参加できる人数に制限があり、クライアントソフトもPCとの相性によってインストールできない、正常に動作しないといった課題もあるが、土屋氏は「技術的な課題は今後解決できるだろう」との展望を示した上で、「今の形でも人数が多すぎてSIMに入りきれないのであれば、整理券を配って入れ替え制にするなどの対応はできる」とコメント。「予測を超えて何かが起きていくことに、我々が乗り出す意味がある。あたふたしながらも対応していきたい」と意欲を示すと、若井氏も「テレビ局には中継技術がある。1つのSIMに入れなければ複数のSIMに中継すれば、より多くのユーザーが参加できるだろう」とした。
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土管の中で収録していた前身番組に比べ「圧倒的に楽。これなら1日8本は撮れる」と千原ジュニア。「むしろ前回のほうが“デジタルの根性”だった」とのコメントで会場は爆笑
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「アバターがナイスバディで嬉しかった」と語る馬場アナウンサー
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会見中席がなく後ろに立たされていた矢部太郎。「普段は出演者と対等ではないけれど、Second Lifeなら対等に会話できるのが快感」
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発表会後には第2回の収録も開催。出演者は実際には顔を合わせず、個室のブースからSecond Lifeにアクセスする
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■ URL
ニュースリリース
http://www.ntv.co.jp/info/news/389.html
Shiodome Island Life
http://www.ntv.co.jp/sl/
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(甲斐祐樹)
2007/09/25 17:58
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