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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
日経・朝日・読売、共同Webサイト運営や販売事業などで業務提携

 日本経済新聞社、朝日新聞社、読売新聞グループ本社は1日に会見し、インターネット分野における共同事業と、販売事業における業務提携などを行なうと発表した。3社では、2008年初頭をめどに主要記事などを閲覧できるポータルサイトを立ち上げる。


3社の記事や社説を読み比べ可能な共同サイトを2008年初頭に開設

(左から)朝日新聞社の秋山社長、日本経済新聞社の杉田社長、読売新聞グループ本社の内山社長
 今回合意が発表されたのは、「インターネット分野で共同事業」と「販売事業分野での業務提携」、「災害時等の新聞発行の相互援助」の3点。3社では、こうした取り組みを通じて、読者に正確で迅速な報道と多様な言論を提供し、新聞事業のさらなる発展を目指すとしている。

 「インターネット分野で共同事業」では、3社の主要記事や社説を読み比べられるポータルサイト的なサービスや、3社のニュースを共同発信するためのツールなどの提供を検討する。サービス開始は2008年初頭を目指し、サイトの利用は原則無料。また、事業主体として民法上の組合の設立を検討しており、数億円規模を見込む事業費は3社が均等で負担する。

 3社共同によるサービス開始後も、各社のニュースサイトは継続して運営される。また、サービス名や具体的な内容は、今後詳細を決定していくという。ただし、会見の中では、共同サイトでは各記事の概要のみが閲覧可能で、詳細記事は各社サイトへの誘導を図る方針が示された。


山間部や過疎地域での販売や、災害時等の新聞発行協力も

 「販売事業分野での業務提携」では、新聞の戸別配達網の維持・強化を図ることが目的。山間部や島しょ部、過疎地域といった単独で配達網維持が困難な地域で協力する考えで、朝日・読売の2紙は北海道の一部地域での配達協力実験をすでに実施している。

 今後は鹿児島県や大阪府などの一部でも実験を進める予定だが、首都圏や北海道の札幌圏というように競争地域では協力は行なわない。また、同業務提携によって日経が現在協力を受けている他紙販売店から、朝日・読売の販売店に配達委託を切り替えることはないという。

 「災害時等の新聞発行の相互援助」は、災害やシステム障害などの不測の事態に備え、紙面制作や印刷の代行、輸送の支援を相互援助していくもの。10月1日時点では覚書の締結で、2008年3月末までに正式な協定を結ぶ。また、3社システムの共通化も視野に入れ、メーカーに一括してシステムを発注するなどして、中長期的なコストダウンも目指していく。

 なお、今回の合意は2011年3月末までが有効期間で、期間満了の6カ月前までに終了の申し出がない限り、1年間延長の措置を続けていく。加えて、3社以外の新聞社等が将来参加を希望した場合も、合意目的に沿う限りは排除しない方針だという。


内山読売社長「ネットを活用して、ぺーパーである新聞を断固維持」

会見後、握手を交わす3社の代表
 会見には、日本経済新聞社の杉田亮毅 代表取締役社長、朝日新聞社の秋山耿太郎 代表取締役社長、読売新聞グループ本社の内山斉 代表取締役社長が出席。3氏は、「インターネットで配信されるニュースの多くは、新聞社の記者が取材したもの」との見解を示し、新聞社による報道や解説、評論の価値をインターネット上でも「高めていきたい」という。

 これを実現するため3社が協力して、単独では提供できないサービスを展開する考え。会見趣旨などを説明した日経の杉田社長は「真のニュース発信者である新聞社が力を合わせて、新たな価値を提供し、ネット社会での新聞社の影響力を発言力を一層高めたい」と抱負を語った。

 朝日の秋山社長は、「共同サイトでは記事や論評を比べる場を設けることが中心」と説明。「3社の仕事を比較して批評してもらうのが目的で、これまでも競い合ってきた3社だからこそできる仕組みである」と述べた。

 読売の内山社長は、「今回の3社協定は、結論的に言えばインターネットを活用して、ぺーパーである新聞を断固維持することである」と発言する。同氏は、各社のニュースサイトを通じた新聞購読申込が万単位であると、ネットから新聞購読に繋がった例を紹介。「すべてのニュースをネットに流すのではなく、詳しい内容は各紙を購読して読んでいただけるような手法をとっていきたい」とした。

 共同サイトを開設後も、Yahoo! JAPANをはじめとしたポータルサイトへの配信は継続する考え。こうしたポータルサイトで閲覧可能な見出しや概要で十分だと考える層に対して日経の杉田社長は、「共同サイトで詳しい部分を閲覧できるような準備も進めている」とした一方で、「それはそれで宜しいのではないか」とも答えた。

 なお、紙からネットへの移行について杉田社長は、「簡単に割り切れれば、経営的にこれほど簡単なことはない」とコメント。「映像や速報性はネットが優れているが、一覧性といった面では紙が優れている」と述べ、「ネットと紙の双方が持つ長所を駆使しながら、最大の満足を提供できれば」と語った。


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(村松健至)
2007/10/01 13:44
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